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本日は上野の東京都美術館で開催されている「ポンピドゥーセンター傑作展」にいってきた。ポンピドゥーセンターはフランスのパリに1977年に開館した文化施設である。美しい建築が立ち並ぶパリには似つかわしくない、まるで工事現場か工場のような外観の施設で、建設当時は相当もめたようである。美術品の所蔵は、20世紀初頭から現代美術を所蔵している。以前、パリに行った時に、時間がなく行けなかったのが今でも心残りである。本展示は、1906年から順番に、作成された年ごとに1作品が展示されており、鑑賞していくと次第に現代に近づくという、近代美術の経過を楽しめる構成となっている。混雑を避けて閉館の2時間ほど前にいったが、近代美術は人気がないのか、想像以上に空いていて快適に鑑賞できた。個人的にはオススメな美術展である。

 

印象的だったのは、セラフィーヌ・ルイの作品。日本ではあまり有名ではなく、私も初めて知った画家だった - 日本語版wikiにも今のところ記事がない。修道院で働いていたセラフィーヌは神のお告げを受けて、独学で絵を描いたという。非常に鮮やかで躍動感のある色彩、生命力の力強い躍動を感じさせるような絵で、非常に衝撃を受けた。アンドレ・ケルテス「ビストロ」という作品も素晴らしかった。パリの何気ないカフェの写真なのだが、どこか漂う哀愁を感じさせる写真が良かった。
※2作品ともこちらの記事に掲載がある:http://home.ueno.kokosil.net/ja/archives/6733

 

マリー・ローランサン、シャガールやピカソなどの有名な作品もあり見事のある展示だった。マルセル・デュシャンの「自転車の車輪」は、「レディ・メイド」(別の目的で作られたが、美術上の文脈を与えられて展示された既製品のことをいう)の美術史上重要な作品で、本来は自転車の車輪を動かし鑑賞するものなので、「キネティック・アート」(動きを取り入れた芸術作品のこと)のはしりでもあった。こちらの作品を観れて、よい勉強になった。1945年の展示は美術品ではなく、エディット・ピアフの「愛の賛歌」が流れているという粋な展示。ピアフは貧しい家に生まれ、一時期は売春宿で育てられたが、世界的なシャンソン歌手にまで上り詰めた伝説的な歌手である(フランス映画「エディット・ピアフ 愛の賛歌」は彼女の伝記映画だが、非常にオススメ)。

 

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鑑賞の後はスタバに向かったのだが、上野はポケスポットが乱立しているので、ポケモンGoに興じる人や、何かのイベントもやっていたので人でごったがえしており、あまりの長蛇の列に断念。こちらの上野恩賜公園のスタバは緑に囲まれていて個人的に好きなので、オススメ。久しぶりに美術館に来たが、やはり美術や音楽と言うのは良いものだ。芸術や音楽の無い人生は無味乾燥としてつまらない。