話が前後しますが、
ゲルギエフ・ストラビンスキーのコンサート行く前の週に、
久しぶり、バイエルン州立歌劇場にてドニゼッティの愛の妙薬を見てきました。

Musikalische Leitung Carlo Montanaro
Inszenierung David Bösch
Bühne Patrick Bannwart
Kostüme Falko Herold
Licht Michael Bauer
Dramaturgie Rainer Karlitschek
Chor Stellario Fagone

Adina Aleksandra Kurzak
Nemorino Pavol Breslik
Belcore Levente Molnár
Dulcamara Ambrogio Maestri
Giannetta Iulia Maria Dan

4月にネットでプログラム検索していたら、
あらら、ブレスリクが歌うんじゃありませんか。
私は彼のものすごいファンではありませんが
このごろの歌手の中ではまぁ、名前を覚えているし、
なにせとってもお得でお安い席があったので即買い。


話の内容は
頼りない夢見る男(テノール)ネモリーノが気高く美しいアディーナをものにするまでのお話です。
恋敵は強くたくましい軍曹ベルコーレ(バリトン)。
ネモリーノが頼りにするインチキ薬売りのデゥルカマーラ。
だいたいこの4人で繰り広げられるドタバタ劇です。

座って舞台を見たら、
おやぁ、これからなにやら変な楽しいことが起こりそうな幕が・・・。


期待を裏切らない演出が終始楽しく、とにかくネモリーノを歌ったブレスリックがはまり役。これでもか、というぐらいアホさぶりを披露。彼は3mぐらいの高さまで円柱によじ登ってアリアを歌ったり、下着姿になって女性に囲まれて愛の歌を歌うところなんか、セクシーというよりも”大丈夫?”。ちょっとネジが外れてしまった役どころを”自”でやっているようです。(爆
拍手アンコールでもまだ役が抜けきらなかったらしく、ずっとまわり相手にふざけっぱなし。愛の妙薬が入ったポンプ(オリジナルだったらワインの瓶のはずなんですけれど・・・)を振り回してまわりに水を飛ばして大喜びしてました。

アディーナを歌ったアレクサンドラクルチャックはかわいらしくて、歌もお上手。
配役にぴったりの容姿で、見ていても気持ちよかったです。
ベルコーレのレヴェンテモルナール、ドスの聞いた声におぉ、見惚れてしまいました。

しかしこの日の私の一番お気に入り、
丸い宇宙船のような変な乗り物に乗って出てくるデゥルカマーラを歌った体格も貫禄もばっちり、アンブロジオマエストリ。彼はピカイチでした。彼が歌うとオペラハウスまで歌ってるんじゃないか、というぐらい声に光沢と張りがあって私は終始うっとり~。
私の見たこの日の出演者みんなが演技も上手く、挙句に歌の内容も舞台もふざけた感じがすべて相まって、大爆笑な一夜を過ごせました。オペラでこんなに楽しい気分になったのは久々、いや始めてかもしれません。

アンブロジオマエストリは来季、ミュンヘンでたくさん歌う様子。
まぁ彼だけでなく、いろいろとお目当てが出来たので少しは頻繁にオペラに通いそうです。

5月23日金曜日、ゲルギエフの指揮するマリンスキーオーケストラでストラビンスキープログラムを、主人と長男と3人でミュンヘンのフィルハーモニーホールへ聞きに行きました。

その前の日の木曜日はあまり有名でないストラビンスキープログラムだったせいか、なんと聴衆の入りは50%程度だったらしいことが、今日の新聞レビューでありました。

でも私たちが行ったコンサートは満員御礼の売り切れで、「チケット買います」の人たちを見かけるほどでした。

プログラム
Symphonie in C:交響曲ハ調
Konzert für Klavier und Bläser:管楽器とピアノのための協奏曲
ピアノ:Daniil Trifonov:ダニール トリフォノフ
Le Sacre du Printemps :春の祭典

このコンサート、こんな(ググったら)超のつくくらい新進有名若手ピアニストと一緒で、メインが春の祭典じゃぁ、だれでも楽しみにしますね。

最初の交響曲ハ調はなんかあまり冴えないオーケストラの音に”ん?!”と思いました。曲の出来もコンパクトでなんとなくダイナミックさが欠けてて、少し残念。木管が高めだし、アンサンブルが悪いのよねぇ・・・。しかし、これがマリンスキーオケの音なんだ、と自分に言い聞かせます。
いつも聞くミュンヘンフィルとかバイエルン放送響とは音色が違うんです(もちろん)。これぞ”ロシアオーケストラの音!”、などと書いても説明になってませんね。

バイオリンは弓がぴったり、音程もばっちり、見ていてロシア軍のパレードを見ている気分に。ビオラやチェロも聞いてて上手だなぁ、と思いました。
トランペットは軍が行進しているその後ろで、なんの乱れもなく、ぱーーーん、と響く感じなのに、ホルンは霧の向こうからぼわーーーんと聞こえてくるような暗くて、影のある音でした。時にはそのホルンが木管の音に聞こえたりして、すこしびっくり。

45分終わった後に、管楽器とピアノのための協奏曲。
私このピアニストと曲自体を知らなかったのですが、
いきなり最初から、そして最後まで連続パンチされて、完全に打ちのめされました。
開いた口がふさがらない・・・、はぁぁぁぁ?この人なにもの?
私からは見えなかったのですが、手と足が本当に忙しく動いていたらしいのです。それにこの速さで鍵盤を連打したら、お安いピアノでは鍵盤が戻ってこなくて音が飲まれちゃうだろうなぁ・・・、やっぱりスタインウェイ?!と変なところに関心してしまいます。

日頃ピアノ弾きの次男君が「ママ、スタインウェイの鍵盤って本当にちょっと触っただけで音が出ちゃうんだよ、うちのボストンとかとは違うんだ!」と言うのを思いだしたのです。

私はいつも後ろに座るので、協奏曲などを聞くとソロ楽器の音は後ろまで届いてこないのです(そんな変なホールなんです、ミュンヘンフィルハーモニーホールって)。しかしこの時のピアノの音は管楽器とやりあいながら、ホール後ろまできちんと響いてきました。いったいどんなパワーで叩いてるんだ、この人・・・。見ると時折鍵盤に上から乗っかるようにして弾いてました。

アンコール2曲目で、なんと我が旦那の一番のお気に入り、「火の鳥」ピアノ版を披露してくれました。もうこれで観客はノックアウト。総立ち拍手でブラボーの嵐。
オケの出来は前プログラム同様、いまいちな出来でしたが、ソリストに敬意をはらって滅多に立たない私も素直に脱帽しました。

さて、ここで既に一時間40分は経過して休憩へ。
春の祭典もそれほど長くないとはいえ、それでもねぇ。長丁場です。
長男は時折、こっくり、こっくり。
ちょっとあんた、いくら高くない席だって、いつもの倍の値段してるんだから寝ないでよね、もったいない!と文句も言いたくなりました。

休憩のあと待望の春の祭典。

始まって、あら?
あららら?前の二曲とはオーケストラのパワーが全然違います。
ちょっとさぁ、みんなこのために体力温存してた?と思わせるパンチの効いた音です。こうなったら、最後まで一気に緊張感が続きます。

ちょっとした楽章の間や、途中で多くの聴衆が咳をするここミュンヘンなのに、この時ばかりは本当に静か・・・。会場全体に張り詰めたピリピリ感で感動は頂点に達しました。
ここで始めて、あぁぁ、このオケの音ってこの曲にぴったりだわ、と納得。

もうこれもブラボーの嵐。
この満足感。普段あまりコンサートに興味ない旦那までめずらしく大満足でした。

3回めに拍手で呼び出されたときに、いきなり指揮台に立ち、手を振り上げ、まさかのアンコール。初めはえ?これは何の曲?バイオリンの綺麗な細い張り詰めた音がながれるところに他の楽器が和音をのせていき、曲は壮大な景色を映し出すようにゆっくりと大きく流れて行きます。ここで始めて、ワーグナーじゃん!(っと失礼)。
こんなに綺麗なワーグナーも始めて、とみんなが思っていたのでしょう、曲が終わっても5秒以上の静寂に包まれる中、気分は高潮していくのです。

これには聞いているすべての人がびっくりしたことでしょう。
お隣の人が「ローエングリーンね!」と教えてくれました。

とにかくピアニストといい、この春の祭典といい、高かったけれどチケット買って良かったね、といううれしい楽しいコンサートでした。

先週末にフランクフルトへ遠征してきました。
一昨年だったか、もっと前だった?
椿姫さんにご厄介になり、
ロンドンへお友達Sarahさんとオペラ遠征して以来です。

指揮:マリスヤンソンス
オーケストラ:コンセルトヘボウ
バイオリン:F。P。ツィマーマン


モーツアルト:バイオリンコンチェルト3番
ブルックナー:交響曲4番

ミュンヘンのバイエルン放送響とこのコンセルトヘボウ常任指揮者を掛け持ちするのマリスヤンソンス氏。先日こちらのコンセルトヘボウを退任すると公表されました。理由はもちろん、体力的な問題。ここ数年は心臓麻痺から倒れて復帰以後、体調不調でキャンセルが続くことが多々。
バイエルン放送響とのブルックナー公演もキャンセル。

私事のここだけの話?!ドイツ行きを後押ししてくれたのは実はこのブルックナー交響曲なのです。それにやっぱり一度は聞いておきたいヤンソンスのブルックナー。
さらに少し前にMevrouwさんのこのブログを読んで、とうとうえいや!とチケット購入してしまいました。今回逃したらおそらくもう聞けないだろうなぁ、彼とコンセルトヘボウ・・・。
このコンサートツアーは各地を巡ってきているから、お疲れだろうけれど・・・。
どうぞ、みなさん体調不調になって、キャンセルになりませんように・・・。
半分祈る気持ちで行ってきました。

場所はフランクフルトの名所、旧オペラ座(ヴィキ→)

外観はとっても立派。入ってみると、ホールも立派です。


収容人数は2000人強。
オーケストラを聞くときはなるべく後ろに座る私。
座ってホール内を見渡すとなかなかこじんまりした感じがしました。
いつも行くミュンヘンフィルハーモニーホールは2400人弱。
あまり数は変わらない感じがするのに、それ以上の大きさの違いを感じます。

音合わせが終わって、指揮者登場・・・。
ん?なんかヤンソンス、ヨタヨタしてる感じ。
老け込みを感じました。
先日見たロリンマゼール84歳ほどじゃないにしても、
そろそろ”そのイキ”に入っている様子にびっくりです。
これじゃぁ、どちらかの常任指揮を辞める決意をするのも分かりました。

第一曲目、
モーツアルトバイオリンコンチェルト3番。
初めの音を体いっぱい使って弓をアップさせるツィマーマン。
彼の立っているところからは比較的遠くに座っているのに、
よく音が聞こえてきます。

これがいいホールと悪いホールの違いなのね。
ミュンヘンのフィルハーモニーホールでバイオリンソロなんて聞いたら音がか細くなって、醍醐味を感じられないのです。そしてもう一つのヘラクレスザールも座る場所を選ばないと音のつかみ所がなくなってしまうホールです。


軽すぎずそれでいて重すぎないオーケストラの音に包まれて気持ちよさそうに音を出すツィマーマン。
音程も(もちろん)綺麗。
あちらこちら力の入れすぎか、ツアー真っ最中で気分ノリノリなのか、時折つぶれてしまったような音が聞こえてくるけれど、でもそんなミニミスは一瞬にして忘れさせてくてます。
カデンツァも最近聞かれるような超現代風でなく、至って王道オーソドックスだけれど、難しい重音を綺麗に響かせて・・・。

彼はバイオリン一本でオケに負けない荘厳で華やかな音楽を作り出すことが出きるんですねぇ。関心してしまいました。


二楽章の嫌なところは伸びる音をどこまでオケと一緒に、またオーケストラの音から受けて綺麗に響かせるか、ということ。これが出来ないと、まぁなんともつまらない楽章です。
だって楽譜には"シロタマ”ばかりがならんでるんですから。
でも私にはあっと今に三楽章。そして勢いで最後まで・・・。


オケの方はバイオリンに集中していたせいか、あまり特徴なく、控えめな演奏。
それがいいオケ伴奏なのかもしれませんが。
しかしねぇ一番気になったのは、ファーストホルン・・・。音の出だしを数回外し・・・。
この人まさか、ブルックナー4番でもファーストやらないよねぇ・・・、絶対違う人がやるよねぇ・・・。
だっていきなりのホルン”どソロ”、この人じゃぁ絶対不安だわ・・・。
などど心配になってきてしまいました。


でもそんなことはとりあえずどうでもよくて、
ツィマーマンは無事終了。
ブラボーに大拍手・・・。


アンコールはパルティータと言う話・・。
私はシャコンヌ聞きたかったなぁ、と思ったけれど・・・・。
そんな贅沢は言えないわね。


さて、ツィマーマンが再び出てきて静まり返ります。
そして初めの音が出たとたん・・・・・・、


がっくり・・・。


えぇぇ~、なんでぇ~、パルティータの三番プレリュードかいなぁ~。


誤解の無いように言います。
彼の、このホールで聞かせてくれる生のプレリュードはすばらしい、ピカイチなんです。感動します。でもねぇ・・・・、数ある無伴奏ソナタにパルティータからなんでわざわざこれを・・・。


このアンコールを聞きながら、私の脳裏には走馬灯のように・・・。
小さくしてこの曲に始めて触れて、練習していたわが長男を思い出しました。
あれは確か7,8年も前?
この母も日々その練習を聞いたし、一緒に楽譜のお勉強もしたので、この曲の隅から隅まで細かいところを十二分に知っています。いくら素晴らしい演奏するツィマーマンが弾いても、この曲ほんの少しのミスも耳についてしまいます。
楽しむと言うより、この期に及んでまで曲の難しさを再確認するはめになってしまいました。


帰宅後その話を長男にしたら、
ママさぁ、それってやっぱり「スパルタ教育ママ」をやった後遺症だね!
と大笑いされてしまいました。


ふん・・・・、
休憩に入ります。
外へも出ずに私はプログラムにつらつらと、いやみたらしくツィマーマンがどったらこったら、あの部分がどったらこったら、ホルンがどったらこったら・・・、文句ブツブツ書き込んでいました。(爆


さぁて、大好きなブルックナー4番。
オケの配置からホルンのファーストは、さっきの人だぁ。
もうそれを見た途端にハラハラドキドキ・・・。
うーーーん、

バイオリンのトレモロが静香に始まります。
ドキドキドキドキ・・・・。
ホルンの・・・・、プワーーーーン
緊張、緊張。でもこんなに大音響で始まっちゃうんだっけ?
たしかピアノぐらいで始まるんじゃなかったっけ?
などと思っているうちにホルンの緊張感も取れたようです。
その中でもクラリネットやフルート、木管パートに目が行きます。
トランペットとフルートの音程もぴったりだし。
聞いてて本当に気分よくなりました。

ホールの音響もいいんだろうけれど、
やっぱりこのコンセルトヘボウの鳴らす音もいいんですね。
とにかく音が綺麗に透き通ってこちらに押し寄せてきます。

これを聞いていて、はたまた感傷的に昔のことを思い出し少しうるうる・・・。
もう20年も前の、生前チェリビダッケのことなども含め、
いろいろな思い出が心の底から泉が湧き出るように溢れ出てきました。

でもねぇ、このホルンの出来はいまいちだったのよ・・・。
この曲を吹きこなすことが出来る!というだけで、私には感動なんですけれど・・・。
たぶんツアーが重なって疲れてたんでしょう。
というか、私はやっぱりビール腹したがっちり体系が吹き鳴らすホルンが好きなかもしれません。

今度ミュンヘンで聞く機械があればやっぱりブルックナー聞いてみよ~。

3回も4回も拍手に呼び出されて・・・、
もういい加減、帰してあげようよ、と可愛そうになるぐらい疲れていたヤンソンス。
彼の精気をここでも目一杯使い込んでしまったんでしょう。
ブラボーでした。