上官の命令を聞かない部下も存在した  【後編】 | 太平洋戦争史と心霊世界

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海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
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連合艦隊7 

 

 

 「上官の命令は絶対」といわれる軍隊ですが、中には上官、又は自分より階級が上の軍人の命令を無視する者も存在したという例をご紹介しています。このようなアウトロー的存在は軍隊内でも信頼を得ず、出世も滞りがちであったとされています。

 

 こちらでは下士官兵は階級よりも、勤務年数が長いほど権威が増す場合があるというケースをご紹介します。

 太平洋戦争中、海軍では人手不足のため新兵を1~2年の短期間で下士官にさせましたが、昭和15年頃までは、6年経っても下士官になれない兵がいました。

 

「その行動は天下ご免で、下士官にも敬礼せず、兵をアゴで使い、まさにハレモノ的存在であった。外出は下士官なみ、立場は兵、何ともヘンテコな兵であった。

 

外出しても肩をいからして下士官にも敬礼せず、兵が敬礼しなければところかまわずビンタを飛ばす。主として学校ぎらい、勉強ぎらいのゲバ的存在だ」

 

と、年季の入った兵は下士官並みの待遇を受けていました。

 

一方、陸軍でも同様の待遇が見られます。戦争文学である『真空地帯』にも軍隊内での前科により、上等兵から一等兵に降格された4年兵が登場します。4年兵とは軍隊内で4年間過ごした兵という意味です。

 

この4年兵は一等兵ですが、権威的には3年兵の上等兵よりも上に立ち、一等兵なのに上官である上等兵にビンタを喰らわしたりしています。



ケンカ 
陸軍上等兵(3年兵・右)に殴りかかる一等兵(4年兵・左)


 

ただこの例は映画ですので、実際に全くこれと同様の事例があったかどうかはわかりません。

 

以上のように、下士官兵の間では、階級以よりもむしろ、軍隊で勤め上げた年数が幅を利かせている場合もあるようです。

 

 階級より職場での勤続年数の多い方が重要視されるというのは、現在の日本の職場でもありがちな習慣です。

 

例えばある職場に専門職の経験5年、勤務歴も5年のAがいるとします。そこへBという経験10年の管理職候補の社員が入社してきました。

 

しかしこの場合、職場での権威度は新入りの管理職候補・Bではなく、職場で古参のAが実権を掌握し、その場を仕切るということが日本では見られると思います。

 

このように、日本では階級(役職)と実際の権威度は比肩しない、というダブルスタンダード的な現象が起きがちです。対して米軍では役職と実権度がかい離していたということがあったとは思えません。これは日本にありがちな現象ではないでしょうか。

 

現在の自衛隊でも、以上のようなダブルスタンダード的な暗黙のルールがあるのでしょうか。興味深いところです。