
山本五十六が石油に着目した理由は、軍艦の重油化ではなく飛行機の石油消費のためと言われています。
また飛行機の材料にはアルミニウムの原料となるボーキサイトが必要ですが、山本がこの入手方法を考えたかと言えば、そのような逸話は残されていませんでした。

アルミニウムの原料となるボーキサイト
軍艦の材料である鉄は日本国内で若干産出され、軍艦の燃料となる石炭も国内産のもので賄えました。
しかし飛行機になると、機体の材料(ボーキサイト)もその燃料(石油)も、全て輸入に頼らなければなりませんでした。
飛行機を兵器化した山本の着眼点は非常に優れていましたが、いざ飛行機の生産となると、ほとんどの材料や燃料を輸入しなければならず、飛行機の主力化は日本の軍事力の大きな弱点ともなりかねませんでした。
例えば、昭和13年に米国から輸入された資源の対米依存度は以下の通りでした。
原油・重油:82%
綿花:38%
鋼鉄:49%
銅:93%
石油に至っては昭和14年には90%が米国からの輸入品でした。今振り返ると石油の輸入国、しかも90%も依存している相手国と戦争をするなど気違い沙汰です。
資源を安定的に確保するため、日本の対外政策は慎重に進めなければならなかったのですが、満州・中国での日本人の振舞いが中国社会の反感を煽り、日本では次第に国際的に孤立化が深まりつつありました。
以上のように当時の日本は米国から石油の大半を輸入していましたが、その輸入国と対戦を始めてしまったため、飛行機の主力化は、すなわち資源不足のより一層のひっ迫化というジレンマを招いてしまいました。