〈ワイルド・グレイ〉は私が深〜く愛する韓国ミュージカルだが、いよいよ日本上演の日も近い!
深く愛する作品でも、韓国で見た作品は日本では見ないマイルールがあり、しかも毎回5,000円程度で見ていたのに2倍以上払う気もない。
でもまあ〈ワイルド・グレイ〉を盛り上げよう!と言うことで再演版を訳してみた。
初演と比べて大きな変更は無いが、細かい部分や動線は少し変わったかもしれない。
一番変わったのは、ワイルドは判決を覚悟しながら裁判に臨んだ点だろうか。(初演では勝てると思っていた節がある。)
サロメの最後に各ボシがワイルドにキスをしようとする動作もはっきり示されるようになった。(初演映像ではチュニ君だけそれっぽい感じを醸し出していたけど。)
一旦身を引き、あるいはボシを押しやり、躊躇するワイルドにボシが一言、「誘惑を消す方法はその誘惑に屈服することです。」そして吹き消される灯り。きゃー
今回訳したキャスト。
全員が初演からの続投なので物語に深みを感じる。
ジョンミン・ワイルドは初演時に何となくネットリ感があってあまり好みではなかったが、再演では特に気にならず、悪くないと思った。太陽のように包み込むワイルド。ただ、収録日の喉の調子がベストではなかったのが惜しい。
うりフィ・ボシはヘアースタイルが変わって初演より大人っぽいキャラクターになっている。余裕ある演技が新しい役作りなのか、続投の賜物なのか、とにかくパワーアップしていることは間違いない。生きているアルフレッド・ダグラス(ボシ)と称されるチョン・フィ俳優。もちろん美しい青年なのだが、醜さも飛び抜けている。
IQ(知能指数)は悪くないにしても、EQ(感情指数)は測定不能に低いんじゃないかと思われる感情の揺れを持ち、人格的に破綻一歩手前のフィ・ボシはこの上なく魅力的だ。
作家がボシに境界性パーソナリティ障害のイメージを持っているそうなので、そこを踏まえるとボシをぐっと受け入れやすくなる。
そして、ジファン・ロス。はっきり言って最高
貴族的な佇まい。知的な雰囲気。大人の包容力。秘めた熱情。歌声もロスにふさわしい。
初演時に比べて、アン・ジファンという俳優自身が人間的に成長したように思える。最高!(語彙力の欠如)
そんな素敵なロスがそばにいて、自分(と自分の文学)を熱愛しているのに、ワイルドはなぜあんなボシなんかに目が眩んで、ロスを家族としか見なかったのか。
〈ワイルド・グレイ〉を見た人はみんなそう思う。
私なりに考えていた理由があるのだが、日本版のために偉い先生が社会背景を解説した記事を読んだら、当たっていたらしい。
実際のロスは美しくなかったのだ。
(舞台上のロスはみんな素敵だけどね)
ワイルドにとって美しさが最重要だから、短気でわがままなボシにウンザリしてるくせに別れられない。ワイルド…全く…