卒業試験の点数集め学年が始まった長男。
その点数を稼ぐために、音楽では楽器演奏の科目を選択。
半期に一度に行われる試験には、
一ヶ月前に出る課題曲と自由曲があります。

その演奏科目を選んだのは、
もう一人トランペットをやるお友達と二人きり。
課題曲は先生がリストの中から選択します。
しかし、長男が長くバイオリンをやっていることを知っている先生、
さらにトランペットは課題曲のリストなるものが存在しないし、
選ぶのが面倒なのか、なんなのか、
長男は自分で選ぶように言われたそうです。

自由曲はこの前コンクールでやったパガニーニのモーゼ幻想曲にすぐ決定。長く長く弾いていたし、一回仕上げた曲なのであまり苦労せずに出来上がる様子。
でももう一曲は何をしようかなぁ~と迷っているのを見て、
やっぱりさぁバッハだよね、と私。
時代を変えなきゃ。
それにどうせ伴奏つかないんだから、
この際"無伴奏のソナタとパルティータ"の中から選べば?
というのを聞いて、なぜか素直に納得。

いつしか、私が外出しているときに楽譜を出してきて、
最初から最後まで試しに弾いてみた?!らしい。

私:え?全部って?何時間かかったの?
長:2時間ぐらいかなぁ?
私:で?シャコンヌも弾いたの?!
長:もちろん!
私:弾けたの?難しかったでしょ!
長:うーーーーん、
といいながら、なぜかこの頃とっても気前のいい彼、
ゴソゴソと楽譜を出してきておもむろに弾きだしました。

普段たいてい曲の初見は問題ない彼なのに、
シャコンヌ相手ではそうはいきません。
二回めのはずなのに、
「えぇ…… はぁ」と止まりながら運指やリズムを確認。
私にはお馴染みの曲なので、苦労をしている長男を見ながら、
「そうそう~、そういうな感じの曲~」とニカニカ。
でも根気よく最後まで引き通して、ぐったりお疲れ
偉いねぇ、最後までと・り・あ・え・ず・通せたねぇ。

このごろ難しいテクニックが必要のサラサーテやヴィニアフスキーなどが続いていたけれど、今回はバッハの驚異的な威嚇(力)を感じた様子。

ちょっと違う難しさだよね、というと
サラサーテとかパガニーニとか、
技術的に難しいのはその通りだけれど、
自分なりに曲を作っていけるからまだやりやすいんだ。
でもバッハってさぁ、
楽譜に書いてあることそのままをやらないといけない、
自分で音楽を作るなんてことは出来ないんだよ。
この楽譜がもうすでに音楽なんだ。

ん?そうなんだ?

そう、ロマン派の音楽なんかは音符を追っていただけじゃ曲にならないでしょ、演奏者がその音符を使って曲を作り上げていく。だから、演奏者によって曲の感じや出来上がかなり違ってくるし、逆に言うと楽譜だけだとまだ曲として不完全なんだよね。
でもバッハのはね、彼の書いた音符を正しく忠実に音を鳴らしていけば、だれでも感動する音楽になるんだ!
だけどそれがちょっとやそっとじゃ出きないんだよ。
それがまた挑戦、っていうのかなぁ、
出来そうで出来ないところが楽しいところでね、
どうもバッハ"挑発"に乗っちゃってる感じなんだ。
だからすごく楽しいよ、バッハ。

へぇ~、そうなんだ。
バッハは演奏者を"挑発"するんだ、
「お前には到底出来ないだろぉ~」って?!

ティーンエイジャーのとっても面白い意見だわね。

以前は大嫌いだったバッハ。
その挑発に乗るも乗らぬも、
今までは難しすぎて目を背けていたらしいけれど
このごろ彼の難しさが楽しいらしく、
機会があれば楽譜に目を通すらしい。

まぁ、シャコンヌは人様に聞いていただけるレベルではないけれど、
バッハと楽しく戦っている彼を端から見るのは楽しい。

そういえば、ピアノ弾く次男君だって以前、
バッハを一回大嫌いにならないと、彼を好きになる資格は無い!
と、言ってたしねぇ。

バッハに対する感じ方はそれぞれ。
ま、偉大な人には変わりないわね。
ネット、手紙、ファックスによる申し込み受付が始まるよ、
とプログラムが送られて来ました。

なになに・・・。

r.Strauss:ナクソス島のアリアドネ、
G.Rossini:セビリアの理髪師、
W.A.Mozart:皇帝ティトの慈悲、
R.Wagner:さまよえるオランダ人、
G.Verdi:運命の力、
R:Strauss:影の無い女、
G.Donizetti:ルクレチア・ボルジア、
G.Verdi:マクベス、
W.A.Mozart:フィガロの結婚、
R.Strauss:バラの騎士、
G.Puccini:トスカ、
G.Verdi:椿姫、

そうか、今年ワーグナーはオランダ人だけなのね。
プログラムがなんか偏ってる感じがするのは気のせいかしら?

運命の力に行きたいなぁ、とおもったら
オラが村のカウフマンとハルテロス嬢。

ティトは椿姫さまごひいきの、この前残念絶不調だったトビーくん。

ルクレチア・ボルジアはグルベローバおばさまとブレスリク、

マクベスはあらら、ネトレプコ女史、

フィガロの結婚では彼女の元旦那シュロットが伯爵を、

え?トスカにもハルテロス嬢、また出る?

おや椿姫にはドタキャン女王?!ダムラム、
と言う風になってます。

歌のリサイタルでは
オペラ二演目に出て、リサイタルもしちゃうの?
ハルテロス嬢がブラームスとシューベルト、

ミュンヘンでは絶対お呼ばれカウフマン、
まだなにを歌うか決めかねているご様子、

ソプラノ、マーリス・ペーターゼンがブラームスにシュトラウス、

ルネ・パーペがベートーベンにドヴォルザークなどなど、

大御所トーマスハンプソン、シュトラウス

このごろオペラにあまり縁のない私でも、
とりあず知ってる人がずいぶんと歌うのね。

だめもとで運命の力とフィガロを申し込んでみるか。
昨日会ったばかりのSarahさんと今日もちょっとしたことでお茶。
その待合場所へ行くまでの車の中で、
突然流れてきたカウンターテノール。
実はカウンターテノールをまだ一回も耳にしたことが無かった私・・・。
突然流れてきた歌に"ぎぇぇぇぇ~”という感想とともに、
ぞくぞくぅ~と鳥肌が立ち、
運転もままならなくなってしまいました。

その話を早速Sarahさんに話したら、
彼女お気に入りのカウンターテノールはそんなことないそうで・・・。
聞いてみて、とチェンチッチとファジョーリが歌っているのを2曲ずつ送ってくれました。
"A' piedi miei svenato" (Cencic)
"Dolce mio ben, mia vita" (Cencic)
"Perche tarda e mai la morte"(Fagioli)
"Vo solcando un mar crudele" (Fagioli)

さらにラジオから流れてきたのは"Kai Wessel"という歌手だということも調べてくれました。


さて先ほどその4曲を聞いていたところ、横から顔を出した長男。
本当にカウンターテノールなの?とびっくり。
カヴァーを見せたら、へっへっへ・・・・、とニタニタ。
しかし、少し前に授業でカウンターテノールのことをやったときに聞いたCDとは全然違う!と彼も(私同様)興味津々です。

私はファジョリのたまに聞こえるテノールの声が少し気になるかなぁ、
そしてチェンチッチのメゾソプラノそのものに拍手。

しかし、長男は二人のほんのさわりを聞いただけで
ファジョリの方が上手いと言います。
彼の耳には、
ファジョリの音の取りがチェンチッチよりも自然なんだそう。
音程もきっちと決まって、音楽的に聞いていて違和感ないらしい。
さすが、バイオリンで高い音を聞きなれているだけある?(あんまり関係ないかな?)

へぇ、そうなんだ・・・。私は関心しきり。

昔、カウンターテノールになるには去勢したけれど、
今の時代こうやって歌えるようになるには、
テノールがBauchtöne(腹式音?)とKopftöne(頭に抜ける音?)を重点的にトレーニングしたからなんだ、と長男は学校で習ったとか。

ふぅ~ん、面白いねぇ。
今更ですけれど、少し興味を持った次第でした。