
山東戦線で済陽城に突入する日本軍
徳川家の末裔、徳川宗英氏は海軍兵学校最期の第77期生でした。彼はある時、戦時中に一人の友人から中国戦線の話を聞きました。
「その友人の知り合いに、中支(中国大陸の中部地方)戦線に出征した人がいました。その人が戦地から一時日本に戻って来たとき、『また戦争に行きたい』といったのだそうです。
友達が『なぜ?』と聞くと、その人はこう答えました。
『戦地ではやりたい放題で、女性も思うままになる。戦争は楽しいものだ』
戦地に女性を連れて行くことは、古来、世界中でおこなわれていました。そうでないと若い兵隊はやっていけないからです。
かのナポレオンも、ロシアに遠征するとき、女性をたくさん連れて行きました。そのなかには自国の女性だけでなく外国の女性も入っていたでしょうし、現地で捕虜になった女性も含まれていたはずです。
こういう歴史があることや、日本が戦時中に徴用した従軍慰安婦のなかに中国大陸や朝鮮半島、台湾、フィリピン、オランダなどの女性が含まれていたことも、知っていました。
しかし、『だから戦争は楽しい。また戦争に行きたい』と口にしてはばからない人がいるとは・・・。思ってもみなかったことに、私は大きなショックを受けました。
この話をしてくれた友人は、最後にこう言い切りました。
『そういうのが日本の軍隊だったとしたら、日本が悪い。中国の対日感情が悪くても当たり前だ』
戦争は、さまざまな意味で人間の醜い欲望を暴きだすのです。」
よく特定の国の残虐行為を持ちだして他国を非難するブログがありますが、私には戦争とはどの国が起こしても、上記のような似たり寄ったりの行為が行われているように見えます。
他国・自国の虐殺行為を暴いて、怒りや憎しみに火をつけるように煽るだけでは何の解決にもならないでしょう。
惨禍による痛みは共有しながら、このような非道な行為が再び行われないためにはどうすればよいのか、建設的に分析することの方が重要ではないでしょうか。
日本人に欠けているのは、この合理的に分析して物事を解決する資質だと思います。