〈キングアーサー〉観覧後記(その1) | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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韓国ミュージカル
全ては自分の予習復習のため
(注意: 目標はネタバレ100%)
近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。

弘益大学大学路アートセンター

 

キャスト別にメモをまとめてみようと思うが、まずはこの2人から。

 

レイア (チョン・ダヨン)

ファントムにおけるキム・ジュウォン(ベラドーバ=エリック母)に匹敵する存在だ。つまり、見るに値する。初演よりもパワーアップした。

 

これは初演時の振り付け。似た振り付けだが、再演は更に滑らかになったようだ。くねくねと妖しい動きに加え謎めいた表情。言葉を発しないのに醸し出す存在感で、モルガンの手下というより右腕に昇格したイメージ。何の下心もない表情でギネビアに向かった一瞬後にニヤリと邪悪な表情に変わるのが見事だ。

 

予習としてフランス版を先に見た時、韓国のレイラはちゃんとやってくれるか心配したが、満足だった初演より更に良くなった!世界一!(フランスと韓国しか知らないけど。てへぺろ)

 

新体操の国家代表だったが、早々に引退してミュージカル俳優に転身した変わり種。

 

 

ガウェイン (イ・ジョンチャン)

2人目はアーサーの側近?ガウェイン。初めて正確な名前を把握したかも。ガーウィンじゃなかった。すみません。そのうち訂正する…かな。

 

重要なのはそこじゃない。初演から続投のイ・ジョンチャンさんが、とても素敵な件だ。再演では狼さんや鹿さんがいないので目立つのか?

 

“Vive le roi Arthur!(アーサー王万歳!)” と叫ぶ彼。声も素敵ながら、アーサーに剣の稽古をつける時の凛々しさよ。アーサーがへっぽこなので流麗な剣さばきが際立つ。アンサンブルとして「魔法のように」ではカーテン(←違う)を揺らして踊っていたりするが、ダンスのキレがいい!そう気づいてしまうと群舞に混ざっていても目が行ってしまうのであった。

 

確かに濃いめの顔かもしれないが、キャスボの写真がなぜコレ???

 

 

3/23

 

3/30

 

4/1

 

4/23

 

コロナ感染のため3度ほどキャスト変更があり、結果的に見たのが以上のメンバー。ギネビアのリンジ以外はクリア。

 

アーサー

(イ・チュンジュ)

1幕最後の「立ち上がろう」がめっちゃくちゃカッコよくて、終わるや否やTwitterで叫んだ。

ひゃー---!

カッコいいー---!

心臓が破裂するー---!

酸素くれ!!

 

彼一人ではなく、舞台全体がカッコよかった。一度下がってから全員が前に迫ってくるところは鳥肌。

 

メレアガンからアーサーになって何が良いって、出番とナンバーが大幅に増えた事。メレアガンは時々しか出なかったが、アーサーはキラーソングだらけだ。

 

音域が広いしものすごーーく歌がうまいんだと再認識。難曲だと感じさせない。気持ちいい。

 

(コ・フンジョン)

ギネビアを前にして心臓がバクバクしてて可愛い。顔に似合わずスウィートラブラブ

 

これしかメモが無いキョロキョロ? 初演の記憶とあまり変わらないから?アーサーのイメージにピッタリだから?うまいの分かっているから?

チュンアーサーのカテコを娘に見せたら、王様にしてはいやにシュッとしてるな、と言われたので、フンアーサーも見せてみるべきかもしれない。

 

(ソン・ウォングン)

キャスボを見ての第1声が「ほんと痩せたよね!」笑

 

使えないヤツをやらせたら天下一品のウォングン氏。へっぴり腰の剣の稽古も最高。ギネビアを助けに行きたくない様子も笑えるし、いざギネビアに会ったらボーっとしちゃってハリボテみたいになってるし。ゲラゲラ笑った。ディテール王。

 

声だけは最初から王者の風格。いつの間にか剣も上達して、重厚感のある王様に変身していた。他の2人とは違って正統的ミュージカルっぽい声質だが、それはそれで成立していた。あとは好みの問題かも。

 

 

モルガン

(ホン・リュニ)

〈ブラック・メリーポピンズ〉ですっかりファンになった。どちらかと言うと悪役っぽいビジュアルをお持ちで、歌唱力も十分なので楽しみにしていた。期待通り。ほぼ初舞台としては完成度が高かったのではないかと思う。

 

(チョン・ヨンジュ)

細やかな人物造形はさすがで圧倒的な存在感・・・ではあるが、こっちのモルガンではなく、あっちのモルガナのイメージ。ヨンスクさん系の迫力に重量感がプラスされてる。

 

リサ/リュニ系モルガンが好きな私としては、キンアド特有のテイストから少しはみ出すのが残念。

 

(チェ・ヒョンジュ)

お姫様っぽく美しいが、だからこそヒヤリとする怖さもある。ウーサー王が道を踏み外すほど美しい母親から産まれたモルガンなら、これくらい美しいのも当然と思い至った。(するとヨンジュモルガンは…以下自粛。)

 

人生初めての悪役とのことだったが、もし運命が狂っていなければ幸せな美しい女性でいられただろうにと、邪悪さが痛々しくて良かった。

 

 

メレアガン

(キム・ジヌク)

いかにも誠実そうな声質。なぜかヨ・ジングっぽいイメージと思った。優等生イメージってことか?〈ファンレター〉のセフンからメレアガンに変身したので、セフンが残っているのかも。前半硬さを感じたが中盤からほぐれてきた。回を重ねれば良くなりそう。

 

ちょうど1ヶ月ぶりに見たら、思った通り化けていた。下から睨めあげる目つき、しかめた顔、絞り出すような歌声。善良さが消えて黒化していた。

 

なぜかジヌクメレアガンの最期は哀れで涙が出そうになる。高身長でスラリとした手足で、見るからに麗しいメレアガンについ同情してしまうだけではない。

 

(ペク・ヒョンフン)

それなりに真面目なメレアガン。黒い影が渦巻いている雰囲気でぞくぞくした。高音も素敵だ。

 

メレアガンは不運なだけで別に悪人じゃなかったのでは?信念に従って一生懸命生きてきたはずだ。ギネビアの件も、悪いのは約束を破ったギネビアの父の方だ。(ただし、約束を破ったのが悪いと言うメレアガンに、ギネビアの父が怒りを募らせて剣に手をかけるシーンがあるので、なにか無理強い的な約束だったのかもしれない。)

 

エクスカリバー(王座)やギネビアに対する執着心が彼を腐らせてしまったのだろう。

 

こちらも〈ファンレター〉のへジン先生からメレアガンに変身。

 

(キム・チャノ)

ある意味、真面目に間違った道を進んだ他のメレアガンと異なり、だんだんと狂気に侵されていくメレアガン。そうなのだ!モルガンが魔法をかけたのはギネビアとランスロットだけか?そんなはずはない。今までなぜ気づかなかったのか!

 

彼独自のメレアガンではあるが、一番高音が苦しそうなメレアガンでもある。

 

 

あるインタビューでチュンジュ氏が役柄変更について聞かれた時の話。面白かった。

「役柄に集中するタイプだ。その役柄から作品を理解しようとする。」

「メレアガンの時は彼がああいう行動を取るのは至極当然のことだと思っていた。アーサーを受け入れられなかった。」

「今回アーサーになってみたら、アーサーとしてはこういう選択をするしかなかったんだし、すごく理解できる。今考えるとメレアガンの選択はちょっとまずいかな、と思う。」

 

 

ランスロット

(ノ・ユン)

 一言で言って完璧。どこをとっても素敵でないところが無い。ノーブルでありながらロマンチック。もちろん歌も演技も、ダンスも良い!

 

(イ・スンホン)

純粋。一途。なんと言っても背が高い!剣を振るうギネビアを後ろから抑え込んだ絵柄にハッとした。私は身長差に弱い人種である。シャイなイメージの俳優さんだったが、意外に自信たっぷりのランスロットだった。

 

(イム・ビョングン)

甘さがあってロマンチック。華麗な騎士。

 

サクソン族に襲われた時も武術に秀でた騎士らしく余裕の対応。途中でギネビアに「もうちょっと待ってて」などと声をかけたりする。顔は見えないが、ウインクぐらいしていそうな雰囲気だ。

 

別れの挨拶の時、ギネビアに剣を突きつけられると、ギネビアを真っ直ぐ見すえながら、刺してくれと言わんばかりに僅かに前に出た。ギネビアにとってランスロットが愛してしまいそうな敵だとすれば、ランスロットには自分自身が敵なのかもしれない。いっそギネビアの手で死にたいと願ったのかも。たまらん。

 

 

各ランスロットが指輪を置いていくのは、お互いの愛を知ってはいるが、その愛をひとつにすることはしないで、各々が自分の中だけで自分の愛を完結させるという意味かもしれないとも思った。

 

 

ギネビア

(イ・ジヨン)

たしか昨年デビューの新人さん。最初は硬かったが、すぐにほぐれていって中盤からは堂々としたもの。公演を重ねたらどんどん深みが出るんじゃないだろうか

 

(イ・スジ)

キャリアを感じる安定感。初演より良い気がする。表現の深みを感じる。

 

ギネビアの場合、俳優さんはともかく、キャラクター設定そのものが少々苦しいのではなかろうか。共感を得るのが難しいキャラクターだ。

 

自由を求める人物。アーサーに一目惚れ。ランスロットにも一目惚れ。ランスロットの場合は魔法の影響があるのだが、モルガンがこう言っている。

「アーサーへの愛が確かなものなら、この程度の魔法など破ることができる。」

 

アーサーがモルガンの呪いに苦しんでいる時、おそらく戦いの間も、孤独だったギネビア。考えてみると戦いの合間にもランスロットはギネビアのそばにいた。任務だからと言うランスロットに、ギネビアは「熱心にできるのは心が動くから」と言う。

 

ランスロットの好意について言っていると思っていたが、アーサーの心が自分に向かっていない寂しさも仄めかしているのかもしれない。アーサーは女心を思い遣る余裕が無くても、もう少しギネビアに愛を行動で見せるべきだった。

 

ランスロットとは互いに対する愛をいわば凍結させる決定をするわけなのだが、それにしては偽の手紙で呼び出されランスロット(実はメレアガン)にいきなり抱きつくのが解せなかったりする。

 

 

メインキャスト以外で印象に残ったこと。

アンサンブルの「民衆の歌」。揺さぶられる!

平静ではいられない。

低音から始まるコーラスの質の高さを始め、悲しみ苦しみが突き出す腕の表現で伝わってくる。

 

今回もアンサンブルのレベルの高さに驚いているのだが、考えてみるとアンサンブルに驚かされなかった作品がほぼ無い。昔は端っこにあまりダンスが上手そうでない人がいたりしたが、そういうのがあまりない。

 

数年前に比べてアンサンブルの実力もアップしているとすれば、韓国のミュージカル界で生きていくのは大変だろうなと毎度余計な心配をしてしまう。



ちょうど再演のハイライトがアップされました!