
前回も説明しましたが、日本陸軍の暗号はコード暗号(第1次暗号)に乱数表(第2次暗号)の数字を足して使用する方式を採用していました。
例)発信:「第一大隊」⇒(コード暗号の「156」+乱数表の「236」)=「382」
「第一大隊」は「382」となる。
乱数表は次のように取り扱われていました。
「乱数表は薄い用紙を二枚一度にタイプし、送信用と受信用に分け、それぞれ一枚ごとに黒い厚紙を挟み込み、それが100枚できたところで四方を閉じ、各部隊へ配布した。
各部隊でこれを使用するときは一枚ずつ黒い紙を破らないと、次の乱数表が出てこない。よって、乱数を秘密裏に写真に撮ったり、書き写すことはできなかった。
使用済みの乱数表は必ず焼くようにしたが、使用していない物は盗られても意味をなさないので、そのまま放置してもよい、と陸軍では教育していたという。」
乱数表の閉じ方。上の絵は自前で作成したため、実際の乱数表とは形状が異なるかもしれません。
当時は暗号解読のために他国の領事館へ忍びこんで、暗号を盗み撮りするなど、スパイ映画顔負けの諜報活動が世界各地で行われていました。
日本でも昭和9年に憲兵が神戸のアメリカ領事館に侵入し、約5万語くらいと言われる分厚いコードブックの写真撮影を行っていました。
乱数表はこのようなスパイ活動を防ぐため、以上のように工夫して使用されていました。