前回、前々回と地元の沢初心者Hの失態が裏目
今回は、高校時代の同級生で山のスペシャリストであるMを誘い出すことに成功
本来ならここにHも含めて挑戦したいところなのだがこれまでに起こしたHの大失態は命にかかわるのでパス
三沢大滝林道への入り口周辺で一夜を明かし、翌日午前6時半に三沢大滝へと続く林道入口へ
手前の赤いマークが林道入口で下にある赤いマークは林道終点で三沢大滝への入り口となる
小雨だったが、さすがに三度目ともなると楽勝に道中をこなす
それにパートナーのMはHと比べ物にならないほど健脚
あっという間に進んでいった
これは一番上が林道入口で上から2つめが林道終点、3つめが上から見たら川の流れがクロスして見える滝(写真の二枚目を参照)、4つめは途中で休憩した場所で5つめは三沢大滝となる
我々はあっという間に4つめまでたどり着いた。時間にして2時間程度
マップを確認する限り、すでに半分はクリアしていたため往復7時間くらいで行けるのではないかと希望に満ちていた
そんな希望に満ちていれたのはほんのひと時となったことを我々はまだ知らない
三沢大滝までの道中はどこを見ても同じ景色が続き、自分は今いったいどこにいるのか訳が分からなくなる
そこで「GPS」を駆使せざるを得なくなる
前回はGPS未使用だったがGPS使用によって4つめの地点まであっという間にたどりついた
このあと1時間ほど進んでから問題が生じた
GPSで位置情報を確認すると、なんと、沢から大幅に道がずれているではないか!
まさか途中で見かけた複数の沢で道を間違えたのか
ちなみに流れの強い沢の方に向かって向かっていたのだがそれが間違いだったのか
場は猜疑心に包まれたが、自分たちの歩んできた道を信じるという人生訓さながらに進むことに
それから約30分、再びGPSを起動すると、今度はさらに遠くに離れてしまっている
「もうこれ以上間違えた道を行くと、熊も出るし帰りが心配」
Mは焦りだしていたMはこれ以上ないくらいに心配性かつ、石橋を叩いて渡る慎重派なのだ
「恐らく位置情報が上手くとれてないんだよ。あと30分だけ進んでみて何もなかったら諦めよう」
というもしかし、Mの表情はすこぶる良くない
それから20分ほど歩くと、なんと右手側にこちらで当たってますよと言わんばかりのピンク色のテープを発見
この瞬間、我々が目指す三沢大滝が近いということを確信
いつか見た名作映画「ショーシャンクの空に」が教えてくれた
「希望を捨てるな」
という気持ちで満身創痍の体の中、歩みを進めた
それからほどなくして、沢の音とは別の音
「シュー」
滝だ!
この滝独特の音が聞こえてきた時のあの気持ちは今でも忘れることができない
これまで60カ国の国々を旅行して何度も辛いことに直面してきたが、正直この道中が最も辛かった
土砂崩れの上や幅10㌢にも満たない山道など道なき道を歩いたり、時には冷たい沢の中を歩いたりして約5時間
やっと滝が姿を現すのだなと思うと、本当に感動した
思えば1回目と2回目は一体なんだったんだ
特に1回目なんてすぐ諦めて日光東照宮に行くただの観光
2回目は本当に地獄だった
雪の積もる三沢
極寒の水温となった沢が体の体温を奪った
この苦労があったおかげか、Mが感じた感動とは2倍、3倍と大きかっただろう
その後、興奮冷めやらぬ状態で滝に到着
この時、間近に迫る滝と流れおちる音だけが私の中の世界を独占
それもそのはず
私が滝の麓にいた時、Mは遠くで見守っていてくれたのだ
3度目の挑戦という思いでたどり着いた私の感動の瞬間を邪魔してはいけないと気を使ってくれたのだろう
Mの好きなポンデリングを今度奢ってあげたい
約70㍍の滝が2本
滝壺はなく、周囲は草や苔が生い茂る
水量は特別多くは感じなかった
滝は地面に直接落ちるのではなく、滝が流れ落ちる崖にぶつかるので、滝の真下でこそ迫力を感じることができる
正直言うと、滝そのものは世界の滝と比べてしまうと微妙
しかし、周囲の景観が滝をおぜん立てしている
周囲は垂直に切り立った崖に囲まれていて、上を見上げると、霧が立ち込めている
この後、膝の痛みや足の豆と戦いながら同じく5時間ほどかけて入口までたどり着いた
この時、林道終点まで行くのに、全く目印がないため、行くときに気を付けて場所を覚えるべきだなと感じた
足の裏が史上最強にふやけた
これにて私の挑戦は成功に終わった
しかし、これで終わりではなく、また新たな滝を目指してやっていきたい
ハッピーエンドで終われば良かった…
家に到着してからMから一本の電話
「俺のカメラ見なかった?」
そう、Mは三沢大滝の帰路でカメラを落としてしまったのだ!!
こりゃ大変、今すぐ取りに行かなくては…
しかし、戻る気持ちなど湧いてこない
カメラを天秤にかけてもあの道のりに再び足を運びたいとは思えない
もしあの滝に挑みたいのであれば、あらかじめ鍛えておかなけらば厳しいでしょう
そして道中では熊の爪痕を発見したので、本当に気をつけて行ってもらいたい