元外交官で作家の佐藤優氏が、福島放射能汚染水問題に外交的視点から言及しています。(以下、文字起こし)
【動画】2013-09.06 佐藤優 くにまるジャパン(34:03)
■IAEAの汚染水直接管理は一種の日本占領
(汚染水の問題は)率直に言って東京電力がけしからん、いじめているという段階は過ぎたと思う。福島第一原発だけは、東京電力からもう切り離しちゃったほうがいいと思う。それで、国が直接管理したほうがいい。
私が一番心配しているのは、汚染水問題がどんどん続いているでしょ?どうも有効な手を打てないようだということになる、或いは、政府が発表しているデータっていうのは実は違っていたというような話が出てくると、国際原子力機関(IAEA)でも、直接管理みたいな話が出てくると思う。
これは一種の占領である。国家主権にも影響のある問題に発展しかねない問題だと思う。だからこの問題は非常に深刻である。
■日本が原子力犯罪国家として非難される可能性
それから国際法で、海洋汚染防止条約というのがある。日本も加盟している。これは、放射性物質を海にわざと捨てたら、罰せられるという法律。しかも、船や飛行機で持って行って公海上に捨てたり、要するに12カイリの向こうに捨てることを主に想定している。
日本の外務省の条約屋さんたちというのは、何としても自分たちの責任逃れすることを考える。「いや、国際法違反にならない、大丈夫だ」と考えるわけである。
それをどのように弁明するかというと、「いや、わざとやっているんじゃない。抑えようと思っても抑えられないんだ」、「領海の中に流れているんだ」と説明する。
海洋汚染防止条約っていうのは、海での汚染を防止するという大きな目的のために作ったもので、最初から自分の国の領海内にそういったものを流す国があると想定していない。それだから公海に持っていくということを想定しているんだと(言い訳する)。
それから海には壁があるわけではない。12カイリだってその先だってくっ付いているんで、そうすると、日本が、要するに原子力犯罪国家だ、みたいな形で非難される危険性もある。
その辺も全部踏まえて早いところ、国が前面に出てきてこの問題に当らないといけないと思う。特に外務省も重要。国際法的な問題も出てくるから。
IAEA管理になるというのは相当大変なことになる。今までにこんな例はない。これは誰も言ってないのだが、私は心配している。そうすると、国際的に日本はすごく孤立する。政府はすぐに福島汚染水問題・第一原発問題に着手するべきだ。