林業、農業、国土を守る、強靭化する | ずるずると道・郷・話を愛でる

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房総半島から栃木県北部を中心として、
街と街を結ぶ県道・国道・峠道を巡回しながら、
持続可能で成長する日本の未来の為に成すべき事を考えます。
日々の個人的な興味について書くこともあります。

二兎を追う者は一兎をも得ず、であるが、なにか病的にこだわっている「カネ儲け」から本当にあるべき循環を取り戻せば、それは実現するのである。(絵は「のうりん」12話より)

 

林業が衰退している。そんなことを訴える記事である。よくよく考えれば実は”何を今更な”記事であるが、それだけどうでも良いこととして意識から失われてきた、という危機感を持つべきものであろう。この林業の危機は、当方の趣味領域である廃道的林道の訪問にリンクするものである。そう、まさに、林道を訪問しているとそのおかしさは感覚的に理解できたのだった。

 

藤井 聡 
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/1336954113072195 

現代の日本の「林業」は、「瀕死」の状況にあります。 

言うまでも無く日本家屋は全て、「林」で生産される木材(および紙)で作られていました。 しかも、林業が日本全国の国土の「約7割」もを占める森林が「荒廃」しないように保全する、と言う重要な役割を担っていたのです。 ですから、林業は、稲作同様、「日本が日本であるための必須の産業」、だったのです。 

ところが・・・・戦後、急速に木を中心とした日本家屋は減少していくと共に、輸入木材がどんどん増えていきました。 その結果、林業従業者は実にかつての10分の1程度にまで減少し、高齢化率は他産業の三倍以上の水準にまで達してしまったのです。 

ここ10年ほど、幾分改善の兆しを見せていますがそれでもまだ、林業従業者数はかつての7~8分の一程度の水準に過ぎません。 

「日本が日本であるため」に、稲作農業を守り続けることと共に、林業を守り続けることが必要不可欠なのです。 林業活性化のために、何をどうすればいいのか・・・・これからもどうすべきか、真剣に考えなければなりません。 

https://www.shinrin-ringyou.com/data/img/forester/gra01.png

 

林道的な道路(県道ではあるが、黒磯田島線、塩那道路もその一種だろう)の訪問記録を見ると、なにやら自然破壊がどうのやたら自然博愛的な理想主義を振りかざして感想を述べることも多いのであるが、自然そのままではなく、自然の自然をもらいながらそれを維持していくということを続けてきた先祖の活動の続きだと思えば、無碍に自然博愛的な意見を述べるのは少し違うと思ってしまうのだ。

 

県道黒磯田島線(県道369)の福島県側の通年通行止めの少し入ったところも、歩いてみればわかるが林業がいとまれていたはずのところであった。しかし、毎年それが行われることはなくなり、何年かに一度(10年以上?)に伐採する程度となった。その時だけ(2016年・平成28年)にこのゲートが解放(といっても関係車両以外進入禁止)となったのだった。この県道は林道を兼ねており、林道は林業とともにあることを思い出させるエピソードである。供用中であるはずの栃木県側も通年通行止めが20年以上続き、そういう道だったはずだが、2014年以前には車が入れたぐらいに整備されていたはずの道は、すでに、土砂崩れ、倒木、落石、路盤欠損が放置されすぐには通れない状態のままである。

 

卑近な例ではあるが、「のうりん」というラノベおよびアニメで主人公が述べた言葉の内容が印象的だった。ヒロインの一人が、山や田んぼや林の広がる田舎の風景を見て、「自然豊かね」と言ったのに対して、「ここから見える景色に自然そのままのところはないんだ。」と答えるシーンがあった。まさに、そうやって自然と付き合って、自然から自然を頂いて生活を営んできたのである。

 

 

戦前から昭和30年代にかけては、住宅の建設をになっていたのが国内の森林資源であったことも有り、木を切り出して運搬し、植林をするという流れが産業として存在していた。そのうち、森林軌道という切り出したものを運搬する運輸機関に興味があったのだがそのようなものが存在し得たのもまさに、それが産業として成り立っていたからである。マア、その結果、世界に稀に見るスギ花粉大国にもなってしまったのではある。

 

それはともかく、戦後の木材の調達方法は、自由貿易の元、東南アジアからの入手が殆どとなってしまい、国内の林業はほとんどその需要を失ってしまった。当然ながら林業そのものがほとんど立ち行かなくなり、それを営む人々も減っていき・・、高齢者が加速、継承者もいなくなっていく・・。この構造は、農業とかなり似ている。というよりも、農業の衰退より相当早い衰退である。それを物語るように、林野庁なる産業省庁は形はあれど、かつての営林署は森林管理局と名前を変え、ほとんど観察するだけのようなレベルになってしまっている。

 

国土をなし、建材の独立を支えるはずの林業や、食の独立を支える農業を、経済原理、自由貿易至上主義の名の下、衰退させるのみで放置してきた罪は、国土・国家の衰弱という形で現実に襲ってきているのである。

 

筆者もよく訪問する山あいの道は、かつては、通行するだけ、観光目的だけというわけではなかった。山あいの道を放棄することが多くなっているのは、まさに、この林業の衰退と同期してのことであり、もっと直接的には、山の治水能力の低下による大雨による土石流・土砂崩れ被害の増加という日本の特徴的国土形状の保全能力の減少が起こっているのである。

 

 

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