鼻先にニンジン | 生物学者ママの実験的スイス生活

生物学者ママの実験的スイス生活

スイスドイツ語圏最大の都市で、仕事と子育てに奮闘中の研究者ワーママ。人生の3分の1以上をすでにスイスで過ごし、すっかり現地に同化中。
夫ともはやチビではない息子たちとの家族4人の日々の生活を、生物学者としての視点で(独断と偏見も交えつつ)考察します。

スイスとドイツで共通の、小学生対象の全国統一テストのようなもの、カンガルーテストというのが存在する。

どうやらドイツはほぼ全員受けているようだが、スイスでは学校によって受けるところ受けないところがあるらしい。

うちの兄弟が通う学校ではそれぞれ希望者が受験できた。

年齢別(2学年ずつ)の問題設定で、知能テストのようなものである。

当然、2学年の上の学年の子の方に、人生経験(?)と教育歴が長い分、若干有利となる。

 

スイスだけだと子供の数が少なく受験者数も限られるため、全体の中でのレベルを把握するのには統計的に少し頼りない感じなのだが、そこは人口が十倍違うドイツが入ることで、受験者数は学年あたり10万人近くに達し、かなり客観的に子供の学力レベル(テストの問題の性質からは知能指数に近いかもしれない)を知ることができる。

 

今年はおびちゃんのほうは、2学年のうち下の学年に在籍のためちょっと不利、ぶぶちゃんのほうは上の学年に在籍なので少し有利、という状況だった。

おびちゃんは過去数年間、めんどくさいという理由で親にテストの存在も言わず勝手に受けていなかったようであるが、ぶぶちゃんのほうは去年は下の学年にしてはまあまあな線にいっていた。

 

そこで、今年はご褒美を提示することにしてみた。

わかりやすく鼻先にニンジンである。

もし(というか万が一、いやほぼ億が一に近いかも)全問正解したら、iPadをかってやる、というものである。

 

これはほとんど冗談で、ドラえもんのび太のパパが「100点取ったら世界旅行」というエピソードに近いノリであった。

まさかひっくり返っても満点はとれんだろう(のび太が百点取れないのと同程度に!)とたかを括っていた。

しかし現金なぶぶちゃんは、このニンジンに見事に釣られ、食らいつこうと必死に頑張った。

悲願の自分専用iPadである。

過去問を印刷してやったら、ヒマに任せて熱心に何年分も解いていた。

 

その必死な様子を見て、こりゃもしかするかも?(ノリでまずいこと言っちゃった)と思っていたのだが。。。

蓋を開けてみれば残念ながら(さすがに!)1問不正解だった。

 

全問正解者は全体の0.3%ほどで、さらにその上位部分は天才レベルの子供達の話、こんなテストでは推し量れない能力を持つ人たち(満点以上とれる余地がある)である。

ただ、全問正解でないにしろ、ぶぶちゃんもかなり頑張ったのは確かである。

約束であるから、iPadというわけにはいかないが(ホッ)何か欲しいものがあるか?といったら、東京リベンジャーズコミック全巻を所望された。

 

ぶぶちゃんは兄(=おびちゃん)がいる影響で、日頃から少々実年齢よりは上の世代向けのコンテンツに晒されており、良いのか(難しい漢字にも触れられて日本語教育には良い、実際書けなくても読める漢字は相当ある)悪いのか(男の子向けの漫画はどうしても暴力的な傾向がある、まさか真似はしないと思いたいが)少々悩ましいところではあるのだが、まあ頑張ったことだしとおもって、気前よく全巻電子書籍を買ってやった(読むのは私のiPadである)。

 

実際、読書をしろといっても、もはや普通の本は面白くない(刺激が足りない)のだろう、ほとんど読んではくれない。

普段からゲームやアニメなどの展開も早くストーリーも奇想天外な刺激にさらされている世代にとっては、もう我々が子供の頃喜んで読んでいたような古典的な児童書は時代遅れもいいところ、まどろっこしくて何にも面白くないのだと思う。

それはもう仕方ないように思う。

だが漫画であればかろうじて読んでくれるので、それでも読まない(読む習慣がつかない)よりはだいぶマシだろうとおもって、流行りの漫画や、なんとか少しは教育的な漫画(サバイバルシリーズなど)を与えている。

少しは役に立っていると思いたい。