ジキルとハイド (レポ動画) 3ジキル編 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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(2018/12/11に公開)
「11時58分、全て終わった。公式に従って新たに調合した薬物を正確に5㎖注射した。腕が、腕が暖かい。」

アンニョンハセヨ?ヌンヌンです。
私の夢はミュージカルの営業王!

いよいよミュージカル、ジキルとハイドの話をしようと思います。なぜなら…3ジキルを全員見てきたからです。勿論3回だけ見た訳ではありません。

ミュージカル、ジキルとハイドはロバート・ルイス・スティーブンスの小説「ジキル博士とハイド」を原作にした作品です。韓国で一番愛されている作品と言えるでしょう。抜きん出た医師であり科学者であるヘンリー・ジキルは病に苦しむ父親を救うため、人間の本性の善と悪を分離する方法を研究しています。すべての実験に成功し、ただひとつ人体実験だけを残したヘンリーは激しい反対に会い挫折します。そして結局自分の左腕に注射することになります。

善と悪を分離することには成功しますが、分離した悪、ハイドがだんだんと強くなり、ついにはヘンリー・ジキルさえ飲み込もうとするほどになるのですが、てんてんてん。

私は実を言うとジキルとハイドは、ハイドの20分を見るために残りの2時間を見る作品だと思っています。実際、ジキルとハイドが物語的にとか作品性の面では、そこまで優れた作品だとは思っていません。ですがジキルとハイドを演技しようとすれば、俳優として最高の技量を見せなければならないために、多くの男性俳優が最も夢見ながらも最も恐れる作品となっていますよね。観客もまた、同じ理由でジキルとハイドを好むのでしょう。

ジキルとハイドはその人気と同じくらい、とても多くの議論がある作品です。昔の話でもありますし。それでもまず、女性キャラクターを消費する方法が非常に汚いです。エマとルーシーの2人ともすごく魅力的なキャラクターではありますが、見ていると、いん?おん?的な場面があります。見るたびに不快な気がするのはどうしようもありません。

それはそうなんですが、ジキルとハイドのナンバーはどれも本当に口では表現しきれません。アンサンブルのナンバーまで1曲も外せないほど全部いいです。ですがそれだけ助演とアンサンブルの曲も全て?を誇るので、歴代のジキルとハイドでは助演とアンサンブルに問題がある時もありました。ODカンパニーが今回素晴らしいのは、ジキル役にホン・グァンホ、パク・ウンテ、チョ・スンウをキャスティングしただけにとどまらず、アンサンブルまで実に注意深く選んだことです。なので見ているこちらも胸がスッキリしました。特に司教様の?が完璧最高です。♪♪♪

ジキルとハイドの見所はとても有名ですから少しネタバレしてもそのままお話ししようと思います。

わが国でのヘンリー・ジキルはジェントルで紳士的な人物として描かれていますが、皆さん考えてみてください。善と悪を分離して統制するという考え自体が、すでにマッドサイエンティストではありませんか?ジキルとハイドがまるで一人二役のように感じられますが、実際はハイドはヘンリーの内面の悪そのものです。1人の人間が2つに分かれたのですから、実際は一人二役ではないですよね。ヘンリーが善と悪を分離させることにそこまで執着したのは、ヘンリーの内面の悪が非常に大きくて深くて忌まわしいからだと思うんです。ハイドが殺して歩いたのは全員ヘンリーが恨みを持つ人たちじゃないですか。そして最後の1人まで殺した後に死ぬのも、私は考えてみると本当に鳥肌でした。

ヘンリーの時には紳士的な行動をしますが、ハイドに変わってからは???ルーシーに会いに行くのもそうです。このように凶悪な内面を持っていたので、ヘンリーはずっと自分の悪を分離して統制したかったのではないかと考えました。

でも俳優たちが表現するジキルとハイドは、まったく異なる人物のように感じられますね。ジキルが初めてハイドに変わる時、床をゴロゴロ転がりながら息の音からぱっと変わるその姿は本当に…私は今これ演技を見ているんだよね?目の前のこれは本当なの?こんな風に思うじゃないですか。皆さんもそれを見に行かれるんですよね?

それから、小道具もなくガランとした舞台で、ただ照明だけを受けながら、舞台全体を、いえ、客席のずっと向こうまでエネルギーで満ち溢れさせる「対決」が、実に、どんなミュージカル、どんな場面より、緊張感と?が、文句なしに1位でしょう。1位。ジキルとハイドの対立場面ですが、わずか1秒にも満たない間にジキルになったと思ったらハイドになって。どうやったらあんな風に頭を振るだけで一瞬のうちに違う人間になれるんでしょうか。

舞台は本当に陰鬱さそのものです。温かみなどひとつもありません。陰鬱さとはまさにこれだ。照明にも青、紫を一番多く使っています。舞台も全体的に黒を多く使用しているので、世の中の暗い雰囲気を醸し出しています。悲壮で緊張感のあるナンバーとの調和がとてもいいです。

さていよいよ私たちの3ジキルについて話してみましょう。

チョ・スンウさんは、実際に舞台の上で食べたりシャワーを浴びたり寝たりしてるんじゃないですか?舞台がまるでご自分の家のような方です。歩き方、話し方、一歩一歩にすべて余裕があってウィットがあります。

スンウさんのヘンリーは何と言いますか、若干、神経質な感じです。ですがエマに対する時は、いったいどうしてあれほどスイートなのか。スイート感は1位です!

それから私が本当にすごく愛している…私がスンウさんのオタクになったきっかけ…あの発声で大声を出す声が本当に好きです。スンウさんに2時間の間私に大声で怒って欲しい。ふぅ…。

ジキルが左腕に注射したじゃないですか。だからいつでも体の左側がハイドで右側がジキルになります。スンウさんはこの部分のディテールが一番優れていると思います。注射をした後は普段から右手と左手の様子が違うなど、ハイドがずっと一緒にいるという暗示を与えてくれます。

それからチョ・ジキルだけのディテールがあります。最後の結婚式の場面で、ハイドに変わってエマを??するから、エマが言いますよね。「ヘンリー、あなたが私を決して傷つけたりしないと知っているわ」とか何とか。その時、いかにも険悪な表情で??しているハイドが、少しエマの後ろからわずかに顔を回すと、その短い間にすっかり大人しいジキルになるんです。うわー、いったい人間がどうやったらあんな風に?スンウさんは眼差しで多くを語れる俳優ですが、そのエネルギーが客席まで感じられるので、うわー、うわー、うわーとなりました。

ホン・グァンホさんのヘンリーは実に情が厚くて??感じです。でもハイドに変わると一番怖いです。最初にハイドに変わるときグルングルンした声を出すんですが、本当に獣の声のようだと言うしか説明できません。そうすると劇場の中の全員が息を殺します。とにかく中の空気がぱっと変わってしまいます。

そしてここでホン・ジキルだけがするディテールがあります。普通はハイドに変わってから右側に歩いて来ます。でもグァンホさんはジャンプして来るんです。ホン・ジキルの時に??だったんですが、実際にジャンプして私を殺しに来るような気がしました。本当に怖かったです。しかも体を上手に使う俳優さんなのでジャンプ力も半端ではありません。今思い出しても怖いわ。緑色の照明を浴びてるものだから、本当に。

さっき話したスンウさんは声、呼吸、発声、演技のディテールを繊細に調節してジキルとハイドを行き来するとしたら、グァンホさんはそもそも声自体を変えてしまいます。声帯が4つ、肺が8つ…。しかも、声帯を付け替える速度がものすごいです。「対決」の時、頭をぱっぱっぱっぱっと振りながら、その短い間にどうやって声帯を付け替えるんですか?本当に、何か別の、言葉では説明できない声が出るので、とても不思議です。そうでなくても、とても発声がしっかりした方が純度100%の声をわっと出すとき、その時の耳の幸福感と言ったら…。ありがとうございます。私がこの声を聞ける時まで…力を貸してくれて…努力してくださって…尽力してくださって…いてくださった多くの皆様に感謝いたします…。

パク・ウンテさんのヘンリーは、ウンテさんらしく、最もジェントルで、大人っぽくて、一番社会性のあるヘンリーです。ですが、少々弱いです。他の俳優たちに比べてヘンリーが少し弱いので???感があります。個人的意見はあるでしょうが!ですが、見てみれば、あ〜、今この瞬間のハイドのためにヘンリーを抑えたんだなと考えました。

私は3人の俳優の中でパク・ウンテさんの作品を1番多く見ています。ファントム、ベン・ハー、フランケンシュタイン、ジーザス・クライスト・スーパースター、などなど。ウンテさんはそれらの作品で聞いたことのない声を出しています。こんな声も持っていらしたんだなと思ってびっくりしました。そしてウンテさんの高音シャウトがなければ寂しいですよね。♪エドワード・ハー↗︎↗︎↗︎イド♪♪♪

私は個人的にウンテさんの作品を見に行く時は、いつシャウトされるかドキドキしながら見るんですよ。ハイドに変わってシャウトしてくださったから、はあ、本当に…ラブラブ。私って変態みたいですね。

それから、麻薬!麻薬シーンも3ジキルでそれぞれディテールが異なります。チョ・ジキルはクックックと笑って、グァンホさんは足で床をコンと打ってヤッとされるんですが、パク・ウンテさんは笑い泣き何か変な…。ヘラヘラ笑いながらおかしな踊りをします。だって一番大人っぽくて情のあるジェントルなヘンリーが、あんな変なダンスをする?しかも、身体表現は苦手で有名なパク・ウンテさんがピコピコしながらステップを踏むから、ああ、可愛くてたまらない。

以上3ジキルのディテールの違いまで見てみました。この3俳優の演技力に関して、恐れ多くも私が表現できるはずもないので、完璧にお伝えすることはできなかったと思いますが、少しでも好奇心を満たせたなら嬉しいです。女性キャラクター、女優たちに関してお話しできなかったのが残念ですが、また観劇した後に改めてお話しできるようにしたいと思います。チケットはまだあと8枚残っていますから。

ミュージカル、ジキルとハイド、シャルロッテシアターで2019年5月19日まで公演しています。おー、長いですね。皆さん必ずジキルとハイドをご覧になりますように。ヌンヌンでした。