『コンドル』『ろくでなし』『夕陽が泣いている』『柳ヶ瀬ブルース』『軽井沢夫人』他、2021.1月 | レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

映画感想、読書感想を備忘録として書いてます。
三浦しをん氏のエッセイを愛読しています。
記憶に残る映画と1本でも多く出会えることを願っています。

 1週間毎に鑑賞作品をまとめて記事にしているのは、主に個人的な備忘録のためで、1作品毎に感想を書かないのは記憶力低下で脳内再生するのに最低2,3回鑑賞する必要があるのが理由で、鑑賞作品が少くなった際は1作品毎に感想を書きたいと思っています。しばらくは現行のスタイルで行く予定ですので、宜しくお願い致します。作品評価観客的観点から見た満足度が基準です。評価が違う際はご容赦ください。(☆5が満点 ★が0.5点 鑑賞作品は製作年度の古い作品から紹介しています) 

 

 

『コンドル』(1939年 原案・監督ハワード・ホークス) ハワード・ホークスらしいスピーディーな話の展開と気の利いた台詞の応酬。80年前の映画なのに古さをまるで感じさせない

ホークスのセンス。娯楽映画だが、大げさに言えば人としての生き方まで教えられる航空機映画の豊穣たる名作。ご贔屓女優ジーン・アーサーの出演作の中でも1,2を争うお気に入り作品。(☆☆☆☆☆)

   

 

 

『あにいもうと』(1953年 原作室生犀星 監督成瀬巳喜男 脚本水木洋子) 

気性の激しい石工の兄と都会に出て若い男に捨てられ帰郷した妹の歪んだ愛憎、昔の隆盛が忘れられない父。

浦辺粂子の母親と末妹久我美子が二人の緩衝役。こんなに激しい性格の森雅之を観るのは初めてで、不勉強ながら森雅之が有島武郎の正妻の子供というのも初めて知った。(☆☆☆☆☆) 

 

 

『真昼の暗黒』(1956年 原作正木ひろし 監督・今井正

 脚本・橋本忍)無罪の客観的証拠がそろっても死刑が宣告される日本の司法、裁判制度、冤罪の怖ろしさ。☆☆☆☆☆ 

 

 

『あらくれ』(1957年 原作徳田秋声 監督・成瀬巳喜男 

脚本・水木洋子) 

「あんなのろまの髭だるま、くれてほしいならくれてやるよ。

ありがとうと礼を言いな!」 亭主の加東大介に家の中でホースで水をぶっかけ、亭主の愛人(三浦光子)を箒きで思いっ切り叩きのめす高峰秀子に驚愕。☆☆☆☆☆  

 

 

『ろくでなし』(1960年 監督脚本吉田喜重) 

現代に退屈する男と女。

「いよいよ終いだな。俺たちの青春も」

「俺だけじゃねえ。人間みんな誤魔化して生きてんだよ」 

ラストはゴダールの『勝手にしやがれ』。

松竹ヌーヴェル・ヴァーグ。☆☆☆☆☆ 

 

 

『関の彌太ッぺ』(1963年 原作長谷川伸 監督山下耕作 脚本成沢昌茂) 「この娑婆にゃ悲しいこと辛えことが沢山ある。だが忘れるこった。忘れて日が暮れりゃ明日になる」 

山下耕作の名作。☆☆☆☆☆ 

 

 

『仲間たち』(1964年 監督柳瀬観 脚本・中島丈博・吉田憲二) 

川崎の路線バスの運転手が榎木兵衛、車掌が松原智恵子と松尾嘉代。トラック野郎浜田光夫。舟木一夫の同名ヒット曲の映画化だが、脚本が中島丈博と吉田憲二で青春娯楽作品とはいえ骨っぽい内容。☆☆☆☆☆ 

 

 

『夕陽が泣いている』(1967年 監督森永健次郎 脚本山崎巌)

 プロのバンドを夢見る四人の仲間とそのマネージャーを買って出る女子大生(和泉雅子)。ザ・スパイダースの同名ヒット曲の映画化で何故かモノクロ作品。ラストは定番の四人の仲間が肩を組み「夕陽が泣いている」が流れて・・・ ☆☆☆☆★ 

 

 

『柳ヶ瀬ブルース』(1967年 監督・村山新治 脚本・成澤昌茂) 

東映「夜の歌謡シリーズ」第1作。

伴淳と渡辺文雄が兄弟分の悪党。沢田浩二のバーテン。

伴淳の女房が浦辺粂子。渡辺文雄の愛人が城野ゆき。

梅宮に捨てられる野川由美子。

美川憲一が流しの歌手で登場。☆☆☆☆ 

 

 

『不良番長』(1968年 監督・野田幸男 脚本。山本英明・松本功) 

『不良番長シリーズ』全16作の第1作。

不良グループの一員に大原麗子、谷隼人、克美しげる、城アキラ。敵方「握りのマツ」に左とん平。組織VSドブねずみ軍団。

ラストはジャックベッケルの『現金に手を出すな』 ☆☆☆☆★ 

 

 

『新・女囚さそり 特殊房X』(1977年 原作篠原とおる 監督小平裕 脚本鴨井達比古) 

シリーズ第6作。ヒロイン松島ナミに夏樹陽子。

ナミの台詞はほとんど無し。脇を固める女囚がやや弱い感じだが、ワイルドな地井武男と寡黙な夏樹陽子がいい。脚本は「シナリオ学校」時代にお世話になった鴨井達比古氏。☆☆☆☆★ 

 

 

『野獣死すべし』(1980年 原作大藪春彦 監督村川透 脚本丸山昇一) 

1959年に製作された須川栄三監督、白坂依志夫脚本、仲代達矢主演の「『野獣死すべし』とは様変わり。

アンゴラ、レバノン、インドシナ、ウガンダ、ベイルートで精神を破壊された東大卒の元戦場カメラマン伊達(松田優作)。

伊達に洗脳されるアフロヘアの異様な男(鹿賀丈史)。

狂気が彷徨う1980年初頭。☆☆☆☆☆ 

 

 

『軽井沢夫人』(1982年 原作嵯峨島昭 監督小沼勝 脚本いどあきお) 

期待を裏切らない、いどあきおの脚本と妥協なき小沼勝の演出。忘れ得ぬ夏の日の思い出の雑木林。給仕はつらいよ。☆☆☆☆☆

 

 

『櫂』(1985年 原作・宮尾登美子 監督・五社英雄 

脚本・高田宏治) 

五社英雄、宮尾登美子「高知三部作」の一本。

『鬼龍院花子の生涯』は仲代達矢の大見栄芝居と夏目雅子のド迫力の啖呵で見せ、『櫂』は緒形拳と十朱幸代の大人の芝居で魅せる。☆☆☆☆☆ 

 

 

『女帝 春日局』(1990年 原作・高田宏治 監督中島貞夫 脚本・高田宏治) 三代将軍徳川家光誕生秘話。総製作費10億円とか。内容はともかく、美術と衣装は超豪華。(☆☆☆)