
巡検の正式名称は初夜巡検と言います。海軍では艦艇・地上勤務の別なく、また停泊中・航行中も関係なく巡検は毎晩行われました。
しかし時間は部隊や勤務地によって違ったらしく、例えば夏季が20時30分なら、冬季は30分早く20時に開始されました。
巡検15分前には「巡検用意」のラッパが鳴り、兵たちは各分隊の当番兵2人を除いて、全員ハンモックの中で寝たふりをします。
この時間帯には既に室内には吊床が吊られており、兵は居住区内の整頓や靴磨きなどをしているわけですが、巡検用意のラッパと共に吊床の中に入り、狸寝入りをしなければなりません。
次にスピーカーから巡検ラッパが放送されると、衛生伍長、副長、甲板士官、掌砲長、掌帆長、掌水雷長、掌木工長、甲板下士官が、准士官以上の私室と公室以外の定められたコースをすべて見て回ります。
各分隊では当番兵たちが「第XX分隊」と申告して点検を受けます。巡検が終了すると、「巡検終わり!タバコ盆出せ」の号令がかかり、その後は消灯まで兵たちの自由時間となり、一日の作業からやっと解放されます。
■巡検ラッパ