音楽劇〈テイル〉観劇記録 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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全ては自分の予習復習のため
(注意: 目標はネタバレ100%)
近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。

テイル記念館で「チョン・テイル」の生い立ちから、労働運動に至るまで把握したので、ストーリーについて行くのは楽だった。


記念館は無料なので、ぜひお勧めしたい。



作品についてはこちらのブログに詳しいかと。

「ソウルに暮らす演劇オタクなブログ」様。




5/20

とりあえず、四男キム・リヒョンで。


あまりに辛過ぎて心がバキバキに折れてしまわないか心配したけれども、


途中、俳優の素に戻った会話で気分転換したり、


何より最後の決定的なシーンは具体的に描かれなかったり、


ソフトにまとめられていて大丈夫だった。



とは言え、幕開けの「明日はきっと幸せになれる」という歌からして辛いし、だんだんロウソクの数が増えていくのも怖かった。


ロウソクが舞台いっぱいになるのが最後への引導のような気がして、そういう意味で怖かった。


この物語で扱う、悲惨な時代の悲惨な出来事が私の小さなトラウマになってるのかもしれない。


記念館では、最後に展示されていたテイルの最後の姿を描いた絵画を直視もできないし、写真も撮れなかった。壮絶過ぎて。


本来ロウソクはテイルが灯していった希望の光でもあり、輝き続ける彼自身なのかもしれない…肯定的に見るなら。


あるいは彼の灯した火を消さずに引き継いでいく、労働運動の流れを応援する…といった意味合いとも取れる。


最後、一面のロウソクが悲しいほど美しい。


でも美しい話じゃない。


ホンリョンにも出てきたセリフ。

「死ななきゃ聞いてもらえない」の現実版。


ホンリョンの状況より、少女たちの労働環境の方が劣悪と言えるかも。


2020年にテイル母子に勲章が授与されたことを思い出して、見ながら再度ムカッとする。遅いムキー!それでも、テイルの訴えた精神が再注目され引き継がれていくなら、遅すぎるという事はないのかもしれない。


リヒョン君は可愛い顔の割に男気、反骨精神みたいなものが滲み出るので、テイルにはうってつけ。怒りも悲しみも深い。親切に工場の少女たちに接する姿は大人っぽくて…頼りになるお兄さんのような新たな魅力。


もちろん、マルチを演じるイェジべうに大拍手拍手




7/18


この作品では最初で最後の長男。


とにかく全回満席で、チケットが買えないったらない。


この回のチケッティングもダメそうな予感しか無かったし、実際「이선좌(既に選択された席)」を掴んで敗退爆弾


協力をお願いしてた方が1枚拾ってくれたのだが、感謝感激という言葉では言い尽くせない笑い泣き


そんな貴重な観劇の、直後は取り乱してメモさえも綴る状態になく、待ち合わせのフォロワーさんの肩に縋ってえーんおんおーん


そんな風になれるのは幸せだと言われる。それは確かに。


勝手に長男扱いしている個人的事情はあるにせよ、


登場する佇まいからして涙出そうな「ジョンウォンがテイル」「テイルはジョンウォン」の存在感が自然すぎる。


まだ母の胸が恋しい少年が未来を夢見て就職し、現実の地獄を目にし、妹を想い、妹のような下働きの少女たちを想い、決してそんな偉大な人物ではないのに、できることをひたむきに実行していく。


でも考えてみれば、困難に阻まれてもコツコツとひたむきに進み続けることは易しい事ではないし、


しかも幼い頃から父の縫製の仕事を手伝ったお陰で、自分は割と早くに下働きを脱して昇進できたのだから、少女たちを気の毒だと思っても労働運動に命まで捧げる必要は無かった。


それを思うとまさに偉大な人なのかもしれない。


密かな決心を胸に故郷に戻り、学校に行きたい妹の望みを叶えられないのを胸の中であやまりつつ、静かにソウルに戻る支度をする。その時に歌うのが、初めて職場に向かう時と同じ曲。活力に満ちた1回目とは違って静かに呟くように。


決断はしたものの、迷いなのか恐れなのか、最後の最後まで涙を流すような普通の人なのに、少女に貰った新聞代の紙幣を目にして胸の中の渦が決心に固まる表情が何とも言えない。


私が座っていた左ブロックはテイルが長くいがちで、全体的にかなり良かったが、上述のシーンは右側寄りだった。

普通ならオペラグラスで見る距離だが、見せ物を見るかのような(そうなんだけど)失礼な気がしてずっと自分の目で見ていた。


抗議の死を選択することが、どんなに難しい事なのかヒシヒシと感じるので。余りにも存在感に真実味があるので。


最後、荒い息の間から言葉を絞り出すように「我々は機械ではない」と呟いた後、再度「我々は機械ではない!」と血を吐くような叫び声をあげながら、客席からは見えない、警察や報道陣の前で自らに火を放つ場所に駆け出していった。


ソフトどころか、胸をグサグサと刺されるエンディング。見ているこちらも渦巻く感情に溢れ出す嗚咽で、カーテンコールに立ち上がることさえ難しい。


音楽劇なので何曲か入るのだが、それがまた名曲揃い。OSTを出して欲しい!


上にリンクを貼った「ソウルに暮らす演劇オタクなブログ」で音源を紹介してくださっている。


最後になってしまうが、共演のキム・クキさん、噂で聞いてたとおり凄かった。


前回のイェジさんだって千変万化だった記憶があるけど、クキさんは更にくっきり鮮やかに一瞬で変身する。


どうしてこんなに違う人になるのか不思議なくらい。





肩で泣かせてもらったフォロワーさんと大学路のゴンチャで楽しくおしゃべり。相変わらず気合いの入っていない写真。笑