昭和プロレスその21~昭和巌流島の戦い | ジジイが来たりて愚痴を吹く

ジジイが来たりて愚痴を吹く

人生還暦を超えていよいよロスタイムに入りました。
いろいろ過去をふりかえりながら未来を描きたい
#MIOつくし #FC草津26期生

1974年3月19日

NWF世界ヘビー級選手権

王者アントニオ猪木対挑戦者ストロング小林

の一戦は当時のプロレスファンを興奮の坩堝に

叩き落した。(どんな日本語?)

裏でどのような政治的な動きがあったか知る由

もないファンは国際プロレスを離脱し体一つで

猪木に挑戦する小林に判官贔屓としての応援を

送る。しかも調印式では神妙な顔つきの小林に

因縁をつけ猪木は殴りかかる。

試合前からこの一戦に小林を光らせるため猪木

は悪役を買って出たのである。

日本人団体エース同士の対決に蔵前国技館は

16,500人の観衆で埋め尽くされる。

人人人人~

まさに立錐の余地なし。満員で膨れ上がった国技館

人口密度が凄まじい

 

両者入場

試合開始前のチェック。

猪木はしかし小林を完全に見下しており、

両腕を組んで海原雄山もどきで「儂をどれだけ

うならせることができるかやってみい、士郎よ

省三よ」と上から目線。

まさに至高と究極の対決。

ゴングが鳴る。

なかなか組まない両者

じらされるファン。

さらにロークブレイクの際足をかけ小林を転倒

させる。販れ間際にパンチを見舞い、もろに

あごに入った小林は悶絶。

会場はさらに小林に声援を送る。

これは事実上のKO負け。

やはり冷静に見ると猪木の手のひらで動かされていた小林。

両者の力量の差は如何ともしがたい。

 

試合をコントロールするために猪木は試合前、

中を通じて悪役を演じる。この現在のプロレス

で表せない間も昭和プロレスの魅力。

終盤血みどろの猪木がリバーススープレックス

で切り返しバックドロップ一閃

完全にカメラ目線の猪木

さらに両足が浮く原爆固めで小林を葬る。

猪木と小林は当時どちらも好きであったが

脳内ではほんのわずか猪木の方が上だったので

この結果には満足しましたね。

小林の135kgの巨体を首一本で支えた猪木。

体を鍛えたプロレスラーの面目躍如。

 

存在感そのもので魅了する馬場にはビジネスが

勝手に集まってくるが

存在感以外で魅了する必要のある猪木は自ら

動かなければ勝者にはなれない。

この一戦は新日本プロレスという企業力が

お膳立てを整え、新間マネージャーによって

旬の食材であるストロング小林を獲得し、

料理の仕方は猪木さんお任せしますね、と。

猪木はいったいいつ熱を入れるのか

美味しさをグレードアップするにはいつまで

冷ましておくのか。

客にはいつ完成を見せるのか?

希代のプロデューサーでありアクターである

アントニオ猪木が作品を提供する。

そんな流れをいったい令和の時代誰が行えうる

のか?

感嘆せずにはいられない。

 

追伸:小林の行動をキャッチした全日本の裏の

フィクサーは国際を離脱するなら全日本の方が

いいと勧誘する。

新しい作品を常に作り出す猪木に対して

猪木から作品を奪うことで優位に立とうとする

馬場。小林の獲得はならなかったが、この後

ビルロビンソン、スタンハンセン、維新軍と

獲得に動く。カールゴッチまで手を伸ばして

いたのでそれこそなんだかなあ、である。