
以前は平和を維持するには、他国とどう友好的に付き合っていくかなど、平和的な対策だけ考えていればよいと思っていました。しかし実際には、他国と紛争が起きた場合の対応策など、軍事的な知識も平和維持には必要なのだということに気づきました。
つまり平和を促進する対策(プラス)だけではなく、軍事的な対策(マイナス)も一対として考えていかなければ片手落ちになります。
巷には「平和、平和」と叫んでいれば平和が来ると思っている人たちがいます。これは左翼的な方に多いようです。
多分軍事面に興味を持つことは物騒である、又は低次元であると考えているのだろうと思います。しかし軍事面も、万一の場合の対策として考えておかねばならない必須事項です。
犯罪に例えると、犯罪を抑止・撲滅させるためには、犯罪者自身や犯罪の手口・特徴を研究することが役に立ちます。心理学で犯罪の研究は犯罪学と呼ばれます。犯罪というネガティブな事象の研究から、建設的な解決法が得られるわけです。
犯罪学と同様に、戦争も抑止・回避させるためには、やはり軍事的知識や戦史を研究することが平和維持への貢献になります。これも軍事という、一見暴力的に見える分野の研究から、平和維持への解決法が得られるからです。
軍事面の研究がなぜ平和に貢献するのだと、疑問に思われるかもしれません。
例えば左派の方から「日本が武装解除すれば、日本は丸腰でどの国も攻められないのは明らかになる。だから他国も攻めないだろうから日本に軍隊は必要ない」という説を聞いたことがあります。
しかしこれは歴史を調べれば誤りであることは明白です。太平洋戦争では昭和20年8月15日、日本はポツダム宣言を受諾して連合国に降伏し、その日より日本を含む日本軍の駐在地で武装解除が始まりました。
ところが日本が降伏したにもかかわらず、3日後の8月18日、千島列島の東端にある日本軍が駐留していた占守島(しゅむしゅとう)に、ソ連軍が侵攻してきました。
日本軍は武装解除を中止し一転、ソ連軍と交戦を開始し、4日間にわたる戦いで日本軍が優勢だったのにもかかわらず、戦勝国のソ連軍に降伏を強いられました。これは「占守島の戦い」と呼ばれています。
その後武装解除させられた日本兵の大部分は、シベリアへ捕虜として送られるという理不尽な待遇を受けています。
以上のように、「日本には軍隊不要」説を主張するにしても、歴史的に軍隊不要論に反する事例はなかったか調べ、検証する必要があります。ただ思い付きで軍隊は必要ないと述べるのは無責任だと思います。
ですからいくら「軍隊は必要ない」、「軍隊がなければ他国は攻めてこない」と力説しても、歴史的・軍事的知識が欠けていると現実性に乏しくなり、主張もただの夢物語に終わってしまいます。
このような観点からも、歴史的・軍事的知識は多く持っていたほうがよいのです。