
がんについてのデタラメ記事を取り上げています。これ自体は些細な一記事に過ぎませんが、そこには根深い問題があると思います。
「がん難民」と言われ、代替療法に救いを求める方は、こういう記事に飛びつきますからね。
■「【がんは感謝すべき細胞です】 今を生きる皆さんに、ぜひ読んでいただきたい」
http://ameblo.jp/vivihappieta/entry-11881737485.html
大地を汚さない、無農薬の野菜や食生活を推進されている
NPO法人 健康かむかむ畑(記事元)
汚れた血液を綺麗にサラサラにしてあげますと、ガンは根治されます。
つまり、本来の食べ物を良く噛んで少量食べて、腸内細菌群を正常な状態に回復させて、綺麗なサラサラ血液を作って、全身に巡らせますと、自然治癒力が高まり、
もう浄血装置としてがん細胞の必要性が無くなりますので、少しずつ、ガン細胞は消えていきます。やがて、がんは根治されます。
では、どうしたら、綺麗なサラサラ血液を作ることが出来るのでしょうか。
がんのかたは次のものを食べてはいけません
1 肉・卵・牛乳、更にはバター・チーズ・ヨーグルトなど、あらゆる乳製品
2 白米・白砂糖・食塩・白パン・菓子パンなどの精白食品
3 スパゲッティ・ピザ・うどん・ラーメンなどの小麦粉食品・・・
【問題4】進行がんは治らない
「汚れた血液を綺麗にサラサラにしてあげますと、ガンは根治されます」
上記のような、病人を糠喜びさせるいい加減な記事はやめていただきたい。
全身のあちこちに転移するような勢いのあるがんは、現在の医学でも治すことは不可能です。以下、医師が記した著書からの引用です。(『「がん治療」のウソ』、近藤誠・小野寺時夫ほか)
「がん検診の必要性や抗がん剤の是非などについて、医師の間ではいろいろな意見があるが、『進行がんは治ることはない』という点に関しては、多くの医師たちの意見は一致している」
【問題5】がんに食事療法は当てにならない
記事では「がんのかたは次のものを食べてはいけません」と、肉や乳製品を摂ることを禁じています。
しかし食事療法を試したがために、急死してしまったがん患者の例もあります。近藤誠医師の著書、『がん放置療法のすすめ』から引用します。
「食事療法が問題なのは、忠実に実行すると痩せてしまって、コレステロールも激減する方法が多いからです。
私の記憶に残るケースとしては、転移があってがん放置を選んだけれども、食事療法に邁進し、激やせして、あっという間に亡くなられた方が二人おられます(乳がんと胃がん)。
科学的に因果関係を証明することは困難としても、転移の成長速度が(通常の速度より)異常に速かったので、食事療法が影響を与えたのだろうと推測しています。
とすれば、転移がある人はもちろん、転移が潜んでいそうな人も、食事療法はしないことが、長生きするコツの一つとなるでしょう」
【問題6】記事の拡散は、代替療法ビジネスの宣伝となるだけ
がんを正規の医療機関以外の民間医療所で治療する行為は、代替療法とも呼ばれます。鍼・灸・指圧、気功、免疫療法、食事療法などがこれに相当します。
がんは根治が難しい病気ゆえ、こうした代替療法を次々と求める「がん難民」と呼ばれる人々が存在し、代替療法の国内市場は現在1兆円にも達すると言われています。
上記の記事の書き手も菜食療法ビジネスを運営する、そうした営利活動の一端を担っているに過ぎません。だから記事を拡散するにしても、転載主は書き手は何を目的として記事を書いているのか、よく考慮してから転載してください。
記事の印象が健康的で良心的、ちょっと良さそうだから拡散しようでは、あまりにも浅はかです。また「食物でがんを根治できる」という謳い文句は、薬事法にも抵触してくるのではないですか。
藁をもつかむがん患者の中には、このような能書きを真に受けて食事療法を実践し、死亡する人も出て来るかもしれないのですよ。だから、
自分がよく分からない分野は、決して拡散しないでください!
・『NHKスペシャル がん 生と死の謎に挑む』、立花隆、文藝春秋、2010年
・『がん治療のウソ』、近藤誠・小野寺時夫ほか、宝島新書、2014年
・『がん放置療法のすすめ』-患者150人の証言、近藤誠、文春新書、2012年