2023年12月のざっと書き【まとめ】〜計1作 | 【発掘キネマ】〜オススメ映画でじっくり考察 ☆ネタバレあり☆

【発掘キネマ】〜オススメ映画でじっくり考察 ☆ネタバレあり☆

いつの時代も名作は色褪せません。
ジャンル、時代いっさい問わず、オススメ映画をピックアップ。
映画で人生を考察してみました。
【注意】
・ネタバレあり
・通番は個人的な指標です。
・解説、感想は個人の見解のため、ご理解下さい。


あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。鏡餅門松




第1483作目・『地獄の花園』
(2021年・日本)
〈ジャンル〉コメディ/アクション



《あらすじ》


『ごく普通のOL、田中直子はいつものようにOL仲間とランチをしていた。この世界では直子のように平凡に働くOLたちがいる一方で、日夜熾烈な派閥争いをしている暴力的なヤンキーOLたちもいた。直子はそんなヤンキーOLたちの派閥争いとは関わらないように暮らしていたのだが、ある日、ヤンキーOLに絡まれていたイケメン社員を助け出す中途採用の北条蘭に出会う。北条はその強さで瞬く間に派閥のトップに君臨するようになる一方で、直子のような普通のOLとも次第に仲良くなっていく。やがて北条の噂は会社の外へも広がっていき、他社のヤンキーOLたちが殴り込みに来る日々が続いていた。そんなある夜、直子は何者かに拉致されてしまう。拉致したのはライバル企業・トムスンの赤城涼子率いる総務部の一派だった。一人で助けに来るよう挑戦状を叩きつけられた北条は赤城一派の元に単身で現れる。猛者たちを相手に苦戦を強いられあ北条は一派に倒されてしまうのだが、そんな中、直子が隠していた力を覚醒し、一派を全員倒してしまう。直子はヤンキー家族に喧嘩の英才教育を受けて育っており、これまで普通のOLになりすましていたのだ。


〜地上最強のOLに成り上がれ!〜


《監督》 関和亮

《脚本》 バカリズム

(「架空OL日記」「ウェディング・ハイ」)

《出演》永野芽郁、広瀬アリス、菜々緒、川栄李奈、大島美幸、森崎ウィン、室井滋、勝村政信、松尾諭、丸山智己、遠藤憲一、小池栄子、ほか




バカリズム脚本のぶっ飛び設定コメディ。

普通の会社で働くOLたちが、喧嘩で覇権を争うヤンキーだったらというユニークな世界観である。男たちは普通の会社員で、あくまでOLだけがヤンキー。

コピー取ってる会社員たちの裏で、ライバル会社からカチコミ来たぞと走り出すヤンキーOLたち。斬新な世界観で面白い。

エンケンさんや勝村さんらが地声でヤンキーOL演じてるシュールさもさることながら、地上最強のOL・鬼丸麗奈を演じた小池栄子のラスボス感がすごい。

そこにいるだけで圧を感じるし、バトルも力強い。破壊的である。


本作の主人公は「守られる立場」だった直子だと思うのだが、ヤンキー漫画のかっこいい主人公のようだったのは蘭だった。

面白いことに、蘭もそれをバリバリ意識していた。ところが、直子が実は本性を隠していたことが判明し、蘭は主人公としてのアイデンティティを喪失してしまう。

本当に主人公だったのはやはり直子だったのだ。蘭は薄れゆく意識の中、脇役が主人公を気取っていた寒さに気付いてしまうわけである。

しかし、敗れた蘭が血の滲むような特訓を経て、再び史上最強になるために戻ってくるのだ。その瞬間、主人公だった直子は、今度は蘭にとっての"ラスボス"になっているのだ。


ストーリーはあくまでくだらないのだが、主人公の立場を巡るこの入れ替わり構造が面白かった。

ヤンキー漫画のような世界観をキャラクター自身が意識しながら、同時に主人公のポジションをめぐる熾烈なバトル。誰が輝かしい"主人公"という覇権を取るのか。

バカリズム脚本は他のコメディ作品にはない設定の世界観で面白い。