三陽商会は3月17日、希望退職者の募集(1月21日公表)の結果、180人が応募したと発表した。150人程度を2月15日~3月5日募集したところ、180人が応募した。今回の希望退職の優遇措置として、退職者は会社都合として扱い、所定の退職金に加え特別退職金を支給、希望者には再就職支援会社を通じた再就職支援を行うとしていた。希望退職者募集に伴い発生する特別退職金と再就職支援に係る費用については、2021年2月期第4四半期において約13億円を特別損失として計上する予定だ。-- 流通ニュース
三陽商会は日本のアパレル大手である。もともとバーバリーのライセンス販売で稼いできたが、バーバリーの戦略転換でライセンスを切られてから赤字に転落して黒字転換できずにいる。バーバリー・ブラックレーベル&ブルーレーベルの後継のクレストブリッジ・ブラックレーベル&ブルーレーベルもセール販売(3~6割引)したりとだいぶ在庫が余っているようだ。ちなみに、私は大学生のころは服の大半は三陽商会のバーバリーで、最近もクレストブリッジを好んで購入している。三陽商会の製品はブランド名はおいておいて品質は良いし、デザインも私好み。
もともとバーバリーは高級ラインから廉価ラインまで様々なラインを用意して、アッパークラスからミドルクラスまでを対象とした幅広い層を狙った戦略をとっていた。しかし、様々なラインが併存することでブランドアイデンティティが迷走し、また同じバーバリーなら廉価ラインを購入する人が増えてバーバリーというブランド価値が損なわれていった。実際、中国人が日本の三陽商会のライセンス品のバーバリー・ブラックレーベル&ブルーレーベルを好んで購入したため英国バーバリーにとってはあまりうまみがなかった。そこでバーバリーは2015年頃に複数のラインを廃止し、ライセンス契約も打ち切って、ラグジュアリーラインに統一化したのだ。またブランドの若返りをはかるためにデザイナーにリカルド・ティッシを迎え、伝統の馬上の騎士のロゴも廃止し、新生バーバリーとして生まれ変わったのだった ― 個人的にはティッシのトーマス・バーバリーのイニシャルのTとBを組み合わせたロゴは好きではない。
一方でバーバリーのライセンス契約を切られた三陽商会は売り上げ低迷に苦しんでいる。もともとなんの苦労もせずにバーバリーというブランドの威光で商売をしてきたため、三陽商会は「お公家さん」というほどにまったりとした社風で、マーケティングのノウハウなどは持ち合わせていないのだ。私は三陽商会の製品は好きであるが、マーケティングや店舗運営などはいまでは酷いと思う。2017年にも三陽商会は倒産するのか?の記事を書いたが、その時より悪化している。まず、店員の質が酷過ぎる。接客云々以前に、こちら側からの質問にもまともに答えられないし、着合わせの提案もできないし、アパレルスタッフの水準を満たしているか微妙なライン。もはや店舗で買う楽しみがないので、私はセールの時に割引の商品だけネットで購入している。さらに希望退職を150人募集して180人が応募というからさらに社員の質は悪化するだろう。
しかし、実際に三陽商会の製品を着てみればわかるが、品質は本当悪くないどころか相当に良い(だから私は接客が悲惨でも買っている)。これだけの品質の製品を売れないのは、三陽商会本社のマーケティング戦略などが下手なんだと思う。主力のクレストブリッジもマッキントッシュも知名度が低いし、アイコンとなるようなモデルもいないし、やる気があるのかと言いたくなる。バーバリーのときのようにブランド名にかまけた商売はできないのだ。社長は黒字化に躍起だが、コロナの逆風もあって本当に実現できるのかは怪しい。
製品は高品質なのにマーケティングが下手で売れないというのは日本企業あるあるである。三陽商会の製品の品質であればブランディングをちゃんとやれば海外市場でも訴求できると思う。特にアジアであれば日本ブランドは健在である。三陽商会のように技術ある企業が、コロナや国内市場のシュリンクとともに倒産するのは悲しい。ぜひ生き残ってほしいものだ。