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(あらすじ)
北京で荷台付き自転車が唯一の生存手段であるムヒョクは、革命団と称するドクヒョン、ジャギョンの仲間に加わることになる。目指すは日本銀行からの現金強奪。
朝鮮の土地から収奪した金で建てた銀行は朝鮮人のものだから!
彼らの思う幸福は三者三様で、朝鮮解放、飢えずにその日を楽しく暮らすこと、風のように自由に駆けること。
境遇も志の高さも異なるのに、なぜか一緒に革命を目指す成り行きに。
人間関係の一部は嘘に基づいているので、どこかいびつな関係なんだけど、確かに絆は存在している。
ジャギョンの詩に出てくる「方向も強さも違う風だったが、確かにその木に吹いていた」というようなフレーズが3人の関係性を良く表していて、異なってはいてもかけがえのない存在にはなれる気がしてちょっと感動した。
貧しさや孤独の中であがきながら日々を生きる人間がメインで、社会情勢は付属要素なのかな?
主題はやっぱり人間ドラマだよな、と思っていると最終的には革命が前面に出てくるし…ちょっとテーマがぶれる感じ。
色々考えさせる作品ではあった。
何年も経ってからムヒョクに向けられた質問。
「終戦で朝鮮から日本はいなくなったけど、南北に分かれてしまった。あなたはどちらに付くんですか?」この後朝鮮が味わう苦しみを私たちは知っているから胸が痛む。
前半は楽しくさせたかったんだろうけど、演出と振付が全体のストーリーにそぐわない感じで、私は違和感だった。謎のノリノリダンスとか。
かと言ってダメダメなわけではなく、良い要素はあるんだけどもう一歩な感じ。
ムン・テユが出るなら見甲斐があるはずと思い選択した作品。彼の演技で作品が締まったと思う。
イセホン君は大劇場のアンサンブルでバリバリやってましたか?と思うような深い美声。あまりに歌が上手いので経歴を検索したら23年12月に〈決闘〉でデビューだった!個人的には〈決闘〉系でない作品にもたくさん出て欲しい。
ユチャン君は声に深みがなく残念。可愛いし、カッコいし、足長いし、演技も歌も悪くないんだけど、ミュージカル声ではない感じ。(同じく検索したら歌手だった。)
あ! 突っ込みたい点。
ムヒョクは北京で自転車タクシーで暮らしていて、名前も誕生日も知らない青年。「おい、自転車!」と呼ばれている。ムヒョクという名前は革命団の2人が付けてくれたもの。なのにどうして自分は朝鮮人だという自覚があるんだろう。北京育ちなのに朝鮮語はペラペラだし。お客によって中国語、日本語その他で挨拶しているから超マルチリンガルなのかもしれないけど?