〈楽園〉観劇記録(再) | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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韓国ミュージカル
自分の予習復習用につき、かなりの偏りあり
(注意: 目標はネタバレ100%)
メモ付き写真アルバムとしても使用中

7/19

日帝時代から戦後にかけてのお話。

シリアスな内容の割に楽しいナンバーも多くて賑やか。


独立運動も大きな要素だけど、その状況下での愛憎、偽り、苦悩、贖罪…の方に惹きつけられる。


プレビュー時期だったので、この日が初演のセヒムちゃんの挨拶によると…

「今までこの時代の何作品かをやったが、もし自分がその時代にいたら(主人公たちのようには)できなかったと思う。怖いし、守りたいものもあるだろうし。だから普通の人を演じてみたかった。」


なのでエスターは身近に運動家のいる普通の女性役。独立運動に対して、なぜそんな危ないことをするの?というスタンス。


牧師の父は浮浪児だったイ・ガンを我が子のように思いやる暖かい人。ガンはしっかり者のエスターに静かに心を寄せている。そんなガンに憧れる妹のサミル。


ガンは帰国するアメリカ人宣教師に連れられて留学し、そこで独立運動に目覚める。


エスターも父の勧めに従い、医師になるべく東京留学。女性の医師がいなかったばっかりにサミルのお産で命を落とした母親のような人を救うために。留学先で出会った金持ちの息子、ソックンと友情を育てる。


サミルは病で弱っていく父の看病をしながら家を守るが、1人残された寂しさを感じずにいられない。


ある日ガンから転送を頼まれたエスターへの手紙を読んでしまうサミル。そこには「帰国したら結婚して欲しい」と書かれていた。思わず破り捨ててしまう。


父の危篤で家に戻るエスターとガン。結婚について何も言わないエスターにガンは戸惑う。サミルは手紙を読んだエスターの表情は暗かったと嘘をつく。


運動を続けるガンは警察に目をつけられてしまう。動けなくなった彼に変わって重要な手紙を届けると言い張るサミル。どうしようもなく受け入れるガン。そして悲劇が起こる…。



可愛いペクソンはメガネをかけてインテリ風。ソックン以外の役も担当。妹役のアジンが天真爛漫ながら、影を育てていく感じを上手く演じていてオヨヨ驚きとなる。


ガン役は他のキャストが若めなのにデヒョンさんかー、と思っていたけど、結構よかった。ペテゴレ爺さんとは思えないカッコ良さ。笑い泣き







8/7

日帝時代にも関わらず、ポイントはそこじゃないのがお気に入り。


なっかなかドラマチックで面白い!


Mr.サンシャインを引き合いに出したら怒られるかもだけど、どんな時代であれ、ドラマになるのは人間の生き様。


「天国は死んだ人が行くところ。朝鮮が独立したら、そこは楽園だ」頑是ない娘に父が伝えた言葉。


しかし、生き残るための選択がもたらした悲劇は、朝鮮が独立に向かっても彼らに影を落とし続けて、


同じ目的のために働いた運動家同士も対立し、残るのは大国の思惑。


愛が叶うとは限らず、

夢見た楽園はどこにあるのか…


見応えある!



またしてもデヒョンさんかー、となっていたけど、もしかすると重厚っぽいドラマに見えるのは、彼の演技が重厚(かつ繊細)だからなのかもしれない。


前回、光復後の運動家たちが分裂している雰囲気は感じたけれども、終盤でガンとソックンが争っている理由が分からなかった。今回は「社会主義」という言葉も聞こえてきて、「アメリカ寄り」のガンと「ソ連寄り」のソックンの争いなのだと納得。


きっとこれは社会の縮図なのだろう。


少し前に、公式から出た時代背景の解説を訳してみたけど難しい。


ソ連が北海道を取るなんて話もあったらしいけど、結局はアメリカ単独になった日本の戦後とはだいぶ違う。





9/13

お父さんのペドロ神父以外はニューフェイス。


長女エスター役のヒョウン。めちゃくちゃ美声目がハート。母親代わりのしっかり者にぴったり。


絶対どこかで見た顔だと必死に考えて〈グレートコメット〉のソーニャだったのを思い出した。あの役も保護者チックな立ち位置だったのでそういうのが似合うのかもしれない。


イ・ガンはぐっと若返って目に優しい。サミルが惚れてしまうのも当然だ。演技的な深みを見せてくれるのか若干の疑いを持ちつつ見ていたがなかなかの熱演だった。歌声が深くて好き。


ジョンファ・サミルはいつもハート型の目でガンを追っていて、恋する少女の姿が微笑ましい。最初は〈長い夜〉のペンギンが重なる可愛さだが、その目に暗さが宿り始めるのにゾクっとした。


〈登登曲〉では権力側に立つギラギラしたイム・テヒョンが、明るくアクのない金持ちのお坊ちゃまを好演していた。あっちも似合うと思ったが、こっちも似合う。


(1週間観劇していると、かなりの率で同じ俳優さんの掛け持ち舞台を見ることになる。色々な姿を見られて嬉しい反面、微かに混乱しなくもない。)


いつものペドロパパはとっても人情深い暖かい人だが、勉強放送か何かで「アメリカで暮らした経験のあるインテリ」と小耳に挟み、庶民にしか見えていなかったと気づいた。


楽園は誰にでも共通のものではなく、それぞれ各自の楽園を夢見る人々の物語、とのこと。少し悲しいがありがちなことかもしれない。


エスターとイ・ガンとしては、セ・ヒム/キム・デヒョンペアの後悔と悲しみ苦しみが一番強烈でドラマチックだった気がする。


9/13、マチネに向かう空。青い。

力の強い女ト・ボンスンが住んでいたトボン洞に繋がるトボン路。(だから?)