『カサンドラ・クロス』『アンドレイ・リュブロフ』『早春』他1月の映画鑑賞記録2024 | レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

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映画感想、読書感想を備忘録として書いてます。
三浦しをん氏のエッセイを愛読しています。
記憶に残る映画と1本でも多く出会えることを願っています。

1月は鑑賞本数が多かったため、監督、原作者以外のスタッフ、出演者名は省略し画像等で代替、外国映画、日本映画、公開年度の古い順に紹介しています。

作品評価は初見と2度目、3度目では違うので参考程度にお考え下さい。★5つが満点 ☆0.5点

 

 

『ロリータ』1962年

監督 スタンリー・キューブリック 

原作 ウラジーミル・ナボコフ

 

感想)ロリータに扮したスー・リオンは撮影当時15歳だったそうだが、年齢よりも大人びて見え、ロリータ(14歳くらいまでの少女)という感じがあまりしなかった。原作者のナボコフ自身が脚本を書いているがキューブリックによって削られた部分も多く(諸種の事情などによる)作品には満足していなかった模様。

★★★★

 

  ↓このスチール写真はロリータっぽい

 

 

『アンドレイ・ルブリョフ』1971年

監督 アンドレイ・タルコフスキー

 

感想)長さの異なる何種類かのバージョンがある中で、今回は3時間25分の完全版を鑑賞。15世紀初頭のモスクワ大公国を舞台に、イコン作家アンドレイ・ルブリョフを描いた歴史映画。

こういう映画を年に何本か観れたならそれで十分満足できそう。

★★★★★

 

『カサンドラ・クロス』1976年

監督 ジョルジュ・バン・コスマトス

 

感想)イタリアの大プロデューサー、カルロ・ポンティの製作。

ジェリー・ゴールドスミスのメインテーマ曲が素晴らしく、

バート・ランカスター、イングリッド・チューリン、ソフィア・ローレン、リチャード・ハリス、エヴァ・ガードナー、マーティン・シーン、アン・ターケル、レイ・ラブロック、リー・ストラスバーグなど出演者も豪華。こういう作品は映画館の大スクリーンで観たい。列車の爆破シーンを現在のSFX技術の高さと比較して過小評価するのは愚かしい。★★★★★

 

 

『上海ルージュ』1995年

監督 チャン・イーモウ

原作 リー・シャオ(『門規』)

 

感想)中国版『ゴッド・ファーザー』?

   コン・リーの新たな魅力。

   チャン・イーモウは凄い映画を作る。★★★★★

 

 

シミキンのオオ!市民諸君』1948年

監督 川島雄三

原作 横井福次郎(漫画)

 

感想)欲に目がくらんだ戦後市民社会を風刺するナンセンスコメディ。川島雄三の監督昇進第一作。★★★★★

 

 

『源氏物語』1951年

監督 吉村公三郎

原作 紫式部

脚本 新藤兼人

監修 谷崎潤一郎

 

感想)カンヌ国際映画祭で撮影賞を受賞しているように、撮影(杉山公平)が素晴らしい。美術や衣装も魅力で『源氏物語』の映画化では最上位。長谷川一夫の光源氏、乙羽信子の葵の上。

★★★★☆

 

 

『早春』1956年

監督 小津安二郎

 

感想)適齢期の娘を嫁がせようと苦心する父親、娘の結婚相手のことで苦労する母親、家族兄弟(姉妹)間の諍い、中年夫婦の家庭問題、老いた親の目から見た家族の姿、等々をテーマに描くことが多かった小津作品の中で、比較的若い夫婦の間に生まれた夫婦間の亀裂をサラリーマン社会に生きる人間たちの悲哀を込めながら、ある種のユーモアを交えて描いている。池部良と岸恵子はこの作品が唯一の小津作品出演作。淡島千景の母親に扮したおでん屋のおかみ浦辺粂子が最高の演技。酔っぱらって正体をなくし、池部夫婦の家に上がり込みくだを巻く加東大介と三井弘次も見もの。

★★★★★

 

『リングの王者 栄光の世界』1957年

監督 石井輝男

 

感想)カルトの帝王、石井輝男監督のデビュー作。

魚河岸で働く青年(宇津井健)がスポーツ紙の記者に才能を見込まれボクシングジムに入り本格的に練習を開始。プロデビューを飾り順調に勝ち続けるが誘惑の手が忍び寄る。恋人(池内淳子)とは消息も知れずに別れ別れになってしまうが・・・

時代性を反映したのか、非常にシンプルな娯楽作品に仕上がっていて、やや拍子抜けしてしまった。石井監督自身はノリノリで楽しく監督できたそうだ。★★★★

 

 

『点と線』1958年

監督 小林恒夫

原作 松本清張

 

感想)かたちとしては南廣が主演だが、映画上の重要性という意味では、山形勲が主役級の扱いになっている。佐賀出身の脚本家井出雅人の方言を生かした台詞や刑事たちの何気ない振る舞いなどに味わいがあり最後まで飽きさせないが、時間的なトリックや山形の妻(高峰三枝子)の行動に若干違和感が残った。★★★★

 

 

『秋刀魚の味』1962年

監督 小津安二郎

 

感想)小津作品には酒を飲むシーンが多いが、おそらく『秋刀魚の味』がその中でもダントツのナンバーワンではないだろうか。

バーで、岸田今日子、笠智衆、加東大介の三人が『軍艦マーチ』に合わせて敬礼する場面は映画史に残る名シーン。

「ねえ、艦長さんもやってくださいよ~」★★★★★

 

一回の記事で終わる予定でしたが、まだまだ鑑賞した作品が残っているので何回かに分けて記事にすることにします。

 

残りは後日記事を書き終わり次第更新の予定です。