下記は日本が所有しているプルトニウム量の内訳で、その一部は海外に保管されています。
日本のプルトニウム保有量(単位:トン、2011年)
出典『原発と日本はこうなる』
「核分裂性プルトニウム」とは核兵器や一般の原子炉で使われる種類で、単純に言えば燃えやすいプルトニウムです。「非核分裂性プルトニウム」は燃えないのではなく、燃えにくいプルトニウムと言う意味です。
注意したいのは、日本政府が海外分のプルトニウム量を発表する際は、常に核分裂性の量しか発表しないということです。これはPu(プルトニウム)の量をなるべく少なく見せるための細工ではないかと噂されています。
海外にプルトニウムが保管されている理由を説明します。まず日本の原発で燃料を燃やした後に残る、使用済み核燃料をイギリスやフランスに持ち込みます。
そこで再処理・再濃縮の加工を経て、「回収ウラン燃料」が作られ、日本国内へ持ち込まれます。上の図をご参照ください。
回収ウラン燃料は原発の燃料として再度国内で使用されます。この使用済み核燃料を再処理する時に一部がプルトニウムとなるので、その際に生成されたPuを英仏が保管しているという訳です。
ちなみにこの海外でのPuの保管料金も、電力会社の総括原価方式の中に含まれており、電力料金に反映されています。
国際原子力機関 (IAEA)では、プルトニウムが8キロ(有意量)見つからなければ原爆が1個できているとみなしていますが、この考え方で単純計算すると、75,000 kg ÷ 8kg で9,375発分の原爆ができることになります。
有意量とは、プルトニウムの組成に関係なく定められた数字であり、「燃えにくい」プルトニウムの比率の高くなった「原子炉級」プルトニウムでも8キロです。
長崎に投下された原爆に入っていたのは、「兵器級」プルトニウムで約6キロ。まったく同じ設計だと、原子炉級プルトニウムは8キロほど必要ということになります。
日本には九千発以上の原爆を製造できるだけのプルトニウムがありますから、実際に原発を廃炉にしても、他国には「いつでも核兵器を持てる」というアピールにはなるでしょう。
この続編として、次回(たぶん来週)は原発用プルトニウムは本当に核兵器に転用できるのかを検証してみます。
原爆製造のためウラン235を入手しようとする草加少佐(ジパング・11巻)。235は核分裂性で核兵器の原材料に適している