
今月は因果律(カルマ)について解説しています。それでは因果律として、どんな試練がやって来るのか?カルマだけではなく、使命を帯びた部分も同時にあります。
これらの試練を幾つかのケースごとにご紹介します。ご自分の境遇に当てはめて、自分はどのケースに似ているか、推察すれば自分自身の人生の課題や使命も見えてくるかもしれません。以下の文章はアラン・カルデックの『霊の書』からの抜粋です。
■人間的に悪辣な環境に誕生した人
(アラン・カルデック)
――悪党ばかりがいる境遇になぜ誕生しなければならないのでしょうか。
(高級霊)
「試練には教訓が込められています。ある霊にとってどうしても必要な教訓を学ばせるために、そういう条件をそなえた境遇に生をうける必要が生じるのです。その際、正さなくてはならない欠点と、その霊が置かれる境遇との間に連携的調和がなくてはなりません。
例えば略奪強盗の衝動が沁みついている魂は、そういう境遇に再び放り込まれて、とことんその無情を味わう必要が生じる場合があるのです」
【解説】上記では「悪党ばかりがいる境遇」となっていますが、これを敷衍すれば、例えば家庭内暴力、虐待、偏向した性格の近親者など、何らかの生きる方向性を間違えた人たちが集まる環境が来るということでしょう。
このような境遇の方は大変にお気の毒ですが、反対にこの逆境をクリアすれば、カルマも解消し、霊性も一段と向上することになります。
■順調な人生を途中で間違えた人
――完全を目指して試練の道を歩んでいる霊は、ありとあらゆる誘惑にさらされなくてはならないのでしょうか。自惚れ、嫉妬、貪欲、色欲、その他もろもろの人間的煩悩を試される環境に身を置かなくてはならないのでしょうか。
「そのようなことはありません。すでに述べた通り、霊の中には当初から順調なコースを歩み、そういう酷しい試練を必要としない霊もいます。しかし、いったんコースを間違えると次から次へと誘惑にさらされることになります。
例えば金銭欲に目が眩(くら)んだとします。そして思い通りの大金が入ったとします。その際、その人の性格によってはますます欲の皮がつっぱり、放蕩の生活に入ってしまうことはあるでしょうし、困っている人々に気前よく施しをして有意義に使用することも可能です。
ですから、その人が大金を所有したからといって、それゆえに生じる邪悪性の全ての試練にさらされるということにはなりません」
【解説】せっかく生前に人生の計画を立て、順調な人生を歩んでも、このように途中で迷路に迷い込んでしまう人もいます。ですから「自然の法則」とは何かということをよく理解して、なるべく道に迷わずに人生を終えることが、高級霊の間で奨励されているのです。
■厳しい環境、誘惑の多い環境に生まれた人
――霊みずから試練として選択する時の規準はどのようなものでしょうか。
「過去の過ちを償い、同時に霊性の進化を促進するものです。その目的のためにある者はみずから窮乏生活を選び、酷しい環境の中で力強く生き抜く修行をします。
またある者は、財力と権力の誘惑の多い環境に生まれて、その誘惑への抵抗力を試す者もいます。貧乏よりもこの方が危険です。とかくそれを悪用しがちですし、それにまつわる邪悪な感情もどぎついものがあるからです。
さらには悪徳の栄える巷に身を投じ、その中にありながらも、あくまでも善を志向する決意を強化せんとする者もいます」
【解説】人間として若い魂は、最初に物質的な苦労をさせられると言われます。これは東京シルバーバーチの読書会での主催者の方による解説ですが、初めて人間になったばかりの霊は、アフリカの紛争地帯などに生まれ、貧窮を経験するのではないかと述べられていました。
やがて再生(生まれ変わり)して霊性レベルが上がると、物質的な窮乏状態は脱して、今度は精神的な苦難を経験するようになります。例えば日本などは物質的には満たされていますから、最初の難関はクリアして、次の精神的な課題や因果律を背負う再生霊が多く生まれているのではないかと推察されます。
■現在の社会に違和感を持つ人
――地球より程度の低い天体ないしは地上の最低の人種、たとえば人食い人種などから文明国に生まれ出ることがありますか。
「あります。思い切って霊性の高い環境に挑戦してみようという考えから地球に誕生してくる霊はいます。ですが、どうも場違いという感じを抱きます。前世での本能や習性を携えてきているために、それが新しい社会の通念や慣習と衝突するのです」
【解説】現在の社会自体になじめないという事は、前世では全く違ったレベルの社会で生きていたという経験を、おぼろげながら保持している場合もあるようです。再生(生まれ変わり)については地球だけではなく、他の天体で人生を送った霊が地球に誕生するという場合もあります。
■権力者に支配される人生
――反対に文明国で前世を送った人間が罪滅ぼしとして未開人種の中に再生することがありますか。
「あります。ただし、その罪滅ぼしの中身が問題です。奴隷に対して残酷だった主人は今度は自分が奴隷の身の上に生まれて、同じ残酷な仕打ちをされるかも知れません。
理不尽な権力をふるった支配者は今度は自分が権力者の前に跪(ひざまず)く立場に生まれ変わるかも知れません。そうした罪滅ぼしは権力を悪用したことから生じていますが、善霊が程度の低い民族に影響力のある存在として生まれ出ることもあります。その場合は使命となります」
【解説】この『霊の書』は1857年に上梓され、その五年後の1862年のアメリカ南北戦争中に、リンカーンの奴隷解放宣言がありました。ですから『霊の書』が出版された当時は、奴隷制度が普通に存在していた時代でした。
権力を悪用した者は100%、上記のような例になるわけではありませんが、自分が過去に振るった利己的仕打ちと同程度の因果律を受け取ることになります。
後編は半日後に投下します。