『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』を読みました。 | 視覚障害投資家のHappy Days

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『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』(加藤陽子、朝日出版社、2016年)という本を読みました。
第二次世界大戦前夜、「リットン報告書」「日独伊三国軍事同盟」「日米交渉」について取り上げられています。
本書は中高生向けの講義を書籍化したもので、かなり読みやすくなっています。とは言え、史料をふんだんに使ってきちんと事実を押さえながら進めていくので、大学の講義にも引けを取らないくらいしっかりした内容となっています。

いやあ、恥ずかしながら、勘違いしていたことばかりでした。
リットン報告書は、一方的に日本を非難しているわけではなく、ある程度日本の要求も認めながら争いにならないよう、特に日本が国際連盟を脱退しないよう最大限配慮されていたんですね。
日独伊三国軍事同盟を締結した理由は、「バスに乗り遅れるな」といった単純なものではなく、ドイツが勝つと見込んで、戦後仏印や蘭印を日本のものにしたいという欲からだったんですね。
ハルノートは強硬な最後通牒だったけれど、アメリカは日本を戦争に巻き込みたくなかった、石油の全面禁輸で日本を追いつめたくなかったんですね。それが、日米双方の国内事情もあってボタンのかけ違えが起き、交渉は決裂してしまったんですね。また、真珠湾攻撃が奇襲となったのは、日本大使館員の怠慢ではなく、軍部が圧力をかけたせいで宣戦布告の電報がギリギリまで大使館に届けられなかったからだったんですね。

これらのことなんかが、一次史料をもとにわかりやすく説明されました。
考えてみれば当たり前ですが、ある問題に賛成する人もいれば反対する人もいる、その議論の積み重ねや力の大小、誤解などが複雑に絡み合い行動が選択され、歴史はつくられていくんですね。
「歴史は一本の線ではなく、面でもなく、立体だ」という言葉がすごく印象に残りました。
事実をもとに考えていくことの大切さを教えられました。