KBSドキュメンタリー、「ソウルのど真ん中のミステリーの家、ディルクーシャ」で取り上げられた赤いレンガ造りの家。
この古びた家がヤン・ジュンモの心をとらえ、彼を再び芸術監督に変身させたという。
「帰りたい。
ディルクーシャ あなたへ」
米国のある海辺の村に住む老人、ブルース・テイラーが最後の日々を過ごしながら、ずいぶん前に韓国に置いてきた懐かしい友人、ディルクーシャを訪れる。
仁王山の丘の上、イチョウの木のそばで風に吹かれながらディルクーシャも長い間ブルースを待っている。
別れて70年…彼らにはどんな物語があるのだろうか?
「あなたたちにも
希望の宮殿がありますか?」
ディルクーシャと共に暮らしてきた貧しい住民たちは、住んでいる家から追い出される危機に直面している。
崩れる直前の家でかろうじて持ちこたえている住民たちに、ブルースとディルクーシャの長年の事情が伝えられる。
住民たちは自分たちが抱いてきた希望を振り返り始める…。
12月26日
潮が満ちるのは見ていると分からなくても確かに満ちてくるみたいに、
ひたひたと満ちてくる感動で何故か涙が流れてしまう不思議な作品〈ディルクーシャ〉。
〈ショーマン〉や〈秘密の花園〉を送り出した貞洞劇場がまた新たな感動をくれた。
日本で出会った米国人男性アルバートと英国人女性メアリーが、インドで結婚し韓国で暮らすことになる。
美しい銀杏の大木に魅せられて、1923年に彼らが丘の上に建てた邸宅の名は「ディルクーシャ」。インドの宮殿の名を取って付けられた。「希望の宮殿」という意味で、人々の希望の場所になって欲しいというメアリーの願いが込められている。
その屋敷で生まれたブルースと、そこに住み続けた女性の文通の形で、寸劇のようにデイルクーシャが見守ってきたエピソードが演じられていく。激動の時代に翻弄される人々。
俳優たちは舞台の周囲に置かれた椅子に座り、出番になると前に出てくる。大きなセットもなく、場面転換もない。
退屈でも不思議じゃないのに、面白い。
ほぼ実話らしく、少し前には関係者が米国から観にきたそうだ。
ブルースは3・1独立運動の直前に生まれた。日本の官憲の目をあざむくため、病院でブルースが眠るかごに関係文章を隠すことをメアリーは承諾する。
ジャーナリストだったアルバートはその文章を米国に送り、その結果独立運動が世界に知られたのだという。
太平洋戦争がはじまり、テイラー一家は追放処分となる。この家に戻りたがっていたアルバートは戦争後間もなく亡くなったそう。アルバートは韓国以外の土地で死んだら、韓国に葬って欲しいと望んだ。
メアリーは望みを叶えるために韓国に戻ったが、その当時ディルクーシャはすっかり荒れ果て、朝鮮戦争で北から逃れてきた人々や家を失った人が住み着いていた。メアリーはディルクーシャはもはや彼らの家だと考え帰国したようだ。
12月27日
考えてみると注意散漫ではなかったのに、ナンバーが記憶に残っていないのは、不満とかでは全然なく、個々の要素に意識が分散されず物語の流れにまるっと集中していたからと思われる。
年老いたブルースが韓国に思いを馳せる時のアリランは素敵だった
2回目意識していたら、(当たり前だが)物語のエモーショナルな部分は全部音楽でできていた!
たま〜に背景に映像が使われる以外は、決して奇抜ではない照明効果と人物に当たるスポットライトのみ。あとは、物語そのものと言えるバラエティに富んだ音楽。
それでこんな感動が作れるのか!驚きだ。
何役もこなす俳優さんたちの実力は言うまでもない
取り壊しの危機もあったが、現在は文化財として保存されている「ディルクーシャ」。今度見に行こう。