「お前たち、大丈夫か」
ブルドリラーたちとは時間差で本拠地を飛び出したウルブレードだったが、ようやく合流を果たした。敵の大将の首を取ろうという、たいそれた志を持つモグーン兵に進路を阻まれていた影響もある。
「ウルブレード様。今、ゲンワクアゲハの妨害を受けましたが、なんとか撃退しました。この調子で呪術軍師軍の本拠地へ急ぎましょう」
ブルドリラーの報告が終わるや否や、ウルブレードは真っ先に駆け出した。負けじと、その他の面子も後に続く。
ウルブレード接近の知らせが伝わっているのであろうか、本拠地に近付くにつれ、モグーン兵の壁が厚くなっていた。だが、戦士が4体も集結しているのだ。いくら数を集めようと、所詮は烏合の衆に過ぎない。
ノロイムカデが待つルートの森が目と鼻の先まで迫った時だった。
「待たれよ」
ウルブレード達の前に、紫色の戦士が立ちはだかった。長い角に巨大な鎚。呪術軍師軍のワザワイカブトだった。先陣を切ってウルブレードが啖呵を切る。
「呪術軍師軍きっての武闘派がようやくお出ましか。だが、俺達を相手にどこまで立ちまわれるかな」
「いい気になっているのも今のうちだ。お前たちがノロイムカデ様に会うことなどできないのだからな」
「どういう意味だ」
ガゼルスピアーの問いかけに答えるように、ワザワイカブトは指を鳴らした。
「フハハッハハハッハ」
不気味な笑い声がこだまする。それに呼応するかのように、ルートの森の木の葉が揺れ、あやしげな音色を響かせた。
ウルブレード達は目を凝らし、声の主を探索した。しかし、どこにもそれらしき気配はない。それでも、新手の敵が潜んでいるのは間違いない。痺れを切らしたウルブレードがワザワイカブトに切りかかろうとした時だった。
「破壊音波」
上空からウルブレードめがけ、衝撃波が発射された。ウルブレードはひざまずき、耳をふさぐ。その効果はブルドリラーたちにも波及し、ワザワイカブト以外の面子は一同に立ちすくんでいた。
ウルブレード達は何が起こったのか把握しきれていないようだったが、音波攻撃を使うエレキバットはこの攻撃の正体を見切っていた。エレキバットの「迷音波」は精神に働きかけて方向感覚を狂わせる技なのに対し、今放たれた「破壊音波」は単純な音の大きさにより、物理的にダメージを与える技だ。音の波動で攻撃してくるなら、向かい打って打ち消せばいい。
「破壊音波」
エレキバットは最大出力で音波を発生させた。異なる方向から放たれた音波はぶつかり合い、中和されていく。音波攻撃の余波が弱まったのか、ウルブレードはなんとか立ち上がることができた。
それを見計らったかのように、木の枝から羽音を響かせながら戦士が舞い降りてきた。着地すると同時に音波攻撃が中止されたので、エレキバットも音波を収束させる。
「ゲヒヒ。まさか、私と同じ音波の使い手がいるとは思いませんでしたよ」
「拙者も、同感だ。お主名をなんという」
「私は呪術軍師軍のフミンミンゼミ。お前たちを倒すために長年の眠りから覚めやってきたのだ」