前回で書いた通り、
渡辺二郎 はワタシにとって
“最後のスーパーヒーロー”だったんですな。
だが、その後の人生は決してリングの上の
ようにはいかなかったわけで。
引退後、世間を騒がせる出来事に関わることと
なり、ボクシング界から距離を置かれる存在と
なっていく。
かつて頂点に立った男が、
その世界から“いないもの”のように扱われる。
正直、どこか切ないですわ。
なぜ、そうなってしまったのか。
ローマン戦の戦略の食い違いで吉井会長と
ギクシャクするようになり、
バンタムも狙っていたジローさんの歯車は
くるいだす。
引退を公表できずに結構な年月をかけ
当時はまだ整っていなかった
引退後の受け皿。
今のように、
科学的トレーニングやコンディション管理が
整い、選手としての道筋がある程度見える
時代とは違っていて
あの頃の選手たちは、
試行錯誤の中で、自分のやり方で頂点に
たどり着いたと思うのね。
(ま、これはボクシングだけではないのだよ)
だからこそ、
リングを降りた後の“生き方”もまた、
手探りにならざるを得なかった。
スポーツは進化した。
ボクシングは拳闘からフィットネスをも
含むことになる。
科学的に鍛え、合理的に強くなる時代。
だが同時に、
どこか面白くなくなっていったと感じるのも
事実。それは誰もが“正解”に近づける時代と
言えるんじゃね?
そして裏を返せば、誰もが同じ方向に
収束していくということでもある。
あの時代には、もっと不確かなものがあった。
だが、その不確かさの中にこそ、
本当の強さがあったように思う。
だからこそ——
渡辺二郎 という存在は、
今でも自分の中で特別なままだ。
リングの外で何があったとしても、
リングの上で見せていたあの姿だけは、
消えることはないのですな
あの時代におけるあの強さ。クレバーさ。
その最後を、確かに見届けたのだと思う。
ちなみにWBAWBC両方のタイトルを
相手を負かして同時に持ったのは20世紀では
ジローさんお一人
両団体獲得は
WBC公認以降~ジローさんまでは
沼田義明 統一→WBC
柴田国明 WBC→WBA→WBC
とそれでもたった2人だった

