2019 SACA の結果に思うこと (修正あり) | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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韓国ミュージカル
全ては自分の予習復習のため
(注意: 目標はネタバレ100%)
近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。

※ライセンス初演部門、以下の部分に間違いがあったので訂正してお詫びします。

メフィスト(6,485票、19.6%)

ジェントルマンズ・ガイド(2 ,897票、8.7%)


《Stagetalk Audience Choice Awards》
"純粋な観客の選択で決定される国内唯一の演劇、ミュージカル賞"

発表内容は結果だけでなく、得票数とそのパーセンテージも含まれていて、ちょっと面白かったので載せてみる。


創作ミュージカル初演部門

帰還(13,427票、40.6%)

エクスカリバー(11,575票、35.0%)

スワッグエイジ: 叫べ、朝鮮!(2,048票、6.2%)

ホープ(1,988票、6.0%)

海賊(1,121票、3.4%)

よく分からない(2,951票、8.9%)


創作ミュージカル再演部門

あの日(8,518票、25.7%)

ベンハー(6,249票、18.9%)

死の賛美(3,237票、9.8%)

もしかしてハッピーエンディング(3,136票、9.5%)

よく分からない(11,970票、36.2%)


ライセンスミュージカル初演部門

キング・アーサー(7,527票、22.7%)

メフィスト(6,485票、19.6%)

ジェントルマンズ・ガイド(2 ,897票、8.7%)

シティ・オブ・エンジェル(2,530票、7.6%)

よく分からない(13,671票、41.3%)


ライセンスミュージカル再演部門

マリー・アントワネット(13,537票、40.9%)

エリザベート(4,581票、13.8%)

ジキル&ハイド(3,009票、9.1%)

スウィニートッド(2,289票、6.9%)

よく分からない(7,187票、21.7%)


まず作品部門から見てみる。

創作の初演部門は、「帰還」と「エクスカリバー」の一騎打ちだったらしい。「よく分からない」を含め、その他作品のパーセンテージは一桁台にとどまっている。


再演部門も「あの日」と「ベンハー」の戦いに見えなくもないが、実は、36.2%の「よく分からない」が25.7%の「あの日」を抑えてダントツ1位である。


ライセンスの初演も同様、「よく分からない」が41.3%で、1位の「キング・アーサー」22.7%の倍近く得票している。どうでもいいと思われているのは明らか。逆にこの賞についてはミュージカル好きの評価が表れているのかもしれない。


ちなみに自分の投票したい作品や俳優だけでなく、それぞれのカテゴリーに投票しなければならないシステムらしいので、お目当て以外のカテゴリーは適当に選ぶか、手っ取り早く「分からない」に投票するのだろう。


ライセンスの再演は、誰がどう見てもマリー・アントワネットの一人勝ち。その割に「よく分からない」の得票数が高めなのが不思議。この浮動票は誰のファンなのだろう?


しかし、2位の「エリザベート」にはアイドルで言えばジュンスもレオもヒョンシクも、ついでに言えばガンヒョン君も出ていたのに、そして何より人気作品なのに、この低評価はどうしたことか。



さて俳優部門を見てみよう。


女優主演

キム・ソヒャン(8,622票、26%)

キム・ソヒョン(7,398票、22.3%)

オク・チュヒョン(4,932票、14.9%)

シン・ヨンスク(2,773票、8.4%)

キム・ソニョン(2,632票、7.9%)

よく分からない(6,753票、20.4%)


男優主演

キム・ジュンス(9,305票、28.1%)

チョ・スンウ(6,509票、19.7%)

パク・ウンテ(5,047票、15.2%)

ホン・グァンホ(2,848票、8.6%)

チョ・ヒョンギュン(1,449票、4.4%)

よく分からない(7,952票、24.0%)


女優助演

チャン・ウナ(14,291票、43.2%)

ミン・ギョンア(4,914票、14.8%)

シン・ヨンスク(4,291票、13%)

イ・エウン(2,267票、6.8%)

よく分からない(7,347票、22.2%)


男優助演

パク・カンヒョン(9,989票、30.2%)

ソン・ジュノ(9,029票、27.3%)

イ・ジフン(3,275票、9.9%)

パク・ミンソン(2,544票、7.7%)

よく分からない(8,273票、25.0%) 


女優新人

キム・ヨンジ(12,873票、38.9%)

ナ・ハナ(3,574票、10.8%)

カン・ヘイン(2,344票、7.1%)

キム・スヨン(1,728票、5.2%)

キム・スハ(1,050票、3.2%)

よく分からない(11 ,541票、34.9%)


男優新人

ファン・ミニョン(12,355票、37.3%)

シウミン(7,700票、23.3%)

ドギョム(6,544票、19.8%)

ヤン・ヒジュン(2,411票、7.3%)

ユン・ジソン(1,616票、4.9%)

よく分からない(2,484票、7.5%)


男女の主演と助演をざーっと見て気付くのは「よく分からない」が20%から25%にのぼること。

女優主演は2人のマリーが上位2位。

男優主演はさすがに人気者揃いで票が分かれた感じか。「マリー・アントワネット」関連の出演者はいない。

男優助演も特に突出した数字は出ていないが、上位2位は「マリー・アントワネット」のフェルゼン2人。主演助演の両方とも「よく分からない」が約25%を占めている。

意外と言ったら失礼だし、1位になる魅力に溢れた女優さんではあるが、チャン・ウナさんが14,291票を獲得というのは少し驚いた。すべてのカテゴリーで最高得票数。他の候補者は5名のところ、新人賞だけ4名なのも関係していそう。新人のキム・ヨンジさんと共に「マリー・アントワネット」のマグリッドを演じている。

女優新人賞のヨンジさんもファンの多い方なのだろうか。もちろん熱演されていたし、受賞に相応しいとは思うが、この数字ほどの差は無いと思わざるを得ない。このカテゴリーは「よく分からない」の得票率が最高の34.9%なので、候補者が知らない人ばかり…だったのかもしれない。

さて最後の男優新人部門。ふう。まあね。シウミン君、ドギョム君も健闘したけれど、ミニョン君の一人勝ち。

ここに票を注ぎ込みたかった方々が、他のカテゴリーで「よく分からない」を押しまくったのかと想像する。あながち間違いではあるまい。ここだけ「よく分からない」がとっても低い7.5%。


アンサンブル部門
マリー・アントワネット(12,318票、37.2%)
エクスカリバー(8,133票、24.6%)
ジキル&ハイド(2,855票、8.6%)
あの日(2,541票、7.7%)
ベンハー(1,661票、5.0%)
よく分からない(5,602票、16.9%)

ここもまた「マリー・アントワネット」。

結果については予想以上のミニョン人気、「マリー・アントワネット」人気、に驚いている。正当な結果だとも思っている。観客のチョイスなのだし、人気と成功も実力のうち。

その中でアイドルでも無い、キャリアもない、ヤン・ヒジュン君が新人部門に名を連ねているのは、なかなか検討しているのではないかと。(負け惜しみ?)

以前、チケットパワーによってミュージカルの観劇者層が拡大し、市場の活性化がもたらされる、安定した投資が得られ、より良い作品が制作できる、などの話を聞いたことがある。

しかし、こんな話も聞いた気がする。チケットパワー重視のキャスティングを切り札にしたマーケティングを進めていくと、観客側も内容ではなく俳優によって作品を選ぶようになる。

高額のギャラを必要とするチケットパワー俳優をキャスティングしない作品は選択されず、内容が良くても興行的に振るわない危険性が生じる。

必然的に製作費のかなりの部分がスター俳優に注ぎ込まれ、それ以外の出演者やスタッフは窮乏を強いられる。実力があっても無名な俳優はキャスティングされなくなる。

つまりチケットパワーを持つ俳優に頼った業界の構造は諸刃の剣であり、作品として選択される文化を醸成してこそ安定的な発展が見込める…。


とは言え、理想は理想であり、現実にはチケットが売れなければどうしようもないのは事実。残念。

韓国ミュージカルについてよく聞かれるのは「アンサンブルまで、端役の俳優まで、全員実力がある」ということではないだろうか。

私がスワッグエイジ を推す理由の一つはまさしく、出演者がほとんど新人もしくは無名の俳優たちであることだ。そして一人ひとりの魅力が輝いていること。

PL Entertainment 制作なので、所属しているチェ・ミンチョルさんやイ・チャンヨンさんなど人気俳優も出演してはいるものの、既にチケットパワーのあるスター俳優に頼らずに素晴らしい舞台を作り上げたことを評価したいと思っている。

そしてチケットパワーではなく、輝く作品(と輝く俳優)を観るために選択していきたいと、個人的に思っている。


最後に、演劇部門については全体の投票者数がミュージカル部門の10分の1程度にとどまっていることをお伝えしておく。