本日は仕事を早く切り上げてユンディ・リのピアノリサイタルへ。ユンディ・リはショパンコンクールでアジア人としてはダンタイソンに次いで優勝した中国人ピアニストである。2021年に買春容疑で逮捕されて中国音楽家協会からも除名されたが、ようやく復帰を果たした。今回のコンサートではモーツァルトプログラムに挑んでいる。

 

モーツァルト
・ピアノ・ソナタ第11番イ長調 K.331『トルコ行進曲付き』
・ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310
・幻想曲 ハ短調 K.475
・ピアノ・ソナタ第14番ハ短調 K.457

 

アンコール

・任光:彩云追月

・ショパン:ノクターン第2番

 

勝手にキレがある疾走感ある感じの演奏と思っていたのだが、抑制的で温もりのある音だった。それにしてもよく音が鳴る。三階席だったのだが、ピアノの発声がとても綺麗に聞こえる。骨格のしっかりした演奏だったと思う。

 

アンコールで弾いてきた任光作曲の「彩云追月」が風情があって素敵だった。月の美しい情景を描写した曲のようであるが、若くして亡くなった任光の代表曲のようだ。管弦楽の曲のようだが、ピアノ曲に編曲されたバージョンは、ユンディ・リはアンコールでよく弾くようである。とても良かった。そしてノクターン第2番もこれも素晴らしい。美しい旋律が軽やかに響いた。

 

ただ中国人の観客がかなり多かったようだが、マナーがやはり日本人の感覚とは違う。演奏中に話し始めたり、アンコールの時はパシャパシャとライト付きで写真を撮ったり・・・。わざわざスタッフが角に配置され物音がすると見まわしていて、静かにするようにとの注意書きも配布され、中休みではスタッフが物音がしたのはどこかと動き回り、結果的に中国語で何やらアナウンスが・・・(中国語は分からないがおそらく注意喚起だろう)。

 

何よりちょっと許せないのが、ソナタの第1楽章で拍手をしてしまう。みんなつられて拍手をしているが、楽章の合間は拍手はNG。楽章の連なりが崩れるので、ユンディ・リも拍手をかき消すように第2楽章に入る。うーん。。大らかに捉えるべきか。。「イム・ユンチャン ピアノ・リサイタル」(ミューザ川崎シンフォニーホール)でも感じたが、良い悪いではないが、やはり観客のお国柄ってあるなと思う。。私としては静かに演奏に聴き入ってほしいし、余計な拍手で楽章の連なりを乱さないでほしい。。

 

ユンディ・リの生演奏は初めてだったが、もちろん素晴らしい演奏なのであるが、一方で演奏が若いと思う。ショパンコンクールでの優勝から研鑽を積んで40台としての演奏として考えると、演奏の円熟度はどうなのだろうかとふと思ってしまうところがないわけではない。売りがアイドル的なイケメンピアニストのままではどうしようもない。今後の研鑽に期待だろうか。