ジブリの「かぐや姫の物語」を観た。第87回アカデミー賞では惜しくも受賞を逃した作品だが、アートで玄人向きの作品。絵は淡く、日本的。かぐや姫の物語をなんとも切なく、情緒ある色彩で表現している傑作である。この情緒感はなかなか意見が分かれるところ。月の世界は極楽な世界、地球は穢れている世界と設定されているが、主人公のかぐや姫は、地球を「穢れてなんかいない」と言い切る。月の羽衣を羽織わされて地球での記憶をすべて忘れながらも極楽の月へと帰っていく中で、青い地球を観てそっと涙を流すくだりは、名シーンである。人間の世は悲しみや怒りもあるが、喜びや楽しみもある。それらを知っていることはなんとも尊いことか。悲しみや怒りがあってこそ、喜びや楽しみは引き立つのである。ふと、日本の田舎にいって、自然にふれたくなった。東京のコンクリートキャングルでは、虫の音も、風にそよぐ草の音も聞こえない。日本の美しい農村への郷愁を描き出していると思う。
画家のセラフィーヌ・ルイを描いた映画。ポンピドゥーセンター傑作展でセラフィーヌ・ルイの作品を観てから、興味を持っていたのだが、ちょうど彼女を題材とした映画あったので、観てみた。掃除婦のセラフィーヌが素晴らしい躍動感のある絵を描いていたのは天賦の才能だろうと思われる。しかし、世界恐慌などの不運にみまわれ、成功から遠ざかり、徐々に精神を病んでいってしまった。芸術家というのは、精神を病みやすい。感性が普通と異なるからだろうか。日本だと知名度はないに等しい画家だが、その色彩や構図は大胆でかなり印象に残る。ぜひ画像検索で検索してみて欲しい。映画はセザール賞7部門を制しているだけあって上質。観て損はない。
