不気味な笑い声を発するフミンミンゼミを前に、ウルブレード達は首をかしげていた。無理もない。幾度となく呪術軍師軍とは争っていたが、こんな戦士を見たことがなかったのだ。
その様子を察してか、ワザワイカブトが補足した。
「このフミンミンゼミは、とある理由で長年眠りについていたのだ。だが、お前たちが同盟を結ぶと聞き、それに対抗する切り札としてノロイムカデ様が復活させたのだ。いっておくが、こいつの力を甘く見ると痛い目を見るぞ」
「そうは思えないけどな」
「ムムム、聞こえたぞ、クソガキ」
無駄に声がでかいうえに地獄耳であるようだ。フミンミンゼミは羽根を広げ、前かがみになった。ワザワイカブトは即座にその場から離れる。その様子を察知して、エレキバットが逆に前に進み出た。
「破壊音波」
フミンミンゼミとエレキバットが同時に技を放つ。双方向から放たれた音波はぶつかり合い、その効果は相殺される。
「邪魔だな、そこのコウモリさんよ」
「ウルブレード様。このセミは拙者が引き受けます。早くノロイムカデのところへ」
「すまん、任せた」
ウルブレードがルートの森に進入しようとすると、鎚を構えてワザワイカブトが立ちふさがった。
「そう簡単には進ませんぞ。お前たちの相手は私だ」
ウルブレードはほぞを噛み、刃を振り上げる。だが、それより先に、ブルドリラーのドリルがワザワイカブトの首に突き付けられた。
「ウルブレード様、ここは私にお任せを」
「ブルドリラー、貴様一人で私と戦おうというのか」
「貴様ごとき、俺一人で十分だ」
両者の間で火花が飛び散る。ウルブレードは無言で合図をすると、ガゼルスピアーとともにルートの森の最深部へと駆け出していくのだった。