新年早々に米国によるベネズエラ大統領の拘束から幕開けして、世界中に衝撃が走ったが、これはトランプ大統領による国際秩序の嚆矢になるかもしれない。そもそもロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・ガザ問題、タイ・カンボジアの軍事紛争など、国際秩序は各地で乱れつつあったが、今年に入りトランプ大統領の強硬姿勢が顕著であり、各地に飛び火しかねない情勢である。

 

アメリカはグリーンランド領有の野心をむき出しにしており、アメリカと欧州との関係性は岐路かもしれない。さらにアメリカは、メキシコ・コロンビアへの軍事加入の可能性もあり得る。おまけにイランでは反政府デモが本格化しており、おそらく政権崩壊するだろうと思うが、アメリカ・イスラムがイランに軍事介入すれば、中東は混乱状態になるかもしれない。さらに中国の習近平主席は、台湾との統一を新年演説で明言しており、おそらく台湾有事は数年以内に起こるだろうと思われる。

 

私が想像していた以上に国際環境の変化が大きい。まず、日本の没落が急速過ぎる。米ドルベースとはいえ、私が大学生の頃は、一人当たりGDPで、韓国はおろか、台湾にまで抜かれるとは有り得ないだろうと思っていた。日本の一人当たりGDPだと30位未満でトップグループからは脱落してしまった。一人当たりGDPで世界第2位だった頃の面影はない。おまけに人口が日本の2/3のドイツにまで経済規模で抜かれてしまったが、インドにも近く追い抜かれるとみられる、経済規模は世界第5位にまで後退し、アジア随一の経済大国ではもはやない。

 

欧州も没落しているが、EU全域でみると、まだ国際的な影響力は大きい。経済力・人口・国土・軍事力・資源において、準超大国であるロシア・中国に加えて、今後はインドも主要な行為主体となるだろうから、これからはアメリカ・欧州連合・ロシア・中国・インドの多極世界になるだろうと思われる。あまり認知されていないと思うが、もはや購買力平価GDPでは、2021年からG7をBRICsが上回っており、国際経済の重点は移動しつつある。G7で世界のGDPの7割近くを占めていたのは過去の話であり、もはやシェアは50%を割っている。今後もシェアは低下するだろう。一方で、BRICsが存在感を増すだろう。現在はパラダイムシフトの真っ只中にいるのだ。

 

一部報道では、G7の弱体化のため、アメリカが米中露印日の「Core 5」を新設するという報道があるが(Link)、ホワイトハウスはこれを否定しているものの、国際秩序再編という目論見はあるのだろうと思う。実は米中露印日による5大国ではGDPシェアは、G7を上回っている。ただ問題は共通するイデオロギーがなく、日本は軍事力が制限されているし、インドは一人当たりGDPでは貧しすぎ、共通項があまりにも無さ過ぎることだろう。

 

あれこれ書いたが、国際秩序再編が加速するだろうかというと、正直、そこまでだろうと思う。そもそも南米諸国へのアメリカの介入はいまに始まったことではないし、イランの政権崩壊は、湾岸戦争・イラク戦争に比べればまだ小規模なものだ。ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ地区もそこまで大きな動きはないし、タイ・カンボジアの軍事紛争も局地的にすぎない。台湾有事はあり得るが、2028年の総統選で親中派が立てば状況が変わるので、そこまでは様子見ではないかと思う。

 

ただ新興国の隆盛、既存の主要国(英仏独日)の失速、地域紛争(中東・南米・東南アジア)、ウクライナ問題など、かなり国際社会は動きが激しい。加えて、アメリカは債務問題を抱えており、いつ爆発するか分からない。リーマンショックが再来しない保証はない。2030年には国際秩序はかなり大きく変わっていそうだ。日本も米国依存の体制をそろそろ考えなおす時期ではないかと思う。もし米ドルがもし崩壊すれば、ゴールド・プラチナなどの現物資産や暗号資産が価値を増すかもしれない。果たして”平和ボケ”であとどのぐらい平穏に暮らせるだろうか?正直、10年は持たないだろう。

 

三菱一号館美術館で開催中の「アール・デコとモード」展へ行ってきた。アールデコが流行していた時代のファッションを主軸に、当時を窺い知れる絵画や置物なども展示されており、、アールデコ好きとしては、とても興味深かった。

 

(開催概要)

1920年代を中心に世界を席巻した装飾様式「アール・デコ」。生活デザイン全般におよんだその様式は、「モード」すなわち流行の服飾にも現れました。ポワレやランバン、シャネルなどパリ屈指のメゾンが生み出すドレスには、アール・デコ特有の幾何学的で直線的なデザインや細やかな装飾が散りばめられています。それは古い慣習から解放され、活動的で自由な女性たちが好む新しく現代的なスタイルでした。
2025年は、パリで開催され、「モード」が中心的な主題のひとつであった装飾芸術の博覧会、通称アール・デコ博覧会から100年目にあたります。この記念の年に、世界的な服飾コレクションを誇る京都服飾文化研究財団(KCI)が収集してきたアール・デコ期の服飾作品と資料類約200点に、国内外の美術館・博物館や個人所蔵の絵画、版画、工芸品などを加え合計約310点により、現代にも影響を与え続ける100年前の「モード」を紐解きます。

公式HP

 

ポワレ、ランバン、シャネル、パトゥなどパリ屈指のメゾンのオートクチュールなどは非常に貴重で興味深かった。デザインという観点でみても面白いが、女性を拘束していたコルセットが廃れ、女性の活動領域が広がっという”女性解放”という視点で鑑賞しても面白かった。ベル・エポック期のS字型シルエットからポール・ポワレがデザインした円筒型のドレスへの移行はファッション史としては大きな変化だった。ゆったりとしたシルエット、過剰装飾の排除は、シャネルで全盛を迎えた。第二次世界大戦後は華やかさを求めてディオールの細く絞ったウエストのシルエットが流行したが、トレンドは揺れ戻す好例である。

 

アールヌーボーは有名だと思うが、アールデコは少し知名度が低い。これはアールデコが流行した1920年代終盤に世界恐慌が発生して、デザインや流行なんて言っている場合ではなくなったせいだろう。その後、バウハウス的な機能主義のモダニズムが流行して、アールヌーボーとモダニズムの橋渡し的な位置付けになってしまったように思われる。

 

本展示会はオートクチュールのデザインや技術の観点で観ても興味深いし、フェミニズム的な女性解放の視点でみても面白いし、当時のアッパーミドル以上の優雅な社会文化に思いを馳せても面白いだろう。私はやはりファッションそれ自体よりも、ファッションの社会的位置づけや、ファッションを通してみえてくる社会階層文化や経済活動に興味がある。こういう美術展等の訪問は、自分を見つめなおすという点でも意義があるなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年末年始は時間があるので、気になるドラマを一気見。

 

19世紀のアイルランドのダブリンを舞台にしたギネス家の物語。もともとギネスビールで財を成したが、現在では政治・金融等でも活躍があり、財閥のようになっている。ギネスブックもギネス家が創刊したことから、ギネスの名を冠している。

ギネスビールは、1759年に休業状態の醸造所をアーサー・ギネス(初代)が賃借し、ビール醸造会社ギネスを創業し、彼の次男アーサー・ギネス2世が継承するが、銀行頭取でもあり金融業に集中するため、醸造業は三男のベンジャミン・ギネスに承継される。このベンジャミン・ギネスが政治家にもなり、准男爵(世襲爵位だが貴族ではない。准男爵ゆえに敬称が「Sir」になっている)に叙せられている。このベンジャミン・ギネスの子供たちのお話が、本ドラマで描かれているのだ。

なかなか当時の社会情勢の勉強にもなるし、テンポも良く面白い。アイルランドとイングランドの軋轢、カトリックとプロテスタントとの抗争などは背景知識としてもっていないとよくわからないかもしれない。

ただ最初のほうは傑作だと思っていたが、中盤から創作の人物との色恋沙汰やら腹違いの従弟、過剰な演出など、余計な脚色が残念だった。もう少し経営や当時の社会情勢などにフォーカスして格調高い作品だったほうがよかったのではないかと思う。

それにしても本作がきっかけでギネス家について調べてみたが、ここまで大きな財閥になっているとは思わなかった。ただの黒ビールの製造メーカーと思っていたが(←失礼)、家業を継承しているアイヴァー伯爵(ドラマの三男エドワード)は富豪で有名で、アイヴァー伯爵の総資産は現在2000億円規模で英国王より裕福だそうだ。日本も華族制が温存され、財閥解体されてなければ、イギリスみたいな上流階級が牛耳る社会だっただろう。

長男アーサーは史実としても政治家になっており、アーディローン男爵になっているが、子供がおらず男爵位は廃絶している。ちなみに、奥さんはバントリー伯爵令嬢として描かれているが、史実である(ただバントリー伯爵位は廃絶している)。次男は近衛騎兵連隊の軍人として活躍。本作でもメインキャラクターの一人として描かれ、主に醸造所の経営に携わっている三男のエドワード・セシル・ギネスは、初代アイヴァー伯爵に叙せられる。このエドワードの三男も政治家になりモイン男爵となっている。長女のアンの結婚相手がドラマだとよくわからなかったが、旦那は高位の聖職者であり、第4代プランケット男爵ウィリアム・プランケットらしい(プランケット男爵位は現存)。

ちなみに、劇中に出てくるアッシュフォード城も実在しており、実際にギネス家が所有していたが、1939年に売却され、現在はホテルになっているそうだ。長男アーサーの奥さんのバントリー伯爵の居城のBantry Houseもホテルになっているようだ。ギネス家が住んでいる邸宅Iveagh Houseは、現在、アイルランド政府の省庁が入っている。

 

※Bantry House(画像出典:LINK


※アッシュフォード城(画像出典:LINK

 

※Iveagh House(画像出典:LINK


8話完結だと思ったら、ラストはクリフハンガーだったので、第2シーズンが楽しみである(正式に発表はないが製作予定で動いているようだ)。

 

★ 4.0 / 5.0

 
2026年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
毎年恒例の明治神宮に初詣に行ってきました。いつも原宿駅から向かうのですが、空いていると噂の小田急の参宮橋駅のほうから今回は向かいましたが、確かに並ばずに入れて良いですね。今年も良い一年になりますように。それにしても箱根駅伝では、青学大が史上初2度目の3連覇のようですね。
 
今年の目標は次の通り。
・医療脱毛コースを完了させる(やろうと思っていたが、いよいよ契約 ( ´艸`))
・投資を頑張る(暗号資産と投資信託以外にも個別株も購入予定)
・日本酒の勉強をする(最近、ワインから日本酒派に浮気気味)
・読書(めっきり本を読まなくなったので、読書週間を復活させたいですね)
・教養を深めるために継続的に映画鑑賞を続ける。
 
あと、ピアノとジム通いもしたいのですが、仕事が忙しいので、なかなか手が出ないでここまで来ていますが、来年になりそうです(;^ω^)
 

2023年から個人的なその年のベスト映画をランキングにしている。2023年の視聴本数が86本で2024年は56本と激減したが、2025年は84本とに回復した。なお、視聴本数は映画批評サイトのFilmarksのレビューをベースにしている。1年に観た、今年日本で劇場公開された映画からベスト映画のランキングを決定した。

 

〔個人的ベスト映画 2025〕

第01位 ANORA アノーラ(4.8点)

第02位 国宝(4.8点)

第03位 KNEECAP/ニーキャップ(4.5点)
第04位 ワン・バトル・アフター・アナザー(4.2点)
第05位 フランケンシュタイン(4.3点)

第06位 アイム・スティル・ヒア(4.2点)

第07位 ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある(4.2点)

第08位 ザ・ルーム・ネクスト・ドア(4.1点)
第09位 愛を耕すひと(4.2点)
第10位 アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(4.1点)・スイート・イースト 不思議の国のリリアン(3.9点)

 

[ノミネート:モンテ・クリスト伯(4.5点)、ウィキッド ふたりの魔女(4.2点)、ノーバディーズ・ヒーロー(4.2点)、ベテラン 凶悪犯罪捜査班(4.0点)、湖の見知らぬ男(4.0点)、アマチュア(3.9点)、遠い山なみの光(3.9点)、ベイビーガール(3.9点)、マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド(3.9点)、TATAMI(3.9点)、ノー・アザー・ランド 故郷は他にない(3.9点)、満ち足りた家族(3.9点)、名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(3.9点)、満江紅(3.9点)、ブラックドッグ(3.9点)]

 

独断と偏見による順位付けである。ブログ主のFilmarksでのレビュー記録からランキングを決定。3.9点以上の作品をラインナップして個人的趣味、斬新さ、新規性、内容の重みなどを考慮してランキングを決定しており、点数と順位は必ずしも一致しない。今年は豊作だったのか採点が甘かったのか、3.9点以上の作品が多かった。

 

1位は正直悩んだが、内容の斬新さと鮮烈さにおいて、刺激的なアンチ・シンデレラストーリー「ANORA アノーラ」を第1位とした。次点は「国宝」だが、芸の道を究める究極の美を体感できる圧倒的な映画だった。第3位はアイルランドのベルファストを舞台に活動するアイルランド語のラップ音楽グループのKNEECAPを描いた映画である。上映館数は少ないが、情熱とムーブが鮮烈だった。第4位が「ワン・バトル・アフター・アナザー」だが、ブラックユーモアが秀逸だったのに加えて、中年の元テロリストを演じるディカプリオが名演だった。第5位はNetflix製作の「フランケンシュタイン」。素晴らしくモダンにアレンジしてリメイクしており、秀逸な作品だった。

 

第6位と第7位は、テイストは異なるが、昔を舞台にした社会派の「アイム・スティル・ヒア」「ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある」をランクさせた。第8位「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」は、尊厳死を扱ったヒューマンドラマだが、洒落た調度品等の映像美が素晴らしかった。第9位は北欧の至宝マッツ・ミケルセンの演技が光る「愛を耕す人」。第10位には現代アメリカを象徴するトランプ大統領を描いた「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」と、そうした混迷する不思議なアメリカをファンタジックに描く「スイート・イースト 不思議の国のリリアン」をランクさせた。

 

2025年に観た映画を振り返って思うのは、なんだかんだと人類にとって民族・地域などは重要だということだ(「ニーキャップ」「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」)。思想などは変容しても、それは一部の人だけのムーブメントで、社会全体が変わるには相当な年月がかかる。先進的な思想はなかなか受け入れられない(「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」)。かつて暴力に変容させようとした集団もあったが焼け石に水だった(「ワン・バトル・アフター・アナザー」)。そして、国内でも格差が広がっており、各地でのデモ等につながっている。こうした格差は人の心と尊厳を傷つける(それをビビットに描写したのが「アノーラ」だ)。しかし、現代の自由と平等な社会は先人の苦労の産物だと忘れてはいけない(「アイム・スティル・ヒア」「ドマーニ! 愛のことづて/まだ明日がある」)。社会は善き方に発展していくと思っていたが、社会の変化は緩慢だし、負の歴史も繰り返すのだなと感じる。それが人間の性なんだと思う。

 

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