bärlauch(ベアラオホ)の季節 エキノコックスに注意! | 生物学者ママの実験的スイス生活

生物学者ママの実験的スイス生活

スイスドイツ語圏最大の都市で、仕事と子育てに奮闘中の研究者ワーママ。人生の3分の1以上をすでにスイスで過ごし、すっかり現地に同化中。
夫ともはやチビではない息子たちとの家族4人の日々の生活を、生物学者としての視点で(独断と偏見も交えつつ)考察します。

英語ではramsons(ラムソン)、wild garlic, bear's garlicなどと呼ばれるらしい。
しかしエキノコックスが存在するこのあたりで、その辺に生えている野生のものを生で食べるのは少々ためらわれた。
なぜなら、このあたりはキツネがとても多いからである。

エキノコックスは、
ヒト寄生生物のほとんどがバクテリア、もしくは生物かどうか定義は微妙だがウイルスであるのに比べ、珍しいタイプの寄生生物である。
症状が出るまでの潜伏期間は10-20年、成長の早い子供では5年ほどらしい。
そんなに時間が経っていては、いつ感染したかもはっきり特定するのは難しいだろう。

生活環や感染経路は完全にはわかっていないようだが、キツネが媒介するのはよく知られている。
日本では北海道を中心に毎年数十名程度が発症している。
北海道の人口や旅行者の数を考えると、決して高くはない。
むしろ、口にしたとしても発症する確率は低いと言っても良いのかもしれない数値ではある。


ただし、うちは夫がやけに口うるさいので、野外で採ったものを生で食べるのはベアラオホに限らず御法度だった。
ベリー類もその対象で、木の下の方からは絶対摘まなかったし、生のベアラオホを使うペストなんて論外だった。
おいしいのに(笑)

しかし最近、エキノコックス研究の専門家の人の話を聞く機会があった。
その話を要約すると、あからさまに汚れていない限り、洗って食べればまず大丈夫でしょう、ということらしい。

スイスで毎年何人感染者が出ているのかは知らない(ドイツ語で検索すれば出てくるのだろうけど)。
しかしまあ、行政から食べてはいけないというお触れが出ていないところを見ると、そう目くじら立てるほどではないのだろう。
スズランの葉と間違えないようにとはよく言われるが、生で食べていけないとは聞いたことがない。

しかし、気をつけるに越したことはない。
確率は低くても、決してゼロではない。
夫も、この話を聞いてからは以前ほどうるさくは言わなくなったが、洗うのは必須である。
しかしやはり気にはなるので、外で摘んだものよりはいくらか安全そうなスーパーで売ってるものを使うことにしている。
摘むのも手間だが、買ってもごっそり入って数フランである。

エキノコックスは相当痛いらしいので、できれば避けたい。