韓国検察は22日、ソウル市内の梨花女子大などに家宅捜索に入った。朴槿恵(パククネ)大統領と共謀して企業に圧力をかけたなどとして起訴されたチェ・スンシル被告の娘が不正に入学したことが教育省の監査で明らかになっており、経緯や背景などを調べる。- - 朝日新聞, 2016年11/22
韓国で朴大統領の弾劾が決議されたが、このチェ被告絡みで興味深かったのが、この入学不正。韓国は学歴社会(というより学校歴社会)なので、日本以上に出身大学が非常に重視される。チェ被告の娘の不正入学は韓国では大騒ぎだという。梨花女子大はキリスト教メソジスト派の私立大である。基本的に韓国はソウル大以外は上位大はほぼ私立大 ― 国がしっかりしていなかったためだろう。アメリカの宣教師の設立した学校が起源の大学も多い。日本で女子大というと、お茶の水女子大、津田塾大、東京女子大、日本女子大など小規模でかつ文系が多い。女子大の多くは、良妻賢母を育てるのが教育の根底にあったためだろう。お茶大・津田塾は3000人程度、東京女子は4000人、最大の日本女子大でも8000人ちょっとである。対して梨花女子大は2万人近い規模の総合大である。QSアジア世界ランキングだと、アジアで第46位に位置する(この順位は韓国内では9位である。なお、41位早稲田 ・ 42位慶応 ・ 221-230位お茶の水女子大)。
◆QS アジア大学ランキング韓国上位10校
01位 KAIST(国立)
02位 ソウル国立大(国立)
03位 POSTECH(私立)
04位 高麗大(私立)
05位 延世大(私立)
06位 成均館大(私立)
07位 漢陽大(私立)
08位 慶熙大(私立)
09位 梨花女子大(私立)
10位 西江大(私立)
韓国がここまでの学校歴社会なのは、儒教的な縁故主義や、科挙の歴史を持ち、入学試験が厳格で、難しい試験を突破しているのだから優秀だろうという価値観が共有されていることだけが理由ではない。人口の割に大学の規模が大きいため、優秀層が一部の大学に集中してしまうという要因も大きい。韓国の同世代の人数は日本の4割程度しかいないのに、日本と同じく上位校の多くは数万人規模である。アメリカは逆で同世代の人口が多い(日本の3倍以上)わりに、名門校は少人数教育なので、優秀層が分散して入学するので名門大が乱立している。ハーバード大は学部生が7000人ほどしかいない。1学年1700人程度というとどれだけ狭き門かわかるだろう。おまけにアメリカの場合、留学生も競争に加わるから、アメリカの名門大に入る難しさは日本の比ではない。アメリカの上位大学の強さは名門校がひしめく競争状態と、その選抜度の高さにある。
韓国の現在大学受験の年齢に達した者の人数が45万人だとすると、SKY(ソウル国立大・高麗大・延世大)の3校だけで入学定員は同年齢の約3.5%にもなる。 KAISTとPOSTECHも足すとたった5校だが同年齢の4%分の定員がある。日本だと、北海道大・東北大・東京大・大阪大・名古屋大・京大・九州大・一橋・東工大・神戸・筑波・早稲田・慶応・上智・理科大・ICU(一部の下位学部は除く)でやっと同年齢の4%程度の定員である。韓国では日本以上に出身校のレベルでその人のレベルが測られてしまうのだ。
しかしながら、大学の規模が大きく研究範囲が広いほうが大学の世界ランキングの評価ではメリットが大きい。文系だけの一橋大や、小規模校のお茶の水女子大は世界大学ランキングの総合順位では全くパッとしない。文科省は世界ランキングを意識するなら、単科国立医科大を国立大を近くの総合国立大に統合すればいい。東京医科歯科大・一橋・東工大も統合すれば医療系・文系・理系の総合大となり、順位は大幅に上がるだろう。国立・公立・私立に限らず、上位校への予算の配分を高めることも重要である。文科省は大学のグローバル化を目指してスーパーグローバル大なる構想をぶち上げたが、予算のただのばらまきに終わり、ほとんどの大学は選定後に世界ランキングの順位を落し、無意味な計画だと判明した。おまけに略した「SGU」は札幌学院大の商標で使用できなくなった。会津大・東洋大・創価大・芝浦工業大は入試レベルもせいぜい中堅で、世界ランキングも上位に登場しない泡沫大学だったがなぜか選定され、税金が無駄に浪費された。すでに想定通りの予算が支払われずに、すでに計画倒れが確定的である。法科大学院制度など、文科省の昨今の政策は、良くて無能、悪くて有害である。韓国を褒める気はないが、歴史の浅いKAISTが世界ランキングで上位に位置し、音楽などの世界コンクールで実績を出している韓国の教育政策に見習うべきところはあるだろう。