お久しぶりです。「矢野ゾミです。
春ですね。
春眠暁を覚えず、とはよく言ったもので。
もう少し眠っていたいような気もしますが
お目覚めの時間です。
最後にライブをしてから4カ月経った。
4カ月…あっという間だった。
音楽活動から離れて「ただの人」に戻った私。
どうにかこうにか、岡山の山での暮らしに馴染んできた。
山でひっそりと過ごす。穏やかで、落ち着いた生活。それはそれは素晴らしい日々だ。
その一方で音楽をやる自分をどこかで捨てきれなかった。
平穏な日常に「矢野ゾミが疼く。
目的がなくなった今でも
ライブを見に行くだけでなく、やろうかな、と思ってしまうのだ。
自分の存在意義の大半をその存在に侵されているような感覚。魔法というならば聞こえはいいが、やっぱり甘美な呪いに近いように思う。
…悪魔か何かですか?と問いたくなるのだけど。笑
だけど、その悪魔と戯れている瞬間がたまらなかったりもするので。
もう少し「矢野ゾミを続けていく所存です。
よろしくお願いします。
年始の活動休止時の感情照会でも書き留めたが、初めてのアルバムを制作した。
タイトルは「ZOZO」といいます。
お見知りおきを。
全12曲。
「矢野ゾミ ひとりでは作り上げられなかった”作品”となりました。
■「矢野ゾミ”ZOZO”制作チーム■
Recorded at 高松BEATLES
All arrangement & Sound Produce:新谷英記
Recording,Mixing,Mastering:新谷英記
Vocal:「矢野ゾミ
Acoustic Guitar:「矢野ゾミ
Electric Guitar:Shinji
Bass:タニモトヨシノブ
Guest Acoustic Guitar:朱徒全次郎(M10)
Chorus:三谷京(M3,4,5,10)
Design,Photo:川本まい
高松ビートルズの演者さま・幼馴染の川本まいにご協力いただきました。
みなさま大変にありがとうございました。
今回のアルバムについては、制作チームからのコメントやセルフライナーノーツなど記録として残したいと思ったので、特設ページを立ち上げた。
興味のある方はそちらを見てもらえたらと思う。
極端な話、自分の手元にこれが1枚あるだけで十分納得していた。
ただ、休止を決めていた時点で既に2本ライブが決まっていた。
1つは自分のホーム、高松ビートルズにて
4/13のワンマン。
私の歌を1番聴いてくれた人達の手元に音源を届けるために、ライブをしに行こう。
1発目のライブは高松ビートルズで、と決めていた。
休止後初のライブ。どういう自分になっているかわからない。
もしかするとボロボロで、復帰にはふさわしくないワンマンかもしれない。
どんな風に転んでも受け入れてくれる箱で、盛大にやろうと。
甘えた考えだ。
それでもいい、と自分を許すことにした。
もう1つは大阪para-diceにて
4/29アニキBANDの企画。
去年香川在住ラストワンマンを終えて、燃え尽きている私に連絡をくれたのがアニキだった。
共演は2023年のGWだったから、もう1年前になるのか。尼崎のtoraでご一緒させてもらったアニキのライブ。めちゃくちゃ好きだった。
そんなアニキの企画ライブに声をかけてもらえたのは本当に光栄だ。
私なんかで良いのだろうか、と思いつつ、嬉しかった勢いでお受けした。
それがよかった。
アニキの企画ライブの会場は大阪。
大阪…それだけでいいのか?
他にも行きたいところがあるんじゃないのか?
行きたかった場所、まだある。
せめてそこにはライブしに行こう。
そんな考えに至り、ちまちまと巡ってみることにした。
自分にとって大切な出会いをくれた箱、行ってみたかったけどこれまで足を運べていなかった箱。
今回のこのアルバムのリリースに伴い、いくつかライブ会場を回る。
あわよくばそこで自分のライブを気に入ってくれる”物好きな人”と出会って、お友達になれたりしたらめちゃくちゃいいなぁ、なんて。(人見知りだからできない気もするが)
直近のライブはこんな感じ。
詳しくはSNSかHPのスケジュールを参照くだされ。
今後も「ツアー」というほどの頻度では動けないと思うが、ぼちぼちと行きたかった場所にライブをしに行く。
一通り行きたかった場所を巡れたら、納得するかもしれない。
はたまた、そこで出会った誰かにまた会いたいがために、巡るのかもしれない。
まぁ何事もやってみて、それからだ。
手放そうとして、自分の中のなにかが燻るのを感じた。その感覚があるうちは、続けていようと思う。
私に興味のある稀有な方は、時々でもライブに顔を見せに来てほしい。
自分がライブをやる意義になりかけている「あなたに会いに行く」がひとつ叶い、きっと歓喜する。
これからの活動の内容については記した通りだ。
以下は私個人の戯言になる。
興味がなければ読み飛ばしてほしい。
先ほどの流れで、いくつかライブをさせてもらえる場所の情報を探ってみた。
箱やお店にはそれぞれカラーがある。
その色とりどりを見ながら、やり取りをしながら、考えずにいられなかったのが「時代の転換」だった。
コロナで一気に来て、考えさせられていた音楽シーンの転換期。私たちは今まさに渦中にいる。
機械の性能向上、利便性の追求、景気の悪化、コロナ禍を経ての非接触型娯楽の流行など...色々な要因が重なって、音楽が随分と軽く扱われるようになってしまった。
チケットを買ってライブを見にいくということ、
ノルマがかかってでもライブをするということ、
CDを買って聴くということ、
それらのハードルは随分と上がってしまったように思う。
実際私自身もいわゆるサブスクで音楽を聴き、好きだなぁと思えばライブに行く、というような感じで楽しんでいる。
ぶっちゃけた話、お金がない。笑
本当はライブハウスにもガンガン足を運んで、好きなアーティストの音源を買って、何度だって音浴びしたい。
が、地方の安月給で働く一会社員では、結構生活がカツカツで娯楽にお金を使えないというのが正直なところ。
でもこれは私に限った話ではないはずなのだ。
円安が続き、物価が上がり、生活が苦しい人が多い日本で、余裕がない人は多いと思う。
お客さんがライブに来てくれないとなると、お店は商売上がったりだ。
出来るだけみんなでわいわい楽しめそうなイベントを組んで、集客を試みる。
結果的に近所に住む音楽好きでやる内輪の楽しいサークルイベントみたいになっていく。
演者側もノルマで自分の首を絞めてまで音楽をやりたくないからと、そういう気軽に行ける場所を選ぶ。
みんなそれぞれが、そうせざるを得ないという状況にあるのかもしれない。不本意ながらの動きである人もいると思う。
そんな中で、チケットノルマを課すライブハウスは苦しい。
いよいよ売れっ子のごく一部がライブをするためだけの場所になり、ライブハウスというものも今後何年かで一部しか残らなくなってしまうような気がしている。それぞれにめちゃくちゃ踏ん張っているのは痛いほどわかるのだけれど。
これまで自分がライブハウスの存続を願って動いてきていた分、辛さも理解できるし、本当に悩ましい。
今自分自身も苦しい状況にあるので、どちらの言い分もその通りだと身をもって感じている。
自分がどうあるべきなのか考えがまとまらなかった。
時代の流れではある。
でもライブって、いいものなんだって、言い続けていたいとは思う。
今回音源を出すにあたって、サブスクに曲をアップするかどうかを最後まで悩んでいた。
自分のやっている「サブスクで曲を聴いて、良いなと思ったらライブに行く」という流れを実現できるなら、それもいいかもしれないと思ったからだ。リスナーの立場で考えるとサブスクで聴けた方が圧倒的にいい。
ライブを聴きに来てほしいのは、やっぱり生でしか味わえないものがあるからで。その空間を共有したいという所にあるのだけれど、「サブスクで曲を聴いて、良いなと思ってライブに行く人」はどのくらいいるのだろうかと、ふと疑問に思った。
私は過去にそういう流れでライブを聴きに行ったことがある。
実際に事情を話したらライブをしていた当の本人は感激していた。
息をするようにライブをして、サブスクでなかなかの再生数があるようなアーティストでも、そういう具合なのだ。
いろんな音楽が身近になった一方で、随分と軽く扱われるようになってしまった。
音楽が溢れかえっている。
お手軽に、月額いくらで聴き放題。
再生数の伸びない曲もゴロゴロあって、混沌としている。
…
自分が大切にしたいものって、何だったかな。
「自分の音楽をたくさんの人に聞いてほしい」という欲はない。
ライブを通じて、あわよくば、自分の曲がいいと言ってくれる人と出会ってみたい。話してみたい。
いろんな思いを詰め込んだ曲それぞれを、じっくり聴いてくれる人の手に音源が届けばいい。
そういう結論に至った。
時代転換の渦中にいること、
時代遅れであることは自覚している。
でも、自分が大切にしたいことに忠実に生きていたいと思う。
音楽が鳴らされるその場所で、会いたい。
今は、サブスクで配信しない。
どうにもこうにもいかなくなったら配信するかもしれない。例えば…CDプレイヤーを持つ人がもういないぞ、とか。
実際今の若い子だったらもう持ってないかもしれないなぁ・・・笑
そのあたりも考えがまとまり切ってはいないのだけど、たちまちしばらくは「CDのみで入手可能」ということにしておく。
CDの通販については考えている。もし要望があればお申しつけを。
販売条件は「いつかライブに来ること」だ。
本数を減らしてでも、出来るだけライブハウスでライブをやりたいと思う。
私はどこでもライブがしたい人間ではない。
その瞬間が芸術として確立されるライブハウスという場所が好きだ。
そこを守ることは出来なくても、好きでいることはできる。
表現と空間とが混ざり合っていく、甘美な呪いに踊らされる私がいる箱庭でお会いできたら、嬉しい限り。
こんなふわっとした感じでの再開になるのだけれど、歌おうと思う間は歌っております。きっと。
今後ともよろしくお願いします。
グッドモーニング。
またどこかで。
「矢野ゾミ