シラノ 感想 (2019年版) | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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今年のシラノ 良かったです笑い泣き


台本が整理されて、物事が必然的に起こっていく感じ。幕開けが劇場であること、なぜ100人と戦う羽目になったか、ロクサーヌに告白できないジレンマ、その他色々分かりやすくなった。


(半分はこちらの理解が増したから?)


1幕はメリハリ良くユーモアのあるシーンが続いて、客席から何度も笑い声が起こります。


私的に一番歓迎すべき変化は、ロクサーヌが嫌な女じゃなくなったこと。


初演のロクサーヌは愚かにもクリスチャンの外見だけを好きになり、素敵な言葉で口説いてくれないと腹を立てたり。


アンタのせいで男性2人が不幸になったのよシラノが愛しているのをいいことに甘えすぎ!プンプンムカムカ

だいたいこういう気持ちで観てました。


再演の場合は、クリスチャンがあれほど変なことを口走るならヘソを曲げても当然かな、と。洒落たことを言ってくれない不満から怒ったのではないですから。(初演のロクサーヌは言葉のオタクだったのだと、どの女優さんだったか役作りのイメージを語っていました。オタクならしょうがないかと、無理やり納得しようとした記憶あり。)


シラノがクリスチャンに協力したのも、ロクサーヌを喜ばせるためだけでなく、自分の気持ちを伝えたいという止むに止まれぬ想いからだったことも強調されました。そういう意味でもロクサーヌの責任とは言い切れないものがあります。


セットは全体的に大掛かりになりましたね。冒頭の劇場シーンも作り込まれて掴みはバッチリ。そしてエピソードの順番が少し入れ替わりました。


・劇場シーン (幕を上げろ、俺の鼻)

・ドギッシュと剣を交える (タッチ)

・乳母がロクサーヌからの伝言を伝える (ロクサーヌ)

・パン屋に場面転換 (料理人で詩人-歌詞改定?)


パン屋の女将さんが亭主の書いた詩の紙をパンの袋に再利用したため、風刺した内容が貴族の目に留まる。それで怒った貴族が、今日明日中に街から出て行かないなら百人で襲いかかり命を奪うぞ…とパン屋に言いにくる。


・プライドを抑えてじっとしているのが、時には人のためになると言われるシラノ (巨人を連れてこい)

歌の最後には舞台奥に敵のシルエットがずらりと並び、突進していくシラノ。


100人との戦いがセリフの説明だけだった初演から、視覚的に変わったのでよりドラマチックに。


・翌朝、ベンチで待つロクサーヌの前にケガをしたシラノが現れる。(ベルジュラックの夏/運命の人)


その後の順番はだいたい初演と同じだったような気がします。


ロクサーヌと再会しベンチで語り合うシーン。「ベルジュラックの夏」の背景にスケッチ画のような映像が流れてとても美しかった。「マディソン郡の橋」の冒頭でイタリアからアメリカに向かう風景の映像とイメージが似ていると思いました。デュエットの響き合いも美しい〜照れ


集中力が途切れることなく、1幕も2幕もあっという間に終了。


1回目の観覧はジェウン/チヨン/ウォングン。

ジェウンさんはきめの細かい演技で良かった。歌が普通かな?迫力がちょっと。この演出でグァンホ君だったら良いだろうなと思ってしまった。



2回目、ヒョンギュン/チヨン/ウォングン。

ホープでお初だったヒョンギュン君。張りのある綺麗な声でどのように演じてくれるか期待大。大役をしっかり受け止め、歌はもちろん、演技自体もシラノの激しさがよく出ていたようです。とても熱い!


観終わって出た一言が、

1回目は面白かったー!」

2回目は「凄かったー!」


もう1人のロクサーヌのナ・ハナちゃんはシデレウスで知りました。声の良さ、歌のうまさが半端ないので彼女で観たかったのですが、スケジュール的にチヨンさんに当たってしまいました。


…。「しまいました」とか思ったこと、誠に申し訳ございませんでしたっ!滝汗


歌声も素晴らしいですが、ロクサーヌというキャラクターをしっかり描き切る演技力。パク・チヨンさん、素晴らしかったです。


クリスチャン。演出として、初演より切なさがアップしていると思います。


特にウォングンさんのクリスチャン!

体格が良いので「でくの坊」感が強調されるのがお愛嬌。(クールなウォングンさんはどこに?爆笑)

愛しているのに表現できないもどかしさ、

愛の深さ、

愛されているのは自分じゃ無いと悟った時の絶望、

切なくて、切なくて、

タイトルは「シラノ」ですが、「クリスチャン」でもいいんじゃないかなと思った。


戦場で釣りをしながらシラノと語り合うシーンでも彼の切なさが伝わってきます。呑気に釣りをしているわけじゃなく、食糧も尽き、いつ攻撃があるかも分からない緊迫した状況です。死が現実のものとして迫ってきている中、ロクサーヌに会えない悲しみを歌うクリスチャンは本当に切実です。


その後にロクサーヌがやって来て願い通り再会できるものの、決定的な失恋を味わうことになるんですね。


「彼女が愛しているのは、シラノ、あなたなんだ!」

この時の絶望感、思い返しても辛くなる。

「愛を拒まれた方がまだましだ!」

この叫び声が悲痛でした。


外見は全く意味がない、愛しているのは高貴な魂だけ。それを聞いて、シラノが告白を考えているさなかにクリスチャンが命を落としてしまいます。


釣りの場面から死に至る場面までだいぶ変更されていました。見えない所で銃声が響き、瀕死のクリスチャンが運び込まれてくる初演に対し、まるで自暴自棄のように戦うクリスチャンが目の前で死んでいく再演版。シラノが言えなくなってしまうのも当たり前と思わせてくれました。



さて、3回目。キュヒョン/ハナ/ヨンハン。


キュヒョンさんは、トッケビで妻を殺した会社員しか知りませんでした。刑務所のドラマも全然知らなくて。ミュージカルもやるのか、とりあえず観とく?くらいで特に期待感もなく観たところ…。


ニヤニヤラブラブ こんなに素敵だったとは!!


ヒョンギュン君シラノも相当良いと思いましたが、比較すると少し若すぎる気もします。


キュヒョン・シラノは、歌よし演技よし。

豪放磊落 かつ 軽妙洒脱。若すぎず老けすぎず。

一番 魅力的なシラノでした。


1幕、コミカルなシーンでは客席の笑い声が 一番大きい。演技のツボを心得ているとでも言いましょうか。



エクスカリバーに続き、シラノも 階段式観覧だったので、ジェウンシラノをうまいな〜、いいな〜、と思いながら観覧。そして次の2回ともそれぞれ大満足でした。


階段式観覧とは…


ジェウン       ⤴️

ヒョンギュン ⤴️⤴️

キュヒョン    ⤴️⤴️⤴️


という風に段々プラスが増えていく順番で観ること (byわたし)



今回のシラノは (他の作品もだけど)、歌声としてグァンホ君に匹敵するかというと、そうとは言えなかったりする。(断言する勇気なし)


それでも(韓国レベルで)普通の歌唱力良い脚本/演出、良い演技に恵まれれば、超弩級の歌唱力がなくても、勝るとも劣らない魅力あるミュージカルは作れるんだと、シラノにすごく感激して観ながら思ったのでした。



10/1〜6、10/8〜13に観劇するとミニOSTをいただけるようです。詳しくは下矢印

https://www.instagram.com/p/B2yeZBXpsPC/?igshid=uovs8q431wh6



トッケビ参考映像〜