
日本周辺の海底の地層の下には豊富なメタンハイドレードが存在しているといわれます。このメタンハイドレードの生産に成功すれば、日本のエネルギー問題も解決する日が来るかもしれません。
■メタンハイドレードはどこにあるか
メタンハイドレードは低温・高圧の環境に存在し、深海の海底の下、南極・北極の永久凍土層地帯の地層に埋蔵されています。 日本のメタンハイドレード分布域
■メタンハイドレードとは
メタンハイドレードは非在来型ガス。上の図でいうと、山の裾野(下)へ行くほど取り出しにくいガスとなります。
現在使用されている在来型ガスは、地上から自然に吹き出てくるもの。非在来型ガスは何らかの形で岩石を溶かしたり、穴を開けたりしないと取り出せません。
非在来型ガスは現在使用している在来型ガスと全く同じ。これは岩石の中に閉じ込められているのか(非在来型)、取り出しやすい個所にあるか(在来型)の違いだけです。
メタンハイドレードはシャーベット状になっており、その中にガスが閉じ込められており、それが溶けるとメタンガスが大気中に放出されます。
つまりメタンハイドレードは氷の中に閉じ込められたガスで、「燃える氷」とも呼ばれています。
燃えるシャーベット状のメタンハイドレード
■メタンハイドレードの生産方法
メタンハイドレードの生産法としては、「減圧法」が用いられています。これはメタンハイドレードを地層の中で分解させ、メタンガスのみを採取する手法です。(下の図参照)
日本はカナダ北西準州で共同で地上産出実験をしていましたが、2008年に世界で初めて減圧法による連続生産に成功しました。
メタンハイドレードは深海にあるので、シェールガスより取り出しにくく、ガスを取り出すときに、溶かした水を一旦取り出さないとガスが段々吹き出てきます。
これが技術的に難しいところで、これを海の上で行うとなると、シャーベット状のものが無くなってしまうとか、地盤沈下を起こすのではないかなど、環境の問題もあるので慎重に行わねばなりません。
■メタンハイドレードの海洋産出実験
カナダでの地上産出実験を経て今年の2012年2月14日、メタンハイドレートの採掘試験に向けた作業が、愛知県渥美半島沖で始まりました。
地球深部探査船「ちきゅう」が、愛知県沖約70キロ・メートルの地点で掘削作業を開始し、その作業は3月27日に終了しました。以後は本格的な掘削実験に入ることになります。
現在メタンハイドレードを採取している国は世界中でも皆無で、日本が世界トップで最先端の実験を行っています。
静岡県から和歌山県にかけての海域には、メタンハイドレートを含む地層が広がり、日本で消費される天然ガス13年分の量が埋蔵されているといわれています。
今後の予定として、日本では2018年にメタンハイドレードの商業化を目指しています。