小説「愛のあとにくるもの」
これもまた、
「冷静と情熱のあいだ」と同じく、
男性側からの視点と女性側からの視点。
2つの物語が存在する小説です。
「愛のあとにくるもの」
とは、
日本人男性と韓国人女性の恋愛
男性側からの物語を担当したのが
辻仁成さんです。
7年前、出会い、愛し合い傷つけ合い、やがて突然の別を迎えた男女。それでもなお忘れられなかった。
やがて小説家となった彼は、かつて別れた彼女に向けて 一つの物語を仕上げる。そうして書かれた小説が縁で7年後に再会をはたすわけなのですが、過去と現在、時空を交差させながら描かれていきます。
7年前に別れたのち、彼が気付けていたことが紐解かれていく。2つの国の歴史的背景や価値観の相違、取り巻く環境の隔たりなどに理解を深めたうえで、彼女が抱えていた不安や孤独の芯に辿り着き、シンプルに伝えたい言葉へと繋がっていきます。
”人の気持ちを理解するには、
その人と同じ立場に
立ってみることが大事です”
という言葉が作中にでてくるのですが、別れたのちも忘れられず、彼が彼女に思いを寄せ、まず何をしたかというと、いつも走っていた彼女を思って、自分も同じ場所で同じ距離を走ってみる、そうやって身心に訪れる気付きがもたらしたもの。そういうシンプルな寄り添いが意外でした。
7年後の再会を経て、彼の気持ちと言葉は彼女の心に届けられたけど、その後、2人がどういう未来を選択していったかの答えまでは描かれていません。だけど。
7年分のラストスパートの先に
新たなスタートラインが
見えたような気がする。
私が読んだのは あくまでも男性側から見た物語なので、女性側からはどう見えていたのかは分かりません
女性側は韓国の作家・孔枝泳さんが描かれているのですが、こちらの本はなかなか入手が困難でまだ読むことが出来ていません。
誰かを愛し
思いを寄せる
過去の記憶に まどろみ
現在のなかに 引き寄せられ
行ったり来たりを繰り返し
やがて焦点が見えてきて弾けて
走り出す。
そういうスピード感に乗って
駆け抜けていくラストシーンが
心地よかったです。
もうすぐ韓国でドラマ化されるそうです。
先日、辻仁成さんのブログで紹介されていて、気になって小説を読んでみました。どんなふうに描かれるのか気になります。