〈バンジージャンプする〉観覧後記 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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韓国ミュージカル
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 (あらすじ)

1983年、雨が降るある日。「イヌ」の傘の中に運命的な愛が飛び込んだ。名前も聞けないまま逃してしまった彼女と再び会うことだけを願ってとめどなく待っていた「イヌ」は、偶然「テヒ」と再会する。 一目惚れなど信じなかった二人だが、あっという間にお互いに深くはまり永遠の愛を約束する。だが「イヌ」の軍入隊により別れの瞬間が訪れ、短いと思っていた2人の別れは意外に長い別れにつながることになる。それから17年後、2000年春。恋しさを隠したまま高校の国語教師になった「イヌ」の前に、愛した彼女の魂の痕跡をそのまま残した一人が現れ、彼の心を根こそぎ揺さぶるのだが···。

(インターパークより)

 

 

8月11日

テグン君が舞台に登場した瞬間、はうっラブとなる立ち姿。

 

ちょっとツヤのあるヨヌさんの声と、すりガラス的にふわーんとした彼の声が響きあって美しいったらない。

 

ミュージカル俳優として完全にテグンファンになったことを自覚。不器用で一途なイヌを作り上げていた。

 

ジェファン君のヒョンビンは、自分の中に変な感情が生まれて戸惑いながらも止められない、理解できない状況に怒りながらも切なくてたまらない、そんな感情が積み重なっていく過程が分かりやすかった。

 

そんなヒョンビンに接して、いくつかのエピソードを経るたびに、戸惑いから確信に変化していくイヌ。多分全ての事に対して穏やかな人だろうに、テヒに関してだけは頑として自分を曲げない強さがあって、愛の深さを感じさせる。

 

2人の相互作用で、荒唐無稽な設定に説得力が生まれたと思う。

 

前シーズンに初めて見た時はヒョンビン役がチェ・ウヒョクで、どうしたって高校生が不自然で、セリフも良くは分からないからあまり納得できなかった記憶がある。

 

今回はヒョンビンが普通の高校生だし、自分の中の感情に戸惑う様子とか、とても自然だった。説得力ありまくり。

 

テヒとヒョンビンの2人が重なるイメージの演出が強化されたのか、単に私の理解が増したのかは分からないが、様々なセリフが伏線というか、対応しあってるのも良くわかったし、とても楽しめる物語だった。

 

とにかく音楽が美しくて、旋律だけでなくアンサンブルのコーラスの響きもとても素敵だった。

 

 

8月17日

チャンヨンさんの深いなめらかな声が空間を満たす。

 

冒頭の教室のシーン。黒板に線を引く前、生徒の方を見ながら黙って立っているのだが、ただ立っているだけで何かありそうな空気感とでも言おうか、目を惹きつける何かを感じさせるのがさすがだ。

 

テグン・イヌほど不器用そうには見えないが、そもそもイヌが不器用と決まっているわけではないか。

 

レン君は元気で明るいヒョンビン。ジェファン君ほど繊細に積み重なっていく雰囲気ではなかったが、テヒの記憶がよみがえるシーンなど、感情が爆発する様子をイキイキと若者らしい様子で表現しているのが好きだった。

 

前シーズンのヘジュは自分が可愛いことを自覚している少々傲慢な少女で11日のチ・スヨンもその路線だったが、イ・ヒュ演じる今日のヘジュは善良さを感じる少女だった。

 

イヌの友人/教師を演じる2人は、シニア/ジュニアペアという雰囲気の組み合わせ。どちらもそれぞれの魅力があったと思う。

 

チャンヨン・イヌとジェウン・ギソクがお酒を酌み交わすシーンで既視感があると思ったら、スワッグエイジの2人だった。懐かしい。

 

会場はホンイク大学大学路アートセンター。キング・アーサーと同じ劇場。

 

天井までの高さがある舞台で、客席が舞台より低めの構造なので、2人の立つ絶壁が遥かに見上げるほど高くて怖かった。

 

やはりここでもプロジェクションマッピングを駆使した舞台効果。

 

音響が良くないと言われているが、舞台の音声に問題は感じなかったし、劇場中に風が吹き渡ったり、鳥がさえずりながら飛びかったり、本当に山の中にいるような気がした。

 

この作品で印象的な雨のシーンは、大豪雨の後だったせいか思わず傘を差したくなるような、濡れるのが心配になるような、とてもリアルな雨音と映像効果だった。

 

 

1回のロビーにある、映画「バンジージャンプする」の展示コーナー。

 

劇場は、フォトスポットやこういうちょっとした企画が楽しい。

 

 

(8/21 マッコン中継視聴後に追記)

前日の中継の感想で「綺麗な映像とメロディで泣いた。でも40歳の男が17歳の男子学生を道連れに心中するのはどうなの?」という声を聞いた。オトナとしては至極当然な感想だと思う。初めて観た時、似たような感想を持ったから。

 

11日に観た時はそういう事を思わずに、素直に受け入れられたのは何故だろうと考えた。

 

多分理由は2つあって、ひとつ目はテグン君の声や佇まいに現実感が少ないから。あの声を聴くと非現実の世界に誘われる気がする。

 

マッコンのソンユンさんは逆にとても現実っぽい。〈ディアキレフ〉でニジンスキーを愛するバリバリ男色家のディアキレフを演じた時、余りにも粘着感があってリアルすぎと感じたので、〈バンジー〉は身構えて観たが、それほどではなかった。

 

出会いの時の心臓の鼓動が聞こえてくるような気がして、さすがの演技力だと思った。

 

ふたつ目の理由はヒョンビン。11日のヒョンビンは最初微かだったテヒの存在が彼の中でだんだん大きくなり、最後に同化するのが感じられたので、高校生と心中するというよりは、姿は違えどあれはテヒだと思えたからかもしれない。

 

韓国ミュージカルらしく映像を活用した幻想的で美しい舞台だった。

 

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