この作品。私は好きです。胸にズッシリ迫ります。
よく「言葉が分からなくても韓国ミュージカルは楽しめる」と言うけど、この作品は難しめ。でも何度も噛み締めて味わえる作品。
台詞がほぼ全体的に理解できてようやく、ホープの心の動きが見えてきた感じです。なぜ矛盾したような行動を取るのか、分かってきた気がする。
原稿が話すはずはないので、K(原稿)というのはホープの内面、もしくはホープの深層心理、何かそんなものの可能性もあるわけで。
2人が言い争うのはつまり…。
でもどう解釈するかは観る人次第かも。
法廷にいる人たちにKは見えないし声も聞こえないので、Kに向けたホープの言葉は自分たちに向けられてると思っている。Kのパートを抜かしても微妙に会話が成り立っているのが可笑しい。
原稿の所有権を争う裁判が主軸ではあるが、並行してホープの人生も検証されていく。ホープの人生に何が起きたのか。彼女がなぜ今のようなホープになったのか?
過去ホープを見つめる現在ホープは何を思っているのか?老いたホープはそれが読みとれるような、読み取れないような絶妙な表情。そしてホープの行動はどう変わっていくのか?
ヨゼフ・クラインの残した原稿と、エバ・ホープの人生。それらが絡み合い最後に下される判決。
老若2人のホープはやっぱりこのペアがお気に入り。ダイジェストでは観られない名場面、名ナンバーも。際立つ照明。舞台の緊張感、惹きつけられる演技。やはりおすすめしたい作品。
フンジョンさんのKも良いけれど、少し厳しいKなので、ヒョンギュンさんの優しくて愛嬌のあるKが恋しい感じ。盛り上がりには彼の美声が大きく貢献していたと再認識。(初演のジフ君Kも観たかった。)
道の上の旅人(チョ・ヒョンギュン)
輝くさエバ・ホープ(チャン・ジフ)
脈絡なしに思いついたけど、ブランド品を身につけていないと自信が持てない類の人も、モノに自分を投影しているという点ではホープの仲間なのかも。