日米軍人の死生観の違い | 太平洋戦争史と心霊世界

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海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。


日本将校の自決 



 戦争映画を見ていると、早く死なせてくれとせかす兵士たちがよく登場します。何故彼らは進んで死にたがるのか、ここで戦後生まれの人間は疑問を持ち、理解不能に陥ります。

 

戦艦や空母の艦長は、艦の沈没と運命を共にして沈んでいくのが慣例となっていました。また投降したくても「生きて捕囚の辱めを受けるなかれ」といわれ、捕虜となることも禁じられ自決を強いられました。

 

吉岡平氏は戦前の軍人の死生観を次のように説明しています。

 

「日本の軍人の考えていることは、結局、死に場所探しなのである。軍人=サムライは、武士らしくない、ひきょうな勝ち方をするぐらいなら、ふさわしい死に場所を与えてもらった方がよい。生き恥をさらすぐらいであったら潔く死ぬ。それが日本のサムライ階級の根底にある考え方である。

 

(中略)要は日本人にとって、命は大事に守るべきものではなくて、捨てられるものなのである。命より大事なものはないというのが戦後教育の価値観であるが、戦前の価値観からいうと、命はいつでも捨てられるものであり、その捨て方だけが問題であった。

 

恰好よく(このような言い方は誤解を招くかもしれないが)死ぬことが一番の美意識であり、名を上げることが最善とされた。」


ポップコーンを食べるアメリカ兵 



対するアメリカ人の死生観はどうかというと、

 

「アメリカ人は国民の命を何より優先させた。また我々の現在の価値観に非常に近く、現世の楽しみを享受したいと考える人々である。よって、死ぬなどというのはもってのほかで、できれば戦いにすら行きたくはなかったのである。

 

しかし、彼らの習性として、死にたくはないが負けるのもいやなのだ。日本人のように、負けてもいいが美しく負けなければいけないという感覚はない。アメリカ人は汚くても勝てばいいという正義感の持ち主である。

 

なぜなら、彼らは新大陸に何も持たずに上陸をし、先住民と戦い征圧し、領土を広げてきた民族だからである。力がすべてであるという価値観、自分たちが生きるためにはすべてが正当化されるという価値観を持っている。彼らにとって負けることは絶対悪なのである。」

 

 つまり日本人には負けても美しく死ねばいいという抜け道があるが、アメリカ人にはそのような思想がないので、何が何でも勝つしか道はないというのです。この思想同士が衝突すれば、勝つのはやはりアメリカということにならないでしょうか。

 

 またアメリカ人が容易に死なないのは、キリスト教の影響もあるのだろうと考えています。キリスト教では自殺は悪でしかありませんから。

 

日本では自殺と言うと悲壮感の入った「滅びの美学」を感じる事があります。しかし欧米社会で自殺と言うと、むしろルーザー感が漂う気がします。