今日は〈ファンレター〉配信の日ですね。20時から。この作品は大人気の創作ミュージカルで今季が3演…でいいのかな?大学路作品ながら地方公演も2回行っています。
私は未見ですが、周囲に熱心なファンがざくざくいます。見る価値がありそうですよ。
もはや2週間前となる〈マリーキュリー〉ですが、トレイラーに出てくる「21万ビュー驚異の記録」の2倍以上となる、58万ビューを記録したそうです。こんな時期でなければ、チケット難は必至だったことでしょう。
〈フランケンシュタイン〉〈ベンハー〉〈笑う男〉〈エクスカリバー〉などなど、成功した大劇場向け創作ミュージカルはたくさんありますが、大学路系の創作物は数え始めたらキリがないほど、珠玉の作品が列をなしていると思います。
面積のある圧力で迫ってくる大劇場の迫力はありませんが、圧縮されて濃密な感情がこちらのツボをグイグイ押してくる感じ。たまりません。
〈マリーキュリー〉については小劇場作品よりは大きい規模に育てる方向のようです。オク・チュヒョンの投入?後押し?もありますし。
さて、以下はあちこちに書き散らしてあった感想です。
列車のシーンで、ルーベンとピエール(役の俳優さん)が旅行客になりすましてマリーの後ろに座っているのに気づいてウケた。こんな主要人物もその他大勢を演じるのか。ルーベンは前を向いて、会話をしている風な動きをしているが、ピエールは手前の女性に隠れてはいるものの、列車の窓方向を向いていることが多く、さもなければ足元の荷物でもいじっているように下を向いていたり、最大限見られないようにしているのが面白かった。
もう一つ気づいたディテールは時計工場でアンヌが参加して作業が始まるシーン。ルーベンが「闇を美しく照らせるのはまさにその光」と歌うところ。アンヌの左手側に座るポールの腕がガクッと下がってしまう。あれ?と言うように首をかしげるポール。既に体の不調が現れ始めているのが分かる。
そして「問題なし」で実験用のマウスが踊り回るシーン。2時間を過ぎる頃、マウスたちは職員たちが筆をなめて作業する動作をし始める。「異常はない」とマウスたちは楽しく踊り続け、筆をなめ続ける。そして6時間が過ぎる頃には工場でのポールのように、全員の動きがおかしくなってくる。
このシーンは実験用マウスに異常が現れるだけでなく、工場で働く人たちの様子も同時に表現していることに気づいた。
初期にはネズミの衣装を着て踊ったらしいが、職員たちの姿のまま踊る演出に変わったのは、そのせいだろうか。
列車のシーンに戻ろう。ソヒャンマリーの演技で好きなのは、アンヌがトラクターを買いたいと話すのを聞いたときのリアクション。頭の周囲に「?」マークがポンポンポンと出てくるのが見えるかのよう。アンヌの胸の高鳴りに100%共感する様子も可愛らしい。
〈笑う男〉でジョシアナを演じた時の演技ディテールが思い出される。議会でグィンプレンが「その目を開いて」と訴えるのを聞くジョシアナ。気持ちの変化が細かく演じられていたのに驚いたのであった。初演にはない演出で、再演のヨンスクさんもやっていたんだろうか?記憶にないと思ったら4回観たのが偶然にも全部ソヒャン・ジョシアナだった。ただ、ヨンスクさんはやっていなかったと聞いた気もする。
演技プランをとても研究する俳優さんなのかもしれない。
大学路作品初登場のオク様。さすが見応えがあった。一番ぞくっとしたのは、ピエールから「機会があれば、またその時に」と言われたときの表情。青く冷え冷えとした炎に包まれたのが見えるような気がした。冷たくて熱い炎。
2幕でバトンタッチしたソヒャンさん。最初から創作に関わってきた時間は侮れない。入魂の演技はすごかった。細胞レベルからマリーに成りきっているかのよう。
ダンバース夫人ならオク・チュヒョン、アムネリスならチョン・ソナ。そしてマリー・キュリーならキム・ソヒャン。マリーは彼女の代名詞になるだろう!
とにかく、きっと誰でも思うこと。2人それぞれを最初から最後まで観たい!
しかし驚いたのは、早口の台詞でもきっちり聞こえて来るオク様の滑舌の良さである。
「ラジウムパラダイス」は陽気でノリノリの曲だけど、後の展開を知って聞くととても怖い。ウィキによると、ラジウムが発見された頃は本当にこの歌に出てくるような製品が売られていたらしい。
アンダークは実際にはアメリカの会社で、従業員が次々と死亡したのを梅毒と偽った事実があるそう。アン+ダーク、つまり「暗くない」というネーミングが効きすぎ。
ルーベンはエバをそそのかした蛇のごとく、疑いを持ち始めるアンヌを巧みに牽制し、止まろうとするマリーの背中を押す。強制するわけでなく、人の心の弱みを突いてくるところが本当に邪悪なのだ…が嫌いになれないのは何故だろう?(多分俳優たちが素敵だから)
女性を班長に抜擢したり、給料は相場の3倍も払ったり、入院費なども出してあげたり…。ただの金の亡者ではない部分もあるのかなと思う。でも結局、アメリカにラジウムを売りつけようとするし、資本主義…、欲…、野望…、そんなものの象徴なんだろうか?
ルーベンを演じるヤン・スンリさんは初めて観る俳優さん。発音的にはスンニさん?とても素敵だ!声も好き。
〈もしハピ〉のジェームズが似合いそう、と思ったら2018.11〜2019.2のシーズンに出演されている。そして私は2018.12に〈もしハピ〉を観ている…。もしかすると今回が初めてではなかったのかもしれない!振り返ると意外なところで観ていたあるある。だからジェームズが思い浮かんだのかもしれ〜ん。
もう1人素敵なのが、イム・ビョルさんのピエール。せっかく妻の誕生日の段取りしたのに、科学オタクの妻は研究のことしか考えない。普通の夫ならちゃぶ台ひっくり返しかねないのに、大きく受け止めて妻を支えまくる!憧れる。声がまた包容力のある感じで、ピエールにぴったり。
「ポーランド人だから、女だから、認めてもらえない!」と怒りをぶつけるマリーの言葉を聞いて、辛そうにうなだれるピエール。
プレスコールでこのシーンを演じていたのはパク・ヨンスさん。正直声質のせいか、細身のせいか?イム・ビョルさんほどの深みや包容力は感じないが、最大限マリーを支えようと、自分の足にラジウムを巻きつける。やっぱり素敵なピエールなのであ〜る(ToT)。
イム・ビョルさんもまた〈もしハピ〉のジェームズが似合いそうだが、まだやってない。そもそも出演作が少なくて驚き。〈マリー・キュリー〉含めて5作しかヒットしない。
その中に〈君のための文字〉がある。彼以外にもアンヌ役のイボムソリさんと、死んだベラの妹役と臨床実験に協力するルイーズを演じているソ・へウォンさんも〈君文字〉メンバー。
〈マリーキュリー〉もだが、観に行ける状況で〈君のための文字〉が再演されたら全力でリピートしたい。