ジジイが来たりて愚痴を吹く

ジジイが来たりて愚痴を吹く

人生還暦を超えていよいよロスタイムに入りました。
いろいろ過去をふりかえりながら未来を描きたい
#MIOつくし #FC草津26期生

1973年1月9日 東京都体育館
世界Jミドル級タイトルマッチ15回戦
同級王者 輪島 功一(三迫)
 引き分け
同級1位 ミゲ-ルデオリベイラ(ブラジル)

(確か)ボクシングマガジンでオリベイラの
特集があり、対戦相手に名だたる選手が
いなかったため専門誌も実力を計り損ねており
「実は井の中の蛙?」という見出し。
輪島は初防衛戦でイタリアのチベリア、
トリニダードトバコのドノバンを連続KOで
葬っており、勢いに乗っている。
三度目の防衛戦は最強挑戦者の触れ込みで
しかし一週間前には大場が劇的な逆転KOを
飾っており、輪島陣営はピリピリ。
試合前の記者会見で三迫会長が
「顔を腫らしてKOするのが凄いのか?
輪島をみてくれ!打たさずに打つ!これが
本当のボクシングだ」とかなり意識した発言。
相当肩に力がはいる空気となる。

しかしオリベイラは正真正銘のランキング1位
であった。
デフェンスは恐ろしく固く
基本に忠実なワンツーから
一旦左をフェイントし
すぐに続ける左のボディブロウは威力満点。
そこに強烈な右が追い打ちをかける。

オリベイラの入場がかなり遅れ、赤コーナーの
輪島は結構待たされる。実はオリベイラ
ウォームアップをじっくり行い輪島は結果的に
体を冷やすことになってしまう。
必要以上に入れ込む流れになった輪島は
「先手を取る」と積極的に前へ出る。
ロープに追い込んだ輪島は、しかし
はたくような右がカウンターではいってしまい
ダウン!レフェリーはすぐに起き上がる輪島を
見てスリップの判定。

ドテンっと倒れる輪島
逸見アナ「輪島ダウン!いやスリップの判定」
解説の矢尾板さん「いやあ~これはダウンですよね。(苦笑)」


試合を見ていて輪島はよくこんなにノーガード
で突っ込んでいくなあ、とビビってましたし
正確無比なアッパーでヒヤッとすることも多く
しかし紙一重で避けている、とも言えたわけで
「ボクシングは勇気だよね」という輪島の言は
この試合でも遺憾なく発揮させている。
中盤から守りに入ったのか
手数、スピードともに落ちたオリベイラ。
カウンターをさらに狙う。
14ラウンドにはカウンターをくらって
足にしがみつきダウンを免れた輪島。
そのあと効いてねえぞ!来い!来い!と
手招きをしながらオリベイラをロープに
詰めるのはなかなか感動的。
執拗に15ラウンドまで前進を続けた輪島と
ペース配分を気にしたオリベイラの接戦は
引き分け。

輪島の変則ボクシングは強い相手ならどうなん?
とかなり批判的な論評。しかしこの後日本を代表する
名ボクサーになっていく


オリベイラは当然レフェリーの「引き分け!」
という日本語は理解できず、
先に手を挙げられたので勝ったと勘違い。
三迫会長の「ドローだよ、ドロー」でようやく
状況を知る。
決着は翌年の再戦まで持ち越しとなった。