山本五十六をめぐる女性たち(2) | 太平洋戦争史と心霊世界

太平洋戦争史と心霊世界

海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。


sayuri1
        映画『
SAYURI』より


山本五十六の長男、山本義正氏の著書『父 山本五十六』を読むと、夫婦仲がよく、子煩悩だった父として描かれており、この本だけを読むと家庭円満だったのではと思ってしまいます。

 

 例えば、義正氏の書いたこんなエピソードがあります。

 

「子どもたちの目に映じたかぎりでは、父と母は、ひじょうに仲のよい夫婦だった。もちろん、父が母をチヤホヤしたことはない。が、黙っていても、母に対する深い思いやりを、ちらりとのぞかせることがあった。

 

 たとえば、外国に出張中の父は、母によく手紙を書いたが、その手紙には、現在泊まっているホテルの間取りのことや外国人の生活のことなど、およそ日本にいる女の人が知りたがっていることを、克明に書いて知らせてくれたという。

 

そういう父のこまやかな心遣いに、母はひじょうに喜んでいた。」

 

 しかし『人間 山本五十六』では山本と妻・礼子の関係をこう述べています。

 

 「山本は妻・礼子の、女らしい潤いと細やかな気配りに欠けるところに不満を抱いていたため、夫婦の間柄は円満ではなかった。

 そこへ、不遇な境遇に育ったものの、しとやかさと情熱を併せ持つ美人の河合千代子が現れて、山本は千代子と恋に落ちた。」

 

 と、いかにも妻が悪いような書き方をしていますが、現代では噴飯もので離婚騒動に発展すること必至です。潤いに欠けるってどれだけ乾いていたのか知りませんが、以上の経緯を見る限り、山本が女性関係にだらしなかったように見えます。

 

 河合千代子が現われたのは山本の結婚16年目なので、当初は妻とうまくいっており、義正氏が書いたようなエピソードが見られたが、倦怠期が来てつい芸者に目が行ってしまったという状況なのでしょうか。

 それとも子供たちの前では仮面夫婦であったのかもしれません。

 

 確かに海軍軍人は

 

 「自宅とは遠隔の地での勤務や艦隊乗り組みが多かった当時の海軍士官が“恋人”を持つ例は珍しくなかった。」

 

 と言われていますが、当時の軍人全員が山本のような振る舞いをしたわけではありません。芸者遊びもせず愛妻家であった伊藤整一や山口多聞などの海軍軍人もおりました。