今回も金型についてです。
一般的に、金型には固定側と可動側の二つのブロックで構成されていて、その金型の間にプラスチックを射出して成形します。
例えば、下の様な金型の場合を考えてみます。
Aの場合はすんなり抜けますが、Bの場合は赤い部分が引っかかって抜けません。
この部分をアンダーカットと呼ぶそうですが、ではどうするか?というと、2通りの方法が有るみたいです。
一つはプラスチックの弾性を利用して無理やり押し出して抜く『無理抜き』と呼ばれる方法です。
単純な構造だと可能の様ですが、上の様な形状では出来ません。
では、どうするか?というと、2つ目の方法『スライド金型』を使用するという方法です。
上の図で言えば干渉する部分を左右から挟む形で成形すれば良いという事です。
カーモデルのボディなんてまさにこのスライド金型が無ければ成形出来ませんよね。
もう一つ、金型で大切なのが抜き勾配と呼ばれるものです。
例えば上の様なコの字型のパーツをイメージしてください。
Aは面が垂直になっているもので、Bが少し斜めになっているもの。
緑の金型が固定側で青の金型が可動側として、成形後にパーツを抜く為に可動側が矢印方向に開くと、赤い部分が密着していてうまく抜けません。その為、Bの様に少し斜めにする必要が有ります。これが抜き勾配と呼ばれるものです。
もし、お手元に未作成のプラモデルがあれば、是非調べてみて下さい。
きっと、Aの様な完全な平行の面を持つパーツは存在しないと思います。
という事で、実際のパーツを考えてみましょう。
例えば、こんなパーツに長さ方向にパーティングラインが入ったものを作りたいとします。
断面図で見るとこんな感じ。
ところが、そのまま金型を作ると、下の様にアンダーカットが発生して抜けなくなります。
ではどうするか?スライド金型も良いですが、コストがどうしても掛かってしまいますし、こんなパーツが複数ランナーに置いたりするとかなり大変です。
という事で、下の様な形状にするのが一般的みたいです。
随分カタチが変わっちゃいますが一応スジは入っています。
実はプラモデルを制作する上でスジボリを掘りなおしたりするのはこういった金型の関係というのが有るみたいです。
金型の関係で本来のモールドが作れないという事を判っていて、あとはプラモデルの作り手側がその形状を再生するという事ですね。
ちなみに、上の図で固定金型と可動金型の継ぎ目の部分がパーティングラインと言われるものです。
金型が新しいうちは殆ど継ぎ目は目立ちませんが、何度もガッチャンガッチャンしているうちに次第に隙間が出てくるとパーティングラインが強くでてしまったり、餃子の羽根の様に薄い膜が出来てしまったりしますね。
プラモデルを制作する上で、上の様な金型の制約等も考えて本来の姿に戻しつつ完成させるのも面白いのではないでしょうか?
長文になってしまいましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
P.S.もし間違った事を書いていたらご指摘下さい。