高校野球のチームが、大会中に野球部内のいじめに関する内容が、被害者の親の実名入りSNSで拡散され、ついに大会途中で出場辞退することになりました。そのSNSにはいじめた上級生の選手の実名も公表されていました。
言ってしまえば、その高校の野球部のやっていることが、もう今の時代ではアウトだということに、指導者も生徒も、学校も気づいていないということが原因だと思われます。
よく聞けば、監督、コーチも生徒に暴力をふるっていたようです。今度はやられた上級生が下級生に対して暴力や、精神的ないじめを行っていたようです。しかもそのいじめは野球部内の慣習となっていたとのことです。いわゆるガス抜きで悪しき因習だったのでしょう。
実はこれ30年前なら当たり前のことで、それほど珍しいことではなかったと思います。
しかしながら現在はコンプライアンス違犯やハラスメントはご法度です。
この学校の野球部の中のことだけは、社会と隔絶された特殊な環境で、いまだにいじめはOKだと考えていたのでしょう。
加害者の上級生は、「俺たちだって一年生の頃はいじめられたし、ずっと堪えてきたのにそれが我慢出来ないのか、弱い奴だ」程度の認識かもしれません。
さていじめ発生後の対応はどうあるべきか。
以降の対外試合の参加を一定期間自粛して終わり?
加害生徒と親が、被害者側に謝罪して終わり?
指導者に一定期間活動を自粛してもらって終わり?
学校側が野球部にいじめはしないと約束してもらって終わり?
これらの対応では、再発防止は不可能でしょう。
高校野球の選手全員が大谷翔平レベルの人間性であれば、こんな問題は起きていないのでしょうが、それこそ無理ですね。
再発防止とは「トラブルの発生の原因を除去する」ことです。
正しい対策は、
1.いじめをなくすこと。いじめの原因は監督・コーチによる暴力です。この対策は、彼らを即解雇。以降暴力的指導者は出入り禁止。
2.いじめの悪しき因習は廃止。いじめがあれば、皆で注意し、誰もが自由に大人、学校側に報告できる体制を作ること。
3.高野連は、事なかれ主義の対応をやめて、客観的事実に基づく事件の検証を行い、かかる高校には厳重な態度で臨むこと。
今の高校野球は莫大なお金が動いています。運用によるたくさんの組織の収入(旅館、交通機関)。主催組織のTV放送による収入。出場による学校の認知度向上と入学者数の増加。そして指導者のプロ野球への斡旋報酬。それに群がる有力選手の親。これは全て大人が作ってきたものです。
そのはざまで、いろんな状況のなかでプレーしている高校生たち。言えば犠牲者になっているとも考えられます。
TV放送をやめるのはどうでしょう。無理?
じゃあ地元で生まれた選手しか入部させないなどのルール化。いい手はないものでしょうか。
この高校は、過去、公立進学高校の佐賀北高校に、満塁逆転ホームランを打たれて負けたことがあります。
その時の監督が、うちの投手がどこに投げてもボールと判定されてしまい、最期は真ん中に投げるしかなかったと言い、審判の判定は公平ではないと発言し物議をかもしたことがあります。
判定は公平でなかったのかもしれません。しかしながら根本的に、越境入学で他県の有力選手を集めて、地元の選手ばかりの地方の進学校と試合することも公平でなかったかもしれません。