NSC(国家安全保障会議)と特定秘密保護法(2)【佐藤優】 | 太平洋戦争史と心霊世界

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NSC4 


 元外交官で作家の佐藤優氏による、NSC(国家安全保障会議)と特定秘密保護法に関する解説を4回に分けてご紹介するうちの2回目です。

 

 

■『くにまるジャパン』111日放送分1〈佐藤優〉

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――現時点で、NSCとは一体何ぞやとは明確には言ってませんよね?

 

 

佐藤:言ってないですよ。それでNSCで何を議論するのかと。その議論をすることが秘密だという話ですから。

 

 

――でもそれは佐藤さんのご指摘だと、戦争をするかしないか、いわゆる戦前の統帥権を今預かっているという意識の元に、GOを出すか、STOPかっていうことですか?

 

 

佐藤:そういうことです。ですから、とにかくやらないといけない、だからやってしまおうと。絶対に正しい事だと確信しているんですよね、今の政府は。

 

 

――それだったら憲法問題云々っていうよりも、いや創っちゃったんだからやるんだと、これおかしいですね。

 

 

佐藤:目に見えない憲法っていう発想なんですよ。要するに、成文の憲法あるんだけど自衛隊は?事実上の軍隊じゃないですかと。これ目に見えない憲法なんです。

 

或いは、国は私立大学の助成っていうのは本来できないんですよね、憲法の考えだと。要するに国家は教育から分離していないといけないわけですから。お金出せば紐が付いてくることになると。しかし、私学は助成金なくちゃやっていけないですよね。

 

こういう所は目に見えない憲法があるから、構わないんだという話になるんですよ。そうするともっと進むと、昔ミュンヘン大学にオットー・ケルロイターという人がいたんですが、この人はナチスの憲法理論作った人なんです。憲法改正しないでいいと。

 

憲法改正しないで解釈だけ変えていく。或いは、普通の法律っていう形でワイマール憲法と矛盾するものを幾つも作っていく。それ積み重ねれば事実上のナチス憲法ができる。目に見えないナチス憲法作っちゃえばいいんだと、こういう事言った人なんですよね。これまさに、ナチスの手口なんですよ。

 

どうも最近の政府はナチスの手口に学んでるんじゃないか。憲法改正とか正面からの議論を避けてですね、自分たちのやりたいことで今の憲法の枠も相当超えていて、まさに戦後の日本の体制っていうものと違う事をやろうとしているんじゃないかと、こういう感じがするんですね。

 

だからNSCでその矛盾が、特定秘密法と合わさって集約的に出てきている感じがするんですよ。でも止めることできない。どうしてかというと、圧倒的大多数の支持を得て政権ができてる、っていうことになってるわけだから、国民はみな支持してるんだと、こう政府は思っているわけですよね。

 

 

――今、目に明らかに見える脅威というと、中国の台頭っていうのがありますよね。これに対して日本の国民世論は中国に対する嫌悪感ていうのは数字の上でもかなり高いものがある。でもそれとこれとは別だよ、ということですよね、本来は。

 

 

佐藤:関係しているとするならば、何が一番重要かというと、国際世論を日本の味方に付けないといけないわけですよ。そうすると、ルールブック変更してないのに、なんかルールと違うようなことを始めるっていうのは国際社会で信用されるのか。

 

しかも、かつてのいろんなことあるわけですよね、中国との関係においては。歴史の議論をした場合には、日本に有利な点よりも中国に有利な点の方が残念ながら多い。我々は敗戦国ですから。

  こういう事を考えた場合に、今、日本は日本なりに良かれと思う事をやってるんだけれど、国際社会から見ると、変な事してるなあと、これ民主主義国なのかと思われかねない事をしていますよね。

 

 秋の空 


――このNSC、国際秘密保護法案も、海外から見ると、奇異に映るってことですか?

 

 

佐藤:ちょっと奇異に映りますね。

 

 

――それに対してイギリスは、「NSC創るんだったらウチのノウハウを」って。

 

 

佐藤:イギリスっていうのはそういう国なんですよ。イギリスっていうのは、今だ検閲がありますからね。政府の検閲認められてますから。

  それだからガーディアンの編集部に行って、「お前スノーデンからもらった変なデータ持ってるな。押収するか、見てる前で破壊しろ」と。で、破壊しますって破壊したわけですから、ガーディアンの編集部は。

 

これアメリカとかドイツでは絶対できないですよ。そもそも、人権保護に関する成文法ですね、近代的な。イギリスにはないんですよ。イギリスは成文憲法ないですから。目に見えない憲法っていうのがあって、必要な時にそれが凡例で出てくるって考え方なんですよね。

 

ですから、イギリスっていうのはある意味エリート支配していて構わないんだっていう国なんですよ。だから貴族制がある。その代わり戦争になったらエリートが一番最初に行きますよ。

  それだから、外交は下々に触らせない、国家機密があるのは当たり前だと。それから、スパイには人権適用されないと、それくらいの感覚の国なんですよ。

 

だから日本から見ているイギリスっていうのはホワイトイギリスなんですよね。それの裏側のブラックイギリスがあるわけなんですよ。そのブラックイギリスが顔を出してきて、「なかなか日本の政権はいいな、我々と同じブラックな所がある。ブラック同士で協力しよう」(笑)こういうことですよ。

 

 

――イギリスのメリットは何ですか?

 

 

佐藤:イギリスのメリットは、アメリカの力が弱くなってるでしょ。イギリスは香港をもともと持ってましたよね。今でも中国に権益持ってるんです。中国に対する足がかりで、東に同盟国が欲しい。

  ですから、かつてロシアをやっつけるために名誉ある孤立をやめて、日英同盟を創った時とよく似てます。中国をにらんで、取引してきましょうと、それだから日本に魅力を感じてるんですね。

 

 

――日本でNSC創るんだったら、ウチの方でノウハウを提供しようっていうのはそういうねらいがある?

 

 

佐藤:ですから日本の場合はよくわかってないですから。そうすると何かを基にして創らないといけないんですよね。